吉田保 その6
―吉田保 その6―
私の屋敷の中で賢者ナガミーチ殿が正座させられている。
ナガミーチ殿を正座させているのはマリーという少女だ。
「では第一回、ナガミーチ異端審問を始めまーす。」
そのことばに、大海姫とデルリカは困った顔で拍手をしてる。
なんだこれは?
マリーはナガミーチ殿の肩に手をかけて、正座しているナガミーチ殿の腿に乗った。
「ナガミーチ、今から嘘を言ったら『ジャンピングお膝の刑』ですからね。」
「マリーちゃん、すでに地味に痛いんですけど・・・。」
「じゃあ早く終わらせましょう。ナガミーチはマリユカ信仰を捨てて、サトミー崇拝をした疑いがあります。どうですか?」
「僕はマリーちゃん一筋ですよ。」
するとマリーはピョンピョン跳ねる。
「痛い!痛い!痛い! マリーさん本当の事を言います。本当はサトミーさんファンです。すいません。」
それでも飛び跳ねるのをやめずにニコやかにマリーは言い放った。
「邪教を捨てるのです。ナガミーチはマリユカ以外の信仰はダメですよー。」
「痛い!マリユカ様最高!マリユカ様大好き!マリユカ様が一番!だから許してください。」
そこでマリーはやっとピョンピョンをやめる。
「今回だけは見逃しますけど、次ぎに邪教を偶像崇拝しちゃったら『ジャンピング股間の刑』ですからねえ。」
「ううう、ひ、酷い目にあった・・・。しかもサトミーさんコレクションまで奪われて、もう立ち上がる気力も沸かない・・・・。」
サトミーか。
確か役場でも時々若い者が熱く語っていたな。
この世界で初めてアイドルという職業を切り開いた公爵令嬢だとか。
電撃引退してしまったらしいが、ナガミーチ殿がここまで熱を上げるなら見てみたかった気もする。
さて、行政について相談したいのだが・・・・ナガミーチ殿はぐったり床に寝転んで起き上がる気配が無い。
しょうがないので、アドバイスは後日貰うか。
まあデルリカと大海姫がナガミーチ殿を励ましているので、倒れたナガミーチ殿を置いて今日も役場に向う。
役場につくと、妙に騒がしかった。
代官のドルマンは私を見つけると、急いで寄って来る。
「大変でございます公爵様。楽市に目をつけた盗賊が領内に侵入したようなのですが、警備隊が少なすぎて守りきれません。急いでご判断を。」
日本では、与党が隣国から日本を守るとか言って自衛隊に関する法律を改正をするというとき、私達は妨害してたが、実際に襲われてしまうと困ってしまうな。
私は悩むが、みなが私を見ているので長く悩むことも出来ない。
するとそこに、デルリカがやってきた。
「ナガミーチが拗ねてしまいましたので、本日はワタクシがお手伝いいたしますわ。お話は聞かせていただきました。緊急予算を組んで下さるのでしたら、ベルセック領の軍備をお貸しいたします。ただしこの貸しは高くつきますがいかがいたしますか?」
役場がどよめく。
私は目をつぶりしばし考えて、日本を思い出す。
日本だったらどうする?
「今特別予算を組む余裕は無い。だがデルリカ嬢よ、軍事同盟を結ぶのではどうであろうか。
今は軍備が足りないが、当領の軍備も数年でベルセック領軍と同規模に増やす。
そうなれば軍事同盟は意味が出るであろう。
こちらの戦力が同盟として不足するであろう数年・・・いや5年はベルセック領から来る荷に税金を掛けない。それでどうであろうか?」
日本とアメリカの関係を思い出した。
軍事をアメリカに頼っていたんだから、日本がアメリカに逆らえないのは当然だな。
今理解した。
デルリカ嬢は静かに頷く。
「タモツ様はもっとお馬鹿な方かと思っておりましたが、良い決断をされるのですね。
よろしいです。その条件で契約をいたしましょう。
軍事同盟の締結と、向こう五年の関税廃止の契約書を作成してください。
契約が出来ましたらスグにでも2000の兵をこちらに送りましょう。」
役場に喜びの声が上がった。
リンクはスグに契約書をデルリカと相談して作成を始める。
これが政治か・・・
問題は次々起こり、責任者は決断の連続だ。いまなら与党の苦しさも分かる。
野党だったときの常識は捨てよう。
今は与党の動きを思い出して真似なければ。
その日のうちに条約は締結し、次の日にはベルセック家より兵が来る。
だが兵を見てさらに驚いた。
2000来たうちの1500がロボットだった。
こっちではゴーレムと呼ぶらしい。
最新兵器で武装か。
重要だな、勉強になる。
ベルセック軍はあっという間に盗賊を排除して、楽市付近に駐屯してくれた。
追々こちらの軍備もゴーレムで揃えたいものだ。
そうすると欲が出る。
ゴーレムを借りて土木工事が出来そうだ。
ゴーレム隊のリーダーである、ジャーニーという腰つきがやらしい女性は、すぐに了承してくれた。
彼女曰く『ゴーレムは疲れないから構わない』だそうだ。
お陰で急ピッチで領の開発作業は進んだ。
こちらの領でもゴーレムの調達は急がないといけないな。
日本では、こういう新しいモノを政府が購入しようとすると、すぐに問題点を無理やり見つけてきて反対したが、あれは愚かだった。
費用対効果でみないといけない。そんな当たり前な事すらココで理解した。
三日ほど役場に泊り込んで働いた。
役場の皆も、よく頑張ってくれた。
給料のアップも検討しなくてはな。
日本ではすぐに役人の給料をカットしようとしたが、いい仕事してもらうためには十分な給与が必要だ。当たり前の事だったな。
フラフラになりながら屋敷に帰ると、ナガミーチ殿はまだグッタリ倒れていた。
そのナガミーチ殿の横でマリーが一緒に寝転がり、絵本を読んであげている。
「・・・どう面白いでしょ。元気でましたかー?」
ナガミーチ殿はゴロリとマリーのほうに寝転がる。
「まあ、そろそろ心の痛手は和らいできましたよ。」
するとマリーはナガミーチ殿を引っ張り起して座らせる。
「じゃあこのデルリカ写真50枚セットをあげます。はいどーぞ。」
「これ全部デルリカさんに言われて僕が撮影した奴ですよ・・・まあいいか。ありがとうございます。」
「これは大海姫写真です50枚あげますね。これもどーぞ。」
「ああ、ナイスツイテ写真集ですね、ありがとうございます。」
「さらに今なら大炎姫写真もつけちゃいます。50枚ですよー。はい。」
「このキッツイ顔なのにこまった表情がいいんですよね。ありがとうございます。」
「ななんと、なんと。さらに大空姫の写真も50枚つけちゃいます。もう本当ギリギリですよ客さん」
「あはは、大空姫さんはスラッとしてシャープなシルエットで好きだな。」
「じゃあ最後はコレ。爆乳の申し子、大豊姫写真300枚、お風呂シーンも満載です。これかサトミーの普通のステージ写真五枚のどちらかを上げます。どっちが「サトミーさんで」いいですか?」
二人は無言で見つめあう。
「そこまで食い気味に答えなくてもいいじゃないですかー。大豊姫が可哀想ですよ。」
「もう一度言います、サトミーさんで。」
「・・・少しは悩んであげてください。大豊姫が自ら用意した秘蔵のお色気写真ですよ。エロいですよー」
「サトミーさんで。」
二人はまたしばらく無言で見つめあったが、マリーは渋々ナガミーチ殿に5枚の写真を渡す。
「やった!ありがとうございます。もうマリーちゃんが女神に見える。」
「・・・ナガミーチは忘れちゃってるみたいですけど、私は女神です。これで私への崇拝ポイントが上がるのって、納得行かないですよー。」
今度はマリーがガックリ元気が無くなった
だがナガミーチ殿が元気になったのならよかった。
急いで私は駆け寄った。
そして、今後の事を話し合う。
やはり今一番の目標は民主主義だ。
よく分からないが、民主主義を導入したい。
それを相談したら、あっけなく答えが返ってくる。
「でしたら、各集落や楽市の顔役を呼んで、合議をさせるのはどうですか?選挙まではハードルが高いですが、寄り合いでしたらスグだと思います。これも民主主義ではと。」
「私が悩んでいたのが馬鹿らしくなるほどあっけない解決だ。さすがは賢者。」
「いや、そんな大層な者ではないですよ。悩んでいる人はかえって答えにたどり着けないのはよくあることです。たまたまですよ。」
するとマリーが二枚の写真を私に突き出してくる。
一枚は、いかにもアイドルという感じの黒髪ストレートの美少女。
もう一枚は、ゆったりとした白い布のような服を着た、ブラウンのユルフワ髪をした女性。胸が凄い。
「タモツはこのサトミーの普通の写真と、こっちの大豊姫の裸写真だったらどっち「大豊姫で」がいいですか?」
マリーは暫し私を無言で見つめた。
「じゃ、服を着ていますがこの大豊姫の写真を上げます。この写真を持っていれば、きっと大地の恵みがありますよ。」
そういって私に写真を渡すと、何度も首をかしげながら「なんでナガミーチは大豊姫よりサトミー?」とつぶやきながら去っていった。
美人の写真なので無意味に嬉しい。
そっと財布に入れて持ち歩くことにした。
お読みくださりありがとうございます。
大豊姫「マリユカ様、私の発禁スレスレ写真にたいする長道さんの反応はどうでした?」
マリユカ「むしされましたよー。しょうがないので大豊姫の写真は近くに居たおっさんに渡しておきました。」
大豊姫「マリユカ様!ダブルで私にダメージがありましたよ!私のお色気写真を適当なオッサンにあげないでください。」
マリユカ「・・・おなかすいたな。長道のところに行こうっと。」
大豊姫「マリユカ様、興味失うの早すぎます!お願いです、もうちょっと私に興味を持ってください」
大海姫「大豊姫・・・がんばれ。」




