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吉田保 その12 エピローグ

―吉田保 その12 エピローグ―


皆に集まってもらった。

主要な人物は屋敷の中にいるが、屋敷の外には沢山の領民が来ている。

私が消えると聞いて集まってくれたのだ。


私はこんなに認められていたのか。

なんとも嬉しいことだ。


屋敷に中には役場の主だった者や、町の顔役達があつまっている。

さらに若い貴族達や、デルリカ、大海姫、マリーと言う少女、ナガミーチ殿も来ている。


そこにビレーヌがチーズケーキをもってきてくれた。

「お義父様、我が領の特産品です。『あの』デルリカ様でさえワザワザお買い求めに来るほど乳製品は我が領のモノは高品質ですわ。是非ユックリと召し上がってくださいませ。」


「そうか、ありがとう。やはり最後は我が領自慢の一品を食せねばな。」

車椅子の私は、どうにか皿を受け取り、一口味わう。


芳醇で濃厚なチーズの味は、日本でも出会えないほど味わい深い。

美味い。


死を目前にして食べる一品として悪くないと思えるほど美味かった。

さらに一口食べる。

ああ、我が領は最高だった。

涙がこぼれる。


私はここで本物の政治家になれた。

私の第二の故郷と言ってもいい。


静かに涙がこぼれた。

もっと、この領を見守りたかった。

だが、ココまでのようだ。


ビレーヌを見る。

「ビレーヌよ、この領の事を頼んだぞ。」

すると私の手を握り美しい顔をゆがめる。


「お義父様から学んだことは、決して無駄にはいたしません。かならずや誰もがうらやむ公爵領といたしますわ。」

このような美しい娘を持てて、いい夢が見れた。


私はナガミーチ殿を見た。

「では、頼みます。」


ナガミーチ殿はユックリ頷くとマリーの頭に手をかける。

そしてスポっと髪の毛を引っこ抜いた。

まりの真っ黒い髪はカツラだったのだ。


カツラを取ると、マリーは水色の髪の毛をあらわにし、見る見る成人女性の姿になる。

驚いた。マリーがマリユカ様だったのか。


衝撃の事実を共有しようと周りを見ると、周りの者達はみなピクリとも動いていない。

驚く私にナガミーチ殿が説明してくれた。


「いま時間が止まっています。ですので誰も見ていません。それではタモツさんを日本に返還しますが、なにか言い残すことはありますか?」


そういわれて再度周りを見渡すと、たしかに動いているのはマリユカ様とナガミーチ殿と大海姫だけだ。

なんかデルリカと目が合った気がしたが気のせいだろう。


私は一呼吸落ち着き、口を開く。

「では、せめて我が領にマリユカ様のご加護を。」


その言葉にマリユカ様は嬉しそうにニパーっと微笑んだ。

「最後に民の平和を望むとは立派ですよお。あなたは本物の為政者です。私が保証しまーす。では日本に送りますね。さあ、アマテラス様、タモツをそちらに投げますよ。」


『おっけーね。』

遠いかなたから、マリユカ様の言葉に返事をする女性の声を聴いた瞬間、私は意識を失った。


ーーー


目を覚ますと、私は公用車の中だった。

ここは…日本か?

三年ぶりの車の振動が現実感を与えてくる。


夢、だったのだろうか?

それにしてはリアルすぎる内容だった。


車の中には1人SPがついていてくれているので、彼に話しかけた。

「君、私はどのくらい寝ていたかね?」

「5分くらいでしょうか。」


ちょっと寝た程度のようだ。

それで3年分の夢は見ないだろう。

私はどさりと背もたれに身を預けると笑い出した。

「あはははは、わけが分からんよ。」


SPの男は心配そうに私を見る。

「大丈夫ですか?お疲れですか?」


そこで私は彼に話したくなった。

「いや長い夢を見たのだよ。3年ほど公爵として自領を治める夢をな。そこにでデルリカと言う女に苦しめられながら、ナガミーチ殿という賢者に支えられて領主として成長する夢を見たのだよ。」


するとSPの男は凄い勢いで振り返って目を見開いた。

「デルリカさんやナガミーチさんを知っているんですか?もしや吉田議員はマリユカ宇宙にいかれたお人ですか?」


それを聞いて私は飛び上がるほど驚いた。

いやじっさい、飛び跳ねるように身を乗り出したのだ。

「君もか?君はどのような役目を負ったのだ?」


するとSPの男はすっと貴族の礼をする。

「私は勇者タケシーとして、かの地で3年戦いました。デルリカさんやナガミーチさんも魔王討伐の仲間です。」


驚いた。純粋に驚いた。

「君が勇者タケシーか。ナガミーチ殿から聞いたことがある。人工精霊を2人ももっているそうだね。かわいそうにデルリカによって生涯独身の呪いを掛けられたと聞いているぞ。」


その言葉に、タケシーは本当に嬉しそうに微笑んだ。

「あはは、私はデルリカさんにそんな呪いを掛けられているのですか。ですがそこまで執着されたと思えばむしろ勲章ですね。」


勇者は屈託なく笑った。

地味だが好感が持てる男だ。


数分後


国会につく。

私は、懐かしい通路を通って懐かしい衆議院議場に入る。

私は日本に帰ってきたのだ。そう実感できた。

マリユカ宇宙での経験を日本で生かそう。


そう思って気分を新たにしていると、本会議が始まった。

そして、私は野党と言う存在の虚しさを思い出す。

ひたすら与党の文句を言うばかり。野次を飛ばさないと党内の幹部に注意される。

なにより、信じられないことに党内の議員の殆どが具体的な政治の知識がない。


眩暈がした。

そうだ、こんな政治をしていたから、マリユカ宇宙に行った直後は苦労したのだった。

私は、離党届を出して、すぐに与党へ入党できるように働きかけを始める。


この行動は最初は受け入れられなかった。

与党は私を拒絶するし、元々居た野党からは酷い嫌がらせをされる。


だが私はくじけなかった。

正規の方法で与党に入党し、論文を提出して、与党の幹部と面談を繰り返し必死に訴えた。

「私は国民の為に政治がしたいのです。文句ばかり言って税金から給料を貰う野党なんて、もう嫌なのです。」


すぐに解散総選挙が起きたので、私は必死に拝み倒してどうにか与党の推薦を貰う。

そしてどうにか、再選をはたした。


本来は再選は難しいといわれていたのだが、選挙中にスーパーアイドルの佐山里美嬢が応援にきてくれたのは大きかった。

「吉田保さんを応援して欲しいって、ナガミーチPから連絡が来たんです。しかも私が潰したビグニー公爵家を立て直してくれたと聞いています。お詫びと言うわけではありませんが頑張りますね。」


とても魅力的な女性だった。

なるほど、若い貴族達が傾倒するのも納得だ。

お礼に、ナガミーチ殿が大豊姫写真100枚よりもサトミー写真5枚を選んだことや、サトミー嬢の事が好き過ぎて、マリーちゃんに『ジャンピングお膝の刑』をされたことを話して上げた。

サトミー嬢は顔を真っ赤にして大笑いをしたので、本心から喜んでくれのだろう。


選挙を終えて与党として政治活動をすると、野党だった頃がいかに愚かだったかを思い知れた。

何も出来ないことに疑問を持たない、そんな野党に慣れ過ぎていた。


政治は与党でしか出来ない。


それを理解していない議員は多い。

私もその1人だった。

だがビグニー公爵領での経験で私は目を覚ましたのだ。

政治は、政治の舵を握ってからが政治なのだと。

綺麗ごとだけでは意味がない、思想だけでは何も出来ない、大事なのはお金を動かせる立場だ。

与党と言うのは究極的には国税の使い道を決定する役目で、それこそが国政の最大の仕事。


少なくてもそれを理解したら、もう与党以外で仕事は出来ない。

だから私は与党でのし上がろうと思う。

そう、総理大臣と言う政治のトップは与党でしかなれないのだから。


だから私は野党を捨てた。

見ていてくれ、ナガミーチ殿。あなたから学んだ政治を必ず日本で役に立てるから。



私の異世界体験は、ここからが本当の戦いになるだろう。

マリー「ナガミーチ、私に内緒でサトミーに電話しましたねー」

ナガミーチ「違うんじゃよ。これはアレですよ。イロイロですよ。もう!いいじゃないですか!」


大海姫「(長道君、それは完全に浮気がばれた亭主の反応だよ)」


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