大豊姫 その4
ひらいてくださり、あざっす!
―大豊姫 その4―
次の日
パンツ子ちゃんたちと、大公のお屋敷で朝の食事中。
ゴーレムガールズは金属片とデザートを食べている。
その姿を私と大公は、ほんわか眺めていた。
最初は1人だけ姿が違った三女のシルクレースちゃんも、今は普通の少女の姿になっている。
戦闘形態と日常形態を持っているとか便利だなあ。
おっ、普段は澄ました顔のシルクレースちゃんが甘い物を食べるときに「クフッ」って笑った。この姿はギャップ萌えだわ。
「大公陛下、もう王国侵攻なんてしないでこの三人と幸せに暮らすんで良いんじゃないですか?」
「実は少しそれも考えたのじゃ。」
「やっぱり…。」
そこで癒されてホンワカしていたダギル大公が急に頭を抱えて悩みだす。
「しかし、どうしても国境を押し戻さないといけないのじゃ。そうしなければ次の大公選任に勝てぬのだ。」
大公選任
フレンツ公国は8年おきに4公爵家と9侯爵家と32伯爵家が話し合いで国の代表『大公』を決めるのね。
現在は、ダギル・スー公爵が大公となっているが、魔王登場以降、失策続きのスー公爵は次の選任の話し合いでは間違いなく大公の座を失うと思われるわけ。
そして、次の大公選任は半年後なのだ。
わたしは頭を抱えるダギル大公に優しく諭した。
「逆に考えるのです。もうあの娘たちがいれば大公なんて辞めても良いじゃんと。」
するとダギル大公はユックリ顔をあげる。
「…そうじゃな。あの娘達がいれば引退しても楽しそうである。もう午後の演習もやめてしまおうか。」
すると急にリボンパン子ちゃんが悲壮な顔でコッチを見た。
「それは私達が頼りないからですか? かならずご期待にお応えしますから、私達の力を見てください。」
さっきまで甘いモノを食べてヘニャラとした表情だったシルクレースちゃんもキっとした表情になる。
「大公様、我らは100万の敵でも倒せます。まずは我らの力を見てからご判断を!」
そしてパンツ子ちゃんが立ち上がる。
「大公陛下、私達頑張ります!私達のようなゴーレムなんかをこんなに良くしてくださってるんですもの。恩は返しますよ!」
ダギル大公は嬉しそうに三人の手をとった。
「ありがとう。もうすこし甘えさせてもらおう。頼りにしておるぞ」
「「「はい!」」」
ええ光景や。
ゴーレムと人は分かり合えるのですね。
でもここに大福君の姿がない。
ゴーレムとは分かり合えても、大福君とは分かりあえなかったということかな。
彼は食事を食べるマナーが成っていないので、大公との食事が許されなかったから。
食べ物に覆いかぶさるようにたべるし、
ガツガツぐちゃぐちゃ音を立てるし、
あまつさえ、食事中に前方に向けてセキやくしゃみするし。
むりむり。大公陛下はもちろん、私も無理。
それに引き換え、長道さんは貴族のような食事の仕方をする人なんですよね。
ベルセック家の仕えることになった時、ついでに大炎姫さんに仕込まれたせいらしいけど、食事中には不快な思いはしたくないから、長道さんみたいな人と食事がしたいなー。
ああ、いまごろマリー様は長道様に食べさせてもらっているんだろうな。
良いなあー。
そこで大公陛下が朝議に出て行った。
さて、わたしはこれから何をしようかな。
そう思っていたら、部屋の外から誰かが手招きしていた。
「?」
私はその手招きの場所に行く。
いたのは大公夫人だった。
「大魔道師ダイホーよ、あの娘達はこのあと貴族の軍と戦うのか?」
「はい、ゴーレムとしての力を示さないといけませんから。」
すると、大公夫人のキツめの顔が困った表情になる。
「どうにか逃がしてあげられぬか?わたくしが呼び寄せておいてなんだが、このまま戦わせるのはあまりに不憫。責任はわたくしが取る、どうにかしてやってくれ。」
大公夫人!なんてお優しい。
ちょっと、ホロリときました。
すると、いつのまにかパンツ子ちゃんが大公夫人の後ろに立っていた。
「ご安心ください、大公夫人!」
「ひっ、どうやって背後に。」
「え?普通に走ってですけど。それよりも私達の事を気遣ってくださり有難うございます!そのお心遣いだけで私達は感謝感激です。そのように気遣っていただいたご恩には、勝利でお応えします!」
大公夫人はツリ目気味の目じりを下げてパンツ子ちゃんの肩を抱く。
「しかし、この戦いは我らの都合。巻き込んでしまって申しわけないと思っているのだ。」
「ありがとうございます。そのように人間の女の子のように扱っていただいただけで充分です。ですから、おまかせください。」
すると微笑んだパンツ子ちゃんは、ガッツポーズで大丈夫さをアピールした。
天使だ。
天界にもここまでの天使は居ないよ。
パンツ型ゴーレムマジ天使。
午後
草原で貴族の軍と向かい合った。
敵は5000の兵。
それに対して、こちらの戦力はパンツ型ゴーレム3人。
お互いが、にらみ合っている。
なぜか、ゴーレムの後ろには大福君が腕組して立っているのがイラつくわ。
おまえ何もしないだろ。
なのに純真なパンツ型のゴーレムに指示を出し始めた。
「じゃあまずはパンツ子とリボンパン子が突撃。そのあとシルクレースが空から追撃だ。」
私と大公夫妻は離れた場所から眺めているから、大福君の言葉は私にしか聞こえてない。
だからその内容を大公夫妻に教えてあげた。
すると私の後ろから、ヒョッコリと少女を小脇に抱えてフードを被っている人が現れる。
「それは馬鹿な判断ですね。こういうときは空からの航空戦力で先制後に、突撃部隊をおしこむものです。彼は判断力が低くてヤバイですよ。」
いきなり後ろから人が現れたので大公夫妻が驚いて振り返る。
「何者だ!」
急に現れた男性はフードを外す。
すると、その男性は長道さんだった。
お読みくださりありがとうがざいます。




