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大豊姫 その2

―大豊姫 その2―


となりの部屋がドンドンとうるさい音を立てるので、夜中に目が覚めてしまった。

「うるさーーい」


廊下に出て、ドガドガうるさい隣の部屋の扉を叩く。


ドンドンドン

「ちょっとうるさいですよ!」


すると、不思議そうな顔をした大福君が顔を出す。

「あれ、こんな夜中にドア叩くとかなんですか?常識無いですね」


ぶっちーん

なんか一瞬脳内で理性が切れた音がした。

このやろー。


思わず右手を振り上げようとしたら、反対側の部屋のドアが勢い良く開いた。

パンツ子ちゃんが、怒りの形相ででてきたのだ。

両手が肘の先から大砲のような形状になっている。


「司令官!夜中にうるさいですよ!それに文句を言いに来たダイホーさんに常識がないとか言うって、どんだけバカなんですか!」


なにこの天使。

私の代わりに怒ってくれているの?

私、久しぶりに優しくされたかも。


そしてパンツ子ちゃんはズカスカと大福君の部屋に入っていく。

私もその後ろから部屋を覗き込んでみたの。


でも不思議な事に、特に部屋が荒れているという事はない。

なんであんなに騒がしかったんだろう?


この部屋の様子にパンツ子ちゃんも混乱しているようだ。

大福君は、さも『この人たち迷惑だな』という顔でパンツ子ちゃんに近づく。


ドンドンドン


足音がすごかった。

なんで部屋の中で、あんなドンドンと無神経に歩けるんだろう。

するとパンツ子ちゃんもその足音から何かを察したようだ。


「まさか、今まで普通に行動していましたか?」

「そうだよ。風呂に入ったから着替えとかしていただけだけど。」


「ちょっと普通に着替えを出してもらっていいですか?」

「いいけど?」


パンツ子ちゃんの言葉の意図が理解できないという表情で、大福君は着替えの入っているクローゼットの扉をあける。


バタン!


さらにクローゼットの中から服を取り出す。


バン、ダン。


最後にクローゼットの扉を閉めた。


バタン!

勢い良く閉め過ぎたので、反動で跳ね返った扉が半開きになったので、大福君はまた押し込む。


バン!


私とパンツ子ちゃんは呆然としてしまった。

なんで着替えを取り出すだけで、こんなにバタバタうるさいの?

無神経?


パンツ子ちゃんは私の手を握ると真剣な顔で見上げてきた。

「ダイホーさん、明日からは司令官と部屋を離して貰いましょう。ものすごく遠くに。」


思わずパンツ子ちゃんの頭をなでた。

「そうね、きっとこれは氷山の一角ですものね。これから毎日イライライしそうだものね。」


そう言ってると、離れたところで大福君はヘラヘラ「ちょっとひどくない?ご冗談ばっかりー」とか言ってるけど、返事をする気もうせた。


こいつ、自分が無神経な自覚がないんだ。あなたは30歳過ぎだよね?

嫌だなー。ほんと長道さんの紳士っぷりや細やかさが懐かしい。




次の日

寝不足なのにメイドさんが起こしに来た。

人通り身支度をして部屋から出ると、ちょうどパンツ子ちゃんも出てきた。

「おはよう、パンツ子ちゃん。あのあとは良く眠れた?」

「おはようございます、ダイホーさん。私はゴーレムなんで睡眠は必要ないので大丈夫です。それよりもダイホーさん眠そうですね。大丈夫ですか?」


天使!

私の心配してくれるのね。

もう、この仕事が終わったら、ぜったいパンツ子ちゃんは天界に連れ帰っちゃおう。

パンツ天使。


一緒に食堂まで行くと、そこには偉そうな人たちが10人ほど待っていた。

まあ当然ね。


会議まで待てなかったのでしょう。

だって練成された人工精霊入りのインテリジェンス・アーツ(意思を持つ魔法道具)のゴーレムが、どう見ても人間の少女にしか見えないっていえば、興味津々なんのは当然だもの。


だけど、想像以上の大物が待っていたのは予想外だったけど。

偉そうな人たちの中央に、ひげの生えたヤクザみたいな貫禄のある人が座っている。


ダギル・スー大公陛下


この国の最高権力者だ。

ダギル大公はパンツ子ちゃんを手招きする。


「パンツ子よこちらに来てくれぬか?」

パンツ子ちゃんは嫌そうな顔をしながらも、手招きの応じる。


「エッチな事はしないでくださいね。」

その言葉に、その場の偉い人たちはどよめいた。


ゴーレムが拒絶の言葉を口にしたのだ。

たしかにインテリジェンス・アーツなのだという証拠だ。


大公は、自分の前に立つパンツ子をジロジロと真剣に眺める。

女子中学生を、鼻息荒く頭の天辺から足の先まで、ジロジロと絡みつくような視線で見るヤクザ。


犯罪の匂いしかしない。

パンツ子ちゃんもモジモジしながら顔を背けて、嫌そうな表情をしている。

だが、その態度が余計この場の人たちの興味を引いた。


いやこれゴーレムとか嘘ですよね。

本当は誘拐してきただけじゃないの?


すると同じようなことを思ったのか、ダギル大公もひげを撫でながらパンツ子ちゃんに尋ねた。

「どうみても人間にしか見えない。いくいつかゴーレムだという証拠を見せてくれないか?」


すると、シャキンと姿勢を正したパンツ子ちゃんは元気良く返事をする。

「はい!では少しこの場で破壊してもいいものを教えてください。人外の力をお見せします。」

「よい、人以外の全てを好きに壊すことを許す。ワシを納得させよ。」


すると、傍にあった等身大の人型の銅像の肩をおもむろに掴む。

この銅像、きっとお高いんでしょうね。

筋骨隆々とした男性の姿をした180センチくらいの銅像だ。


そして、表情一つ変えずに銅像の肩をグチャリと握りつぶした。


・・・え?握りつぶした?

音もなく、粘土が変形するようにパンツ子ちゃんの手からグニャリと変形した金属が漏れ出す。

銅像の肩は軽々と変形し、腕がボトリと千切れた。


ゴドッ


握りつぶされて千切れた銅像の腕は、金属の重さで床に落ち、重々しい落下音を鳴らす。

さらに落ちた銅像の腕を拾うと、パンでも千切るようにブチっと小さく引きちぎり、口に放り込んだ。


パク。

モグモグ


「あ、この青銅は高級品ですね。美味しいかも。」

そのまま腕一本、モグモグ食べきってしまった。


みな唖然としている。

パンツ子ちゃんはそれを見渡すと、勘違いしてすこし困った顔をする。

「これでは足りないようですね。うーんどうしよう。」


すると今度は自分の腕を掴むと、おもむろにガチャリと引っこ抜いた。

その腕をダギル大公に渡す。

「これならどうですか?」


驚きながらも、恐る恐るその腕を受け取ったダギル大公は、腕の断面を見て感嘆の声を上げる。

「なんと、これは機械か?それとも魔法陣か?」

「両方です。正確には機械を魔法陣として使用できるように配置しています。」


それをマジマジと眺めた後、パンツ子ちゃんに腕を返すと、パンツ子ちゃんは何でもないことのようにその腕を自分の体に再びくっつけた。


すぐに繋がった腕は動き出し、指が赤く光る。

そして1本1本指を確認するように動かすと、赤い光が緑に変化した。


五本の指が全て緑の光になると、指の光は消えて普通の状態になる。

「オールクリア。接続は正常に終了しました。」


ダギル大公はハッと我に帰った表情になると、あわててパンツ子ちゃんの腕を捕りマジマジと接続した場所を見る。

もう皮膚に切れ目はない。


そして感激したように両手でパンツ子ちゃんの両手を握り締めた。

「素晴らしい!これはなんと素晴らしいのだ。パンツ子よ。そなたに何か希望はあるか?あれば優遇するぞ?」


すると少し考えてから、屈託ない元気な笑顔を見せた。

「では学校に行きたいです。あとお金を稼いでお洋服やお菓子も自由に買いたいです!」


その言葉にダギル大公は孫でも見るような表情で目を細める。

「なんと、まるで人間のようではないか。よし、当面はインテリジェンス・アーツのゴーレムには軍籍を与える。給料も階級相等の金額を支払おう。学校は…そうだな、インテリジェンス・アーツゴーレムの数が増えたら、専用の教育学校を作ろう。それでよいか?」


「はい!有難う御座います、ダギル大公陛下!」


う、ポニテ女子中学生の元気なお礼がまぶしい。

心なしか、偉い人たちがみんな孫でも見るような目になってる。


おっさんたちの心を鷲づかみね。

歳が行った男性にとっては、エロエロバディーの誘惑よりも、少女の純朴さの方が心に刺さるということかしら。


勉強になるわ。

わらわらと偉い人たちはパンツ子ちゃんを囲んで歓談を始める。

なんか、アメ玉とかあげそうな雰囲気ね。


そこに大福君がメイドさんに連れられて現れた。

彼は、盛り上がったパーティーの後から現れたような表情をしている。


しばらく放置してから、大公は大福君を呼ぶ。

「お主がインテリジェンス・アーツのゴーレムを練成できる異世界人か?このようなゴーレムはすぐに大量に作れるのか?」


大福君は立ったまま頷く。

聞かれたら返事は「はい」でしょ!それに偉い人の前では膝を突きなさい!

「資材さえあればいけます。」


大福君は誇らしげに語った。

だけど…あんた、この術式の限界知らないでしょ。なんで知ったかして適当な事言うの?

実際は、術者の魔力分しか作れない(転送できない)から一日に10体位が限界よ?

多分ダギル大公は、休み無く2000体位作るイメージで言ってるけど大丈夫なの?


まあいっか、この男がどうなろうと、もうでうでもいいわ。

長道さんの事でも考えて時間を潰そうっと。

はい、パンツ子です。パンツ、パンツです!

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