大豊姫 その5
―大豊姫 その5―
その男性は長道さんに見えたけど。
居る分けないよね。
…なんだ、わたしの妄想か。
そう思ったけど。、大公が目を見開いてつぶやく。
「貴殿は…大魔道師ナガミーチか?なぜココに。」
うわ!私の妄想じゃなかった!本物だ!
私は思わず、ナガミーチさんの両肩をガッツり捕まえた。
多分、かなりテンパった表情をしてるとおもうけど関係ないね。
見つけたら、積極的に声をかけなくちゃ。
「ナガミーチさん、なんでココに?もしかして私に会いに来たんですか?」
すると、ナガミーチさんが小脇に抱えている少女が私のボディにパンチをぶちこんできた。
「ぐはっ」
「ダイホー、じゃましないでください。」
「す、すいません」
うん、このえぐり込むようなマリー様のパンチは確かに現実だ。幻覚を見たんじゃないって実感できるね、、、ぐふっ、肋が折れたみたい。
ナガミーチさんは苦しむ私を無視してダギル大公に一礼する。
「お久しぶりですダギル大公。マシリト公爵襲撃事件の停戦協定以来ですね。突然のご無礼、ひらにご容赦を。」
ダギル大公は混乱しているだろうに、すぐに平静になる。
「なるほど、転移魔法を使えるのだったな。して敵国に何用だね?」
そこでナガミーチさんは優しく微笑んだ。
「今回の用件は二つです。一つは僕のゴーレムをこちらで購入いただきましたのでそのお礼に。」
そこでめちゃくちゃ大公が動揺した。
わたしも動揺した。
だって、その秘密をバラしちゃうなんて。
なにを考えているんだろう?
大公はしばらく口をパクパクさせて、やっと言葉を搾り出す。
「購入?まさか、嘘であろう。」
「いいえ、実はそこのダイホーさんが連れていた異世界人が九十九神を作っても、人工精霊だけでは意味がありません。
ですので人工精霊に体を与える必要があるのですが、その体となるゴーレムを僕から購入する術式をダイホーさんが使ったのです。
ですので今は、うちの研究室から最新式のゴーレムがこちらに購入されて、あの人工精霊のボディーになっております。
高い商品をお買い上げいただきましたので、そのお礼に伺いました。」
なんか急展開…
どうしよう。
ダギル大公は驚いて声が上ずる。
「だが、敵国の我らに最新式のゴーレムを売りつけて何を考えておる?」
するとナガミーチさんは不思議そうに小首をかしげた。
かわいい。
「敵国?僕には国と言うものは関係ありません。
僕はこの世界の最高神であるマリユカ様の使者ですので。国と言う小さい枠は気にしていません。
僕にあるのはベルセック家への義理だけですので、フレンツ公国の方が購入されようとも商品は充分な品質の物を送っておりますのでご安心ください。」
大公、また口をパクパクさせる。
鯉みたい。
すると、次は大公夫人がナガミーチさんに口を開く。
「では、パンツ子達の刃をグルニエール王国に向けても構わぬということか?」
「はい、基本的には構いません。ですがそれに関することがお願いの二つ目です。
実はうちのデルリカさんがフレンツ公国に侵攻する気満々なのです。そうしますとあのパンツ子達が粉々にされてしまう可能性がでてしまいます。
僕としても、彼女達が死ぬのは本位ではありませんので、戦いをやめるか、桁違いに戦力を増強するかどちらかにして欲しいと思い、忠告に来ました。」
「魔王を倒した一人、『究極聖狂』デルリカ・ベルセックか?パンツ子達では勝てぬ相手か?」
「勝てませんね。それにデルリカさんが連れている軍隊は、旧式とはいえ僕が大量生産したゴーレム2000体に、人形遣いのマリア奥様やジャーニさんが一緒に来ます。さらに絶対勇者のカイル君も来るでしょう。フレンツ公国は、人工精霊入り最新式ボディのゴーレムを1000以上持たないと全く対抗できないかもしれないです。」
大公夫妻は、その言葉にグっと黙り込む。
そして、ナガミーチさんは私を見た。
そう、私を見た。
うわ、ナガミーチさんからコッチに視線を送ってくるなんて珍しい。
どうしよう、目をつぶって唇を突き出したほうがいいかな。
おもわずナガミーチさんの肩を捕まえようとした。
すると、抱えたマリー様をパッと放して、空中でガシっと私の両手はつかまれる。
チッ、抵抗された。
「ダイホーさん。これはマリーちゃんからのお願いなんでしっかり聞いてくださいね。人工精霊を作るとき、大福さんの左手を潰していますけど、もっと苦しむ事をしてほしいそうです。ですので、そしたら苦痛分だけゴーレムのボディーもお値段よりもいいものを送ります。頑張ってください。」
「わかりました。ところで今夜はディナーでもご一緒にどうですか?少しは私も構ってください。」
よし!言ってやった!
ナガミーチさんは私の手をつかんで抵抗姿勢のまま少し考える。
「そっか、今まで扱いが雑でスイマセンでした。でも嫌いじゃなかったですよ。この戦いが終わったら一緒に食事でもしましょう。一杯おごるぜ。国に帰ったらゴーレム牧場を作るのが夢なんだ。」
そういうと、ぱっと私の手を離して、マリー様を再び小脇に抱えて転送魔法で消えてしまった。
ポカーンとしていると、ダギル大公はポツリとつぶやく。
「今のは死亡フラグというやつか?ナガミーチは死ぬのか?」
「死にません。ナガミーチさんは究極のフラグクラッシャーですから。」
そう、私達の戦いはこれからだ。
そこで唐突に演習が始まった。
貴族軍から、魔法と弓矢が一斉に放たれる。
だが、パンツ子ちゃんとリボンパンツ子ちゃんが、向ってくる遠距離攻撃を無視して突撃を掛けた。
貴族軍の前衛には、彼らの虎の子ともいえる20メートルほどの巨大ゴーレムが10体ほど並ぶ。
岩から切り出したような雑な造詣ながら、巨大ゴーレムは盾を構えて、棒を振り回す。
ウスノロな上に、単調な動きしか出来ない。
でも『デカイ』『硬い』『力が強い』というだけで脅威ではある。
歩兵や騎兵であの巨大ゴーレムに立ち向かえば、普通は全滅しかない。
なので、巨大ゴーレムがでてきたら、国に30人程度しかいないような上級魔道師が攻撃するのがセオリーよ。
これだって、普通に考えたら規格外の戦力である。
だから次におきたことは、みな信じられない思いで見た。
パンツ子ちゃんとリボンパン子ちゃんの両腕が大砲の形に変形し、巨大ゴーレムを撃った。
バンバンバンバンバン
バンバンバンバンバン
一発撃つたびに、巨大ゴーレムの上半身が砕け散る。
そんな攻撃を連射して、数秒で巨大ゴーレム10体を打ち砕いたのだ。
さらに、貴族軍から爆裂魔法が打ち出されると、スカートから大量のベージュ色のパンツを発生させて、それをまとめて巨大な壁を作って防御。
そのパンツの壁は信じられないことに、爆裂魔法を防いだのだ。
最期に、爆裂魔法をとめた壁のパンツの色がベージュから白になる。
そしてそのパンツ達を棒状に変形させて、貴族軍を殴り倒しだした。
あっという間に、貴族軍はパンツ子ちゃんとリボンパン子ちゃんの『集合パンツ棒』で殲滅させれてしまった。
なぜか、倒れている貴族軍たちはパンツ棒から必死にパンツをもぎ取ったようで、それを掴み、幸せそうな顔をしているよ。
アホだあいつら。
だがあっというまに巨大ゴーレムと5000の兵士が殲滅させられたのだから、みんなびっくりしている。
そこで怒りに満ちた声が響いた。
後ろで待機してたシルクレースちゃんだ。
「私の出番がないではないか!貴族軍、10数えたら私が攻撃を始める。命を賭けてかかって来い!」
すると空中にシルクレースちゃんのロケットアームが100本現れた。
うわああ、想像以上に絶望的な光景だ。
だってその100本の腕が全部攻撃魔法用の魔法陣を空中に展開しているんだもの。
そしてロケットアームは凄い勢いで貴族軍に飛ぶ。
「うぎゃああああ!」
朝議で大公に逆らった貴族が悲鳴を上げて走り出す。
それにつられて、倒れていた兵たちも起き上がって全力で走り出した。
そこに、100本の腕による、レーザー攻撃が降り注ぐ。
まるでレーザーの雨だ。
そのあとは阿鼻叫喚だった。
次々に兵士達はレーザーで腕や足を撃ちぬかれる。
レーザーは盾も鎧も無視して貫通。
全員の手足をレーザーで打ち抜くと、こんどはロケットアームたちが一斉に倒れた兵士達を殴り始めた。
足を引きずりながら逃げ惑う兵達を、じゃれ殺すかのように襲い掛かるロケットアームたち。
数分で、意識のあるものは一人もいなくなった。
ダギル大公はあわててシルクレースちゃんに駆け寄る。
「殺してしまったのか?」
すると腕を組んで、堂々と答える。
「殺してしまっては大公陛下の戦力が減ってしまうから1人も殺してはいない。鍛えてやったのだから、感謝してほしいものだな。」
「そうか、それを聞いて安心した。よくやったな。」
そういって大公はシルクレースちゃんの頭を撫でる。
シルクレースちゃんは、『ちょっと照れたけどちょっと嬉しい。でも素直に喜ぶのは恥ずかしい』みたいな複雑な表情をして顔を赤らめた。
なにちょっと!みんな可愛いすぎるよ。
くああああ、お持ち帰りしたい。
みると、パンツ子ちゃんとリボンパン子ちゃんが倒れた兵士達の治療を始めていた。
なぜか包帯はパンツだ。
今度は青いパンツなのは、治療効果があるパンツという事なのかな。
2人とも、兵士の前まで行くとスカートの中からパンツを出して傷に巻きつけている。
兵士達が目をキラキラさせて嬉しそうなのが、ちょっとひくなー。
・・・そっか、これが『パンツ脱皮』か。
名前や形状はあほらしいけど、万能スキルじゃないの?
パンツをコアにしたのって、もしかすると本当に良い選択だったんじゃないかしら。
その光景を眺めながら、大公陛下はぼそりと呟いた。
「ナガミーチめ、我らを試すために現れたのだな。ゴーレムのここまでの力を見せつけられて、それでもナガミーチからゴーレムを買うのをやめられるかどうか。恐ろしい男だ。これでワシの支配力の低下がバレてしまうな。」
この演習により、貴族達は我先にと人工精霊のゴーレムに出資を始めた。
ゴーレムに自分の家名を与える事に意義を見出したからだね。
異世界人の大福君が司令官であるのは確かだけど、それは彼が居る間だけの事。
彼が何らかの理由で居なくなれば、ゴーレムに家名を与えた家は所有権を主張できるかもしれない。
だから、貴族は我先にと資材の提供をしたのだ。
よし、あとは大福君に頑張ってもらうだけだね。
なんでも資源は1200体分集まったらしいから、忙しくなるぞー。
よーし、頑張っていっぱい痛めつけちゃうぞ。
お読みくださり、ありがとうございます。
パンツ子「私のパンツは万能です!」
兵士A「病気にも効くんですか?」
パンツ子「はい!細かく切って飲み込めば大体治ります!」
兵士A「う、急に腹痛の病が」
兵士B「俺も急に欲望の病が」
兵士C「俺も恋の病だ」
兵士D[俺はロリコンの病が萌ちまった」
大豊姫「大丈夫ですよ、すぐに私が治療しましょう。ホーリーシャワー」
「「「「チッ、余計な真似を!」」」」
大豊姫「ええええ、なんで怒られるの。わたしが何したー!」




