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大豊姫 その10

サブタイトル「デルリカトークショー」

―大豊姫 その10―


ナガミーチさんの持つ<ハイ・ヒール>のポーションによって、大福は一応回復した。

大福を治癒する事に関して大公たちは随分と心配したようだけど、ナガミーチさんは『大丈夫ですよ、もうデルリカさんは襲ってきませんし、タブン』と言って説得をする。


『タブン』っていうのは怖いんだけどな。

でもナガミーチさんは大公のたってのお願いで、パンツ型の3人だけは大福の「司令権」の影響を受けなくしてくれた。

さすがナガミーチさん。


ただ、パンツ型ゴーレムの司令権を委譲した先はデルリカちゃんなのだ。

それに対してダリル大公夫妻は反論したけど、ナガミーチさんが

「万が一の時でも、デルリカさんのものならフレンツ公国よりも長生きすると思いますよ。」

と言ったら納得していたようだ。


たしかにデルリカちゃん達が敵にならないって言うだけで、ゴーレム達なら生存率はグッと高くなるよね。

さすがナガミーチさん、姑息です。


すると、パンツ子ちゃんがビクっと体を震わせると、気まずそうにナガミーチさんを見た。

「あの、デルリカ様からお電話ですが、どうしましょう?」


明らかにナガミーチさんの顔が引き攣った。

「えっと、ナガミーチは死に申したと伝えてくれるかな。」


すると困った顔のパンツ子ちゃんの口から、デルリカちゃんの声が聞こえた。

『聞こえていますわよナガミーチ!夕飯までに帰ってこなかったらマリーが怒りますわ。早く帰っていらっしゃい。』


ビクビクとナガミーチさんが答える。

「帰っても怒らないですか?」


『怒らないにゃん、だからデルリカのお話を沢山お兄ちゃんに聞いてほしいにゃん。』


「あかん、デルリカさんがマジギレしてる。帰りたくないよー。」

急にナガミーチさんの膝がガタガタ震えだした。


『帰ってこなくても宜しいですが、マリーはナガミーチが口に運んでくれないと夕飯を食べないといっておりますわ。マリーが空腹で暴れてもしりませんからね。』


するとナガミーチさんはガックリとうなだれた。

「うかつでした。マリーちゃんを連れださなかったのは僕の痛恨のミス。マリーちゃんが空腹でご立腹すると大変なんですよ。。。。前にココに攻め入ったときに放置しておいたら、怒って僕のいる周りの井戸をからすし、火山は噴火させるしで手がつけられなかったんです。くそ、デルリカさんが待ち構える屋敷に帰らざる得ないではないか!」


なんか、フレンツ公国の人たちが恐怖していた賢者の正体が、ひどく下らないことだった事実が語られた。

これは永久に秘密にしておこう。フレンツ公国の人たちが可哀想すぎるから。


パンツ子ちゃんから高笑いが聞こえた。

『おほほほ、さあナガミーチ、どうしますの。ワタクシの愚痴に付き合うのでしたら今回のことは許しましてよ。』

「え、デルリカトークショー(デルリカの長時間耐久愚痴大会)をするんですか?うわああ、帰りたくない。ほんとデルリカさんは早く結婚すればいいのに。そうすれば僕はデルリカさんの愚痴聞き係りから開放されるのに。」


『結婚しても、愚痴はお兄ちゃんに言いに行くから大丈夫だにゃん。』

「うぐぐ、はぁ、もう諦めました。じゃあ今から帰ります。。でも徒歩なんで2週間くらい後に着くと思います。では、あでゅー。」


そういい残し、いきなり一目散に走りだすナガミーチさん。

逃げたようだ。


がんばれナガミーチさん、私だけは応援してるからね。

微妙な気持ちでナガミーチさんの背中をみんなで眺めていたら、転移魔法であらわれたデルリカちゃんに抱きしめられて、そのまま高速飛行で連れ去られていった。


デルリカちゃんの高速飛行は速いなー。

一瞬でマッハ2くらい出たよ。


それを呆然と眺めた大公夫人は、珍しく気の抜けた声を出す。

「ナガミーチは随分とデルリカに懐かれておるようだな。要は愚痴を言いたいから早く帰って来いと言われておったのであろう?しかも待ちきれずに迎えに来おった。女にとって愚痴を言えるのは一番心を開いたものである。真に兄のように思っておるのかもしれぬな。」


私は頷いた。

「そうですね。デルリカちゃんに一番厳しくて一番優しかったのは、なんだかんだ言ってナガミーチさんですからね。20年近くも一緒にいるのですから兄同然なのだと思います。」


すると図々しく大福が会話に割り込んできた。

「ですよねー。俺もあんな美人な妹がほしいなあ。」

「…何が『ですよねー』なの?知らないんだから無理やり会話に入ってこないでくれます?」


私の言葉に続き、大公夫人から『きっ!』という視線を送られ、誤魔化すように離れていった。

大公夫人はイラ付いた目で大福を見る。

「われ(大公夫人)に挨拶もなくいきなり会話に入ってくるとは、なんと無礼な男よ。殺しておけばよかったのう。」


ほんとあの人イラつくなあ。


そこで私にナガミーチさんから念話が届く。

『大豊姫さん、よかったら数日コッチで過ごしませんか。そのあいだは寝られませんけど。』

うお!

どうしたナガミーチさん!

デレた?デレたの?

そして私を求めている?


「私が行ってよいのですか?」

『あ、嫌ですよね。すいません、呼び込もうとしてしまって…。』

「いやじゃないです!是非行かせてください!」

『良いんですか?途中では帰しませんよ。』

「むしろ帰りたくないです!」

『そうですか…、ではベルセックのお屋敷に来てください。僕の研究室に。』

「はい、急いでいきます!」


私は慌てて大公夫妻に駆け寄る。

「すいません、ナガミーチさんと眠れぬ夜を過ごすためにベルセック侯爵邸に行ってきます。なんか皆さんを放り出すようで申し訳ないのですが、私的には重要な話なので、ほんとスイマセン。」


ダギル大公がなにか言おうとしたけど、もうソワソワして聞く気になれない。

私は、ナガミーチさんの気配を察知して、一気に転移魔法で飛んだのです。



6時間後



私がどれだけ後悔しているか、口では言えない。

私の目の前では、大量のお菓子をテーブルにおいて、ナガミーチさんの腕をガッツリ抱えつつ愚痴や説教を延々話すデルリカちゃんがいた。


早まってしまったよ。

もう逃げられない。

愚痴を聞くのがこんなに苦痛だとは思わなかった。


私はまだ「トイレ行ってきます」「お菓子もらってきますね」「飲み物とってきまーす」とか言ってちょくちょく休憩をいれているから良いけど、ナガミーチさんは腕を捕まれたまま、逃げることも出来ずに白目をむいている。


見るに耐えない。

「あ、次のお菓子貰ってきますね」

おずおすと、お菓子を補給しに厨房に向った。


するとナガミーチさんから念話が飛んできた。

『これ、寝ないで2~3日続くから覚悟しておいてくださいね。でも1人では耐えられなかったので助かりました。借ができましたね。』


うひいい!感謝された!貸しを作ったどぉぉ!

苦しさのあまり、ナガミーチさんがデレた!


考えようによっては、向こう2~3日はナガミーチさんが私から逃げないでずっと傍に居ると思えば悪くないですよね。

よし、やる気出てきた。


お菓子の乗った大きなお皿を持って厨房から移動していると、マリアちゃんのお膝の上で、お菓子を食べさせてもらいながら寛いでいるマリー様を見かけた。


あれ?マリー様、もしかしてナガミーチさんを見捨てて自分だけ逃げてる?

マリー様も逃げ出すデルリカちゃんはやっぱり凄いって事でいいのかな。


まあいいや。よーし、とにかく、これからはデルリカちゃんのご機嫌もとって仲良くしよっと。

もう絶対何があっても、もうホント絶対絶対に敵には回りたくないからね。


お菓子の乗った大皿を持って研究室に着くと、デルリカちゃんがナガミーチさんの腕を抱きしめて一生懸命話している姿が見えた。


きっと300メートルくらい離れたところから見れば、仲睦まじいカップルに見えるのでしょう。

でも近づくと、邪悪な暗黒オーラがにじみ出るデルリカちゃんと、白目をむいて魂の抜けたナガミーチさんという温度差カップルにビビります。


私は作り笑顔でお菓子をテーブルに置いて席に座る。

さて、ナガミーチさんを眺め続けて妄想でもしてよっと。

今はどれだけ本人を見つめながら妄想しても、誰も怒らないから悪くないです。


・・・はっ!

ヤバイ、今気づいちゃった。

私は、立ち上がりナガミーチさんの左側に座り、その腕を抱えた。


…やっぱりナガミーチさんは無抵抗だった。

やった!魂が抜け過ぎて私に抵抗してこない!

しかも、いつも殴り倒しに来るマリー様も来ない!


ブラボー

これもデルリカトークショーのお陰ね。

なんか急にデルリカちゃんが好きになってきちゃった。

ナガミーチさんの腕を抱きしめながらナガミーチさんで妄想するとか、どんな贅沢なの!

素晴らしい!


そう思っていたら、デルリカちゃんが不審そうに私を見ていた。

ヤベ、言い訳しなくちゃ。

「私もナガミーチさんを捕まえておきますね。」

「まあ気が利きますわね。よろしくお願いしますわ」


そしてデルリカちゃんは私を無視して、またナガミーチさんに話し始めた。

ふっふっふ、もう誰も私を止められない。

さあ、腕越しに私の胸の感触を感じなさい。


照れてもダメよ、だってわざと当ててるんだから。

ふふふ、ふふふ、ふふふ。

ナガミーチさんは私の胸をHカップだと思っているけど、本当はIカップです。

でもこれ以上オッパイ差別されるといやだから内緒にしているけど。


ふふふふ、なんか幸せ。


今度からデルリカトークショーのときだけ下界におりてこなくっちゃ。


そんな至福の時を3日ほど過ごした。

ほんとにデルリカちゃんはノンストップで喋り続けたよ。


ナガミーチさんが何度白目をむいて寝落ちしても『ナガミーチ、あなたはワタクシにだけ優しくないですわ!』と怒って叩き起こす姿には最初は引いた。けど、段々分かって来ちゃった。


デルリカちゃん、自分に敵対したナガミーチさんに腹を立てていると同時に、甘えてもいるのね。

結局デルリカちゃんが言いたいのは『なんでワタクシの味方でいてくれないの?』『ワタクシの敵の事を庇わないで』『もっとワタクシを助けて』という事だ。


ヤンデレ妹に懐かれて、お兄ちゃんは不眠の苦行が辛い。

って、ラノベのタイトルか!って感じね。


そして、3日後。

デルリカちゃんが『もう眠くなりましたわ。』といって去っていくと、その場でナガミーチさんはパタリとテーブルに倒れた。


で、眠りに落ちる直前にいった言葉が

「しょっぱいものが食べたい…」

だった。

ずっとお菓子だったからね。


眠ったナガミーチさんをお姫様抱っこしてベッドに運んであげる。

ベッドまでくると・・・


あ、バランス崩しちゃった(棒読み)

おっと、私も倒れちゃった(ニヤニヤしながら倒れる)。

いやーん、エロ系ハプニング(キュっと抱きつく)。


よーし、一緒に寝ちゃうぞ。


そう思った瞬間、おなかに凄い衝撃が走った。

どごおお!


ぐへええ、何?何が起きたの?

壁まで吹っ飛で転がりながら見上げると、ベッドの上にはキックを放った姿勢のマリー様が居た。


「何度言わせるんですか?調子にのるなって。」

良い笑顔された。

ううう、自分は逃げていたくせに。


わたしが床に丸まってシクシク泣き出すと、マリー様はもぞもぞナガミーチさんのベッドに入って、一緒に寝てしまった。


もういいもん。

この三日で脳内にたくさんナガミーチさんをインプットしたから、その妄想で幸せになるから。

わたしは、マリー様と兄妹のように寝るナガミーチさんを眺めつつ、脳内で「長道×マリユカ」の妄想をして復讐してやるのでした。

お読みくださりありがとうございます。


大豊姫「ふふふ、よいではないか!よいではないか!」


デルリカ「大豊姫様が1人でニタニタしていますが大丈夫でしょうか?」

ナガミーチ「ね、僕がなんか苦手な気持ちもわかるでしょ。」

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