大豊姫 その8
誤字脱字は今夜修正しました。6/23 22:00
―大豊姫 その8―
あははー
長道さーん。私のおっぱい触らないでくださいよー。
もう、しょうがないなー。ちょっとだけですよ。
あ、鷲づかみなんて。あーれー、長道さんのケダモノー。
そんなに焦らなくいても私は逃げませんよ。
もっと、や・さ・し・く。ね。
きゃ、そこは、、、、そこは、、、、
らめぇぇぇぇ。
「ダイホー!目を覚ますのだ!緊急事態だ。」
「むにゅ、むにゅ。…え?、、、誰じゃごらぁ!」
どごお
目を覚ました瞬間、目の前にオッサンがいたので殴りつけた。
いま長道さんとイケナイ事をしていた夢を見ていたのに!
もう、夢の中とはいえ良い所で邪魔して許さないからね。
そう思って文句を言おうと思い、殴ったおっさんを見たら、胸が吹き飛んで血みどろのダギル大公が転がっていた。
ワオ、ヤバイ。やりすぎちゃった。
「パーフェクト・ヒール!」
すぐにダギル大公は傷が塞がり蘇生した。
脳が無事なら、心配停止しても1時間くらいは死んでないのですよ。
だから私のパーフェクトヒールで復活おっけい。
「な、私は気絶していたのか?」
いいえ医学的には死んでました。
ふらふら立ち上がると、私を見てまた目を見開いた。
「そうだダイホーよ!女性の寝室に飛び込む無作法は重々承知で起こしにきたのだ。苦情は後で受け付ける、今は急いで助けてほしい!」
かなり慌てているみたいね。
「素敵な夢を見ていた私をたたき起こすほど緊急事態なんですね。これでフザケタないようでしたらお城を爆破しますよ。」
すすとダギル大公はガクリと膝を突き、必死な顔で懇願してきた。
「大福が逃走しよった。しかも残っているゴーレム全てに『指令』を出して引き連れていってしまったのだ。パンツ子達まで連れて行かれた。頼む、パンツ子とリボンパン子とシルクレースを取り返してくれ。」
私は慌てて起き上がる。
「まずいですよ。デルリカちゃんは<上級探査>を持っています。大福が城の外にでたことは、もうバレていると思います。まずは急いで対策をうちますよ。」
「うむ分かった。」
朝議室に走り去るダギル大公。
私も急いで長道さんに念話を飛ばした。
『長道さん、緊急事態です!』
『おはようございます、ダイホーさん?どーしました。』
『大福が命令権を使ってゴーレムを引き連れて逃げてしまいました。デルリカちゃんが追いかけないように手を打ってください。大事なゴーレムを取り返すまででいいので。』
数秒無言が続き、長道さんが返事をくれる。
『それは手遅れみたいです。今見たら、もうデルリカさん達はいませんでした。布団の温度からして1時間以上前に出発していますね。僕も追ってみますが、これは期待しないでくださいね。』
ブチッ
念話が切れた。
ヤバイヤバイヤバイ
私は昨日の事を思い出した。
あの悪魔みたいなデルリカちゃんがパンツ子ちゃんたちに襲いかかってくる?
思い出して、また恐怖で背筋が寒くなった。
ダメ、大福とデルリカちゃんが遭遇したら絶対みんな殺されちゃう。
身だしなみを整えると朝議室に行く。
そこにはすでに主要人物が集まっていた。
私は急いで<高等探査>で大福を探す。
頭の中にマップが現れて、すぐに大福を見つけた。
だが、同時に絶望的な存在も見つける。
デルリカ、カイル、マリア、ジャーニーという表示が、100メートルほどの距離に表示されていた。
「まずいです!大福軍から100メートルくらい離れた場所にデルリカちゃんたちがいます。場所はココから馬で20分程かかるソリミア村の手前です。」
朝議にいた貴族達は絶望した顔になる。
折角手に入れたインテリジェンス・アーツのゴーレムが全て失われる可能性が高いのだから。
だけど、そのなかでダギル大公の必死さは全く違う熱を帯びている。
「助けに行くぞ!可能性が限りなく0であろうとも助けに行かねばならぬ!」
でも、他の貴族達はそっと目を伏せた。
私は私で出来ることをしなくちゃ。
私の<高等探査>のスキルがもつ隠し能力を使う。
デルリカちゃんがもしもまだ<上級探査>で大福を追っているのなら、助けられるかもしれない。
集中し、デルリカちゃんの<上級探査>にハッキングを試みた。
そしてそ大福の位置を嘘の情報に書き換える。
足を止めて隠れている大福が、凄い速度で離れているように嘘の情報を送り込んでみた。
普通ならこんな速度で離れたら異常だが、ゴーレムを率いているならありえる速度。
騙されるか?
賭けだった。
するとデルリカちゃんは私が送った嘘の情報の大福を追い出した。
よし、これで時間が稼げる。
目を開ける。
大きな声で他の貴族を叱咤するダギル大公の前にでる。
「ダギル大公、いま私のスキルと魔法の能力でデルリカちゃんの<探査>スキルを狂わせました。これでしばらくは時間が稼げると思います。助けに行くのであればお急ぎを。」
「おお、さすがナガミーチに次ぐといわれる大魔道師ダイホーだ。ではワシらは大福の元に行くぞ。救助と見せて近づき、一瞬で大福を気絶させればゴーレムだけを連れ帰れる。手伝ってくれるな、ダイホーよ。」
うっ。デルリカちゃん怖い。
でも。。。。パンツ子ちゃんを助けたい。
「くぅ、もう乗りかかった船です。ご一緒します。行くのであれば急ぎましょう。デルリカちゃんが大福を見つける前に!」
そして私とダリル大公は、厩に行き騎乗した。
誰も付いてこないけど、それは責められない。
ナガミーチさんの侵攻と、今回のデルリカちゃんの瞬殺殲滅を知っているのだもの。
恐ろしくて腰が引けるのは当然だ。
走り出そうとしたとき、厩からもう一騎出てきた。
大公夫人だった。
驚いてダギル大公は叫んだ。
「セシル、何故騎乗しておるのだ!」
大炎姫さんに似たキツイ顔の大公夫人は胸を張って堂々と私達の横につける。
「あんな健気な娘達を馬鹿な男の好きにはさせられぬ。それに剣の腕は旦那様よりもわたくしの方が上じゃ。お供いたします。」
「しかしセシル、、、」
「グダグダうるさいのう。未亡人になるくらいであれば共に冥府の物見遊山にまいりましょうぞ。いつまでもゴネるようでしたら置いて行きますぞ。」
ダギル大公も苦笑いを返した。
「さすがはセシルだ。年を食っても良い女だな。」
「何を仰いますやら?年を食った女は、それくらいでないと夫に逃げられてしまうというものじゃ。」
大公応夫人はシャープな微笑を返した。
なにこのイケメン。
「ハイヤ!」
そして大公夫人は馬を駆け出させる。
あわてて私達も馬に鞭を入れた。
馬の足で20分くらいだろうか。
まにあってちょうだい。
目的の場所に近づく途中で、私の<高等探査>が異常を知らせる。
なんとデルリカちゃんが大福の本当の位置に向きを変えたのだ。
くっ、さすが規格外人間。
ハッキングを打ち破ったのね。
馬をとめずに大公の方を見る。
「デルリカちゃんが妨害に気づいて大福に向い始めました。私はデルリカちゃんの方に行きます。大公ご夫妻は大福の方にお願いします。」
「わかった。ダイホー死ぬでないぞ!」
私は急いで大公夫妻と別れて真っ直ぐデルリカちゃんを目指す。
なにも闘う必要は無い。
話でもして時間を稼ぐ。
もしくはゴーレムだけでも助けてくれるように説得しなくちゃ。
それに、私の事はマリー様の部下だって知っているはずだから殺したりしないはず。
……殺さないよね。
えーい、今はこれ以上考えるだけ無駄!
馬を捨てて飛び上がった。
そして絡み合った樹木のような形の私の翼を広げる。
これなら、30秒くらいでつけるはず。
<高等探査>のマップ上でチェックすると、デルリカちゃんは大福を目視で見つけるのも時間の問題な距離まで来ている。
急がなきゃ。
「高速飛行!」
空気を切りさいて飛ぶ。
すぐにデルリカちゃんが見えた。
私はまずはその頭上を通り過ぎる。
音を置いてきぼりにして飛ぶ私の衝撃波が地面を襲う。
でもデルリカちゃん一行は平気な顔で私を見上げた。
ほんと化け物ね。
空中で急旋回して、地面に減速なしで着地する。
ずごおおおおおん
私と地面が衝突したことで地面に衝撃が走り、土が舞い上がる。
地面をかなり揺らしたはずなのに、やはりデルリカちゃんたちは微風でも受けた程度の自然な立ち姿で私を見ていた。
よし、大福が居る方向から注意がそれた。
私はできるだけ悠然と歩いて土煙から姿を現す。
そう、彼女達が私に集中するように意識して。
「先日ぶりですねデルリカちゃん。マリー様の手下3号のダイホーと申します。」
ちなみに手下1号は長女の大炎姫さん、手下2号は次女の大空姫さんね。
すると、デルリカちゃんはスカートつまみ優雅に一礼する。
「先日は失礼いたしました、大豊姫様。本日はどのようなご用件でしょうか?」
でも目は殺気に満ちている。
どうやらマリー様の手下であろうと、邪魔すれば殺す気満々のようだ。
そういえば、なんで私の名前を知っているんだろう?
あ、良く考えたら私はデルリカちゃんと天界で会っている。。。。
ってことは、先日は私が大天使だって知ってて殺そうとして来たってこと?
いやいやいや、無いでしょ。
でも、、、いや、、、でも。
うん、怖いからこれ以上は考えない事にしましょう。
「用件っていうかお願いかな。じつは大福がインテリジェンス・アーツのゴーレムを『指令権』で連れて出ちゃったの。だからゴーレムちゃんたちは見逃してあげてほしいの。」
すると、魔獣でも射殺せそうな視線で睨まれた。
「そんな面倒は嫌だと言ったら、どういたしますの?」
あう、ちょっと漏れた。
でも私頑張る。だってパンツ子ちゃんたちのためだもの。
「大福はどうなってもいいの。ゴーレムは助けてほしいんだけどダメなの?」
デルリカちゃんはユックリ斧を握る。
ちょ、なんで斧握るの。
お話し合いしましょうよ!殺戮反対!ここは天使禁猟区です!
デルリカちゃんは急に邪悪な顔になった。
「後でマリーに謝らないといけませんわね。ペットを一匹潰してしまいましたって。」
うわああああああ
うわああああああ
いやああああああ
逃げるなら今しかない!
でも逃げられない。
ここで私が逃げたらパンツ子ちゃんが殺されちゃう。
悩んでいるとデルリカちゃんは斧を構えて微笑んだ。
「敵は皆殺しですわ」
次の瞬間、矢のような速度でデルリカちゃんが飛びこんできた。
速い!
マッハ超えてるよ!
咄嗟に樹木の羽で身を守った。
バッキイイイ
一撃で私の羽は砕かれた。
跳んで逃げようとしたけど、すでにデルリカちゃんは悪魔のような顔で斧を振り上げていた。
あ、これ終わったわ。
勢い良く斧が私の頭上に振り下ろされる。
私は恐怖で目をつぶった。
ガキン!
金属がぶつかる音がした。
何が起きたんだろう?私は恐る恐る目を開く。
え?誰か助けてくれたの?
見ると、私の前には見慣れたセーラー服の少女が折れた刀を持って立っている。
パンツ子ちゃんだった。
元気だけど、一番地味でパンツ以外特技が無い子。
パンツ子ちゃんは私に振り向くと、微笑む。
「よかった、ダイホーさんを守れた。」
そういうと私のほうにユックリ倒れてくる。
「え?パンツ子ちゃん?」
おもわず抱きとめた。
すると、今までとは全く違う恐怖が走る。
パンツ子ちゃんの体が肩口から縦に切り裂かれていた。
「嘘、うそでしょ。パンツ子ちゃん!気をしっかり持つのよ、パンツ子ちゃん!」
でもパンツ子ちゃんは私の腕の中で力なく微笑んだ。
「ダイホーさんが無事なら何よりです。わ、わたしはもうダメそうです。に、逃げてください。」
そういいつつスカートをめくる。
すると、パンツも引き裂かれていた。
そしてユックリ目をつぶり動かなくなった。
「まってよ、あなたを助けたかったの!だから目を開けて!お願いよ、死なないで!」
抱きしめた。
でもまるで人形を抱いているような感触しかしない。
涙がこぼれる。
「お願いよ、、、目を、、、目を開けてよ、、、」
すとデルリカちゃんの斧がユックリあがるのが見えた。
見上げると、斧を上段に構えていた。
パンツ子ちゃんを抱きしめる。
とっさに、私はこの場に居ない人に助けを求めてしまった。
「長道さん!助けてください!せめてパンツ子ちゃんだけでも助けてくださいよ!」
ほとんど無意識の祈りだった。
すると、デルリカちゃんを後ろから誰かが抱きしめた。
「落ち着いて、デルリカさん。今電話でタケシーさんを呼び出し中ですけど、電話繋がった瞬間に断末魔を聞かせる気ですか?」
すると急にデルリカちゃんの顔がパーと華やぐ。
「まあタケシーさまと電話ですの?」
すると長道さんはデルリカちゃんから斧を奪い取ると空間収納にしまい込んでから微笑んだ。
「タケシーさんと電話と言ったが、あれは嘘だ。テヘ。」
その瞬間、デルリカちゃんは長道さんの襟元を掴んで引き寄せた。
「はあ?喧嘩うってますの?」
デルリカちゃんは、そのままナガミーチさんをどっかに引きずっていってしまった。
でも引きずられながら、長道さんは私に念話を送ってきた。
『パンツ子は本体であるコアのパンツがやられたので死にました。でもまだ生き返る可能性はあるので保存して置いてください。生きて逃げきれたら、修理出来ないか見てみますので。』
そしてサムズアップして微笑んだ。
長道さーーーーーーん
さすが、困ったときのナガミーチ!
私は急いで壊れたパンツ子を抱きしめて高速飛行でその場を飛び去った。
まだ可能性はある。
長道さんなら!
お読みくださりありがとうございます。
大豊姫「惚れてまうやろ!」
長道「いえ、そういうのは結構ですので。」




