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石田長道 その9

―石田長道 その9―


お城から帰ってきたら、怒りのデルリカさんに捕まり向かい合って、オヤツを食べるハメになった。

僕の隣には大海姫さんが座っている。

マリーちゃんは、こういう面倒くさそうなときは見事に逃げてしまうだよな。僕も連れて逃げて欲しかった。


僕はこれからプリプリ怒ったデルリカさんのグチを聞くために呼び出されているのだ。

面倒だな・・・・。最初は『ヤバイ、グチられるパターンだ』と思って逃げようとしたのですよ。

でも大海姫さんが面白がって、僕を引っ張ってきてしまったのだ。


デルリカさんは、目の前に山のように詰まれたマドレーヌから一つを手にとると、それをバクリと食べてコッチを見た。


「あのタモツとかいう異世界人はお馬鹿なのでしょうか?

ワタクシに自領の執政について指導しなかったことを抗議して来ましたわ。

執政はあのお方の仕事でしょうに、何故ワタクシが文句を言われなければいけないのですか?

訳が分かりませんわ。しかもそれを陛下にいいつけるとか子供ですか!

なんなんですの、あの人。」


「ですよねー。」

生返事をしながら、僕もマドレーヌに手を伸ばして食べる。

せめてこれを食べて現実逃避しよう。


「ナガミーチ、また聞いているフリをして誤魔化していますわね!

ワタクシはとっくに貴方も異世界人だという事は気づいているのですよ。

ナガミーチやタケシー様やサトミー様を見れば、タモツが特別おかしいのだという事は分かりますわ。

ナガミーチは異世界人仲間なのですから、タモツの事はナガミーチがどうにかしてください。

・・・もう、また聞いてないですね!ちゃんと聞いてください!

ナガミーチはワタクシにだけ優しくないのは前から気に入らなかったのです。聞いてますか!」


一気にそういうと、またデルリカさんはバクバクといくつもマドレーヌを食べる。

この人、怒るとヤケ食いするんだよな。

あの食べっぷりからすると、そうとう怒ってるな。


そして何故か、怒りが僕に向いてしまった・・・

勘弁してくれー。


助けを求めて横を見たら、大海姫さんがニヤニヤしていた。

このやろう、アンタが逃げてる僕を捕まえるからこうなったんでしょ。

復讐として、あとでツインテを触り倒して堪能してやる。


が、こうなっては逃げられないからデルリカさんの相手をするか。

「じゃあデルリカさん、僕に『お兄ちゃん、デルリカの怒りを聞いてにゃん。お兄ちゃん大好きにゃん』って言ったら、マリーちゃん級に一生懸命相手しますよ。」


デルリカさんがマジキレの顔になった。

「お・に・い・ちゃ・ん。デルリカの怒りを・・・あとで叩きつけてやるにゃん。お兄ちゃん大好き・・・て言わせたことを後でマリーに言いつけるにゃん。」


「すいませんでした。いまから真面目に聞きます。」


「・・・もう、始めからそうしていれば良いのですよ。それで実際、ナガミーチ的にはどうする予定ですの? 出来たら早めに縁を切りたいのですけれど。」


「実を言いますと僕も同じ気持ちです。でも、どうにも出来ないですよ。」


バクリとまたマドレーヌを食べてデルリカさんは僕を睨む。

「どうにかしてください。それともワタクシが納得できるくらいの、どうにも出来ない理由があるのでして?」


「だって陛下の肝いりですからね。それに異世界人絡みはマリユカ様の問題でも有りますし。きっとこうやって困っている僕達を見て面白がっているんですよ、あのバカユカ様は。」


そういった瞬間、大海姫さんがバシリと僕の頭を叩いた。

「あ、これは一応ナガミーチ君を守るために叩いたんだからね。マリユカ様の罰が落ちる前に叩いてあげたんだよ。」


「・・・わかってます大海姫さん。お気遣いありがとうございます。でもうっかり口が滑っちゃうくらいには僕も今回はイライラしているって事です。まいったなー。」


僕と大海姫さんとデルリカさんは三人で同時にマドレーヌをバクリと食べる。


モグモグ。

無駄に美味しいな、このマドレーヌ。

っていうか、デルリカさんはお茶も飲まずに、よくこれをバクバク食べられるな。

僕は口の中のマドレーヌをお茶で流し込む。


大海姫さんは凄い勢いで三つほどマドレーヌを食べるとデルリカさんに向く。

「デルリカちゃん、今回ばかりはナガミーチ君に頼るのは無理だと思うよ。だってタモツの排除はしばらく不可能なんだから。それはマリユカさまのご意志だからね。諦めてマリユカ様の為に困っているコメディアンをやってちょうだい。」


するとデルリカさんが大海姫さんの隣に移動してきた。

「あの、もしもですが、ワタクシがマリユカ様の悪口をいっても大海姫様がワタクシを打てば天罰は無いのでしょうか?」


「・・・そうとう怒ってるんだね。いいよ、私が処理するから、好きなだけマリユカ様に怒りな。」


するとデルリカさんはマドレーヌを一気に5個ほど食べた。

さすがに苦しそうにしていたので、マリーちゃんにするようにお茶を飲ませてあげた。


「ぷはー、マリユカ様のバカー。ワタクシにばかり不幸を押し付けないでくださいませ!」


しかし大海姫さんはデルリカさんを打たなかった。

それどころか、すごく申し訳なさそうな顔をする。


そこにテクテクとマリーちゃんが歩いてきた。

「デルリカ、ごめなさい。ナガミーチも大海姫も謝って!」


「「ごめんなさい」」


「あの、なんですの?どうしたのでしょうか?」


マリーちゃんは謝るだけ謝ると、テーブルにあったマドレーヌを5個ほど抱えて、またテクテクとどっかに行ってしまった。

大海姫さんは苦笑いをする。


「つまりさ、デルリカちゃんはマリユカ様に文句を言う資格があるって事さ。」


微妙な空気になったが、なんとなくデルリカさんの怒りは弱まった気がする。


っていうか、テーブルを見たら、あの山のようにあったマドレーヌがなくなっている。

随分と食べたな。


デルリカさんはスクリと無言で席を立った。

ふう、開放されたか。

でもすぐに山のようなシュークリームを持ってきて、また僕の前の席に座った。

「で、話の続きですけど・・・・」


続くのかー!


なんで女性の文句は長いんだろう。助けてくれー。

それともデルリカさんが特別文句が長いのだろうか。

むかしっから、この人は怒るとお菓子を山のように持ってきて、延々文句を聞かせてくるんだよな。僕以外の人を捕まえてやてほしいよ。


タケシーさんが消えたときなんて、1週間くらいお菓子食べながら延々恨み言をきかされたんだよね。不眠不休で。


「・・・て、ナガミーチ!聞いてますか!『お兄ちゃんにゃん』を言ったんですから、ちゃんと聞いてください!」


”ほんと参ったな。デルリカさん、早く誰かと結婚しないかな。そしたら僕はグチ処理係から解放されるのに。”


「ナガミーチ!たとえ結婚しても文句があるときは実家に帰ってきてナガミーチにグチりますわ。諦めなさい。」


「うわ、デルリカさんは心が読めるの?」


すると大海姫さんがお腹を抱えて笑い出した。

「あはははは、やっぱりナガミーチ君は最高だわ。いま小声で心の声が漏れてたよ。」

「マジか!」


みるとデルリカさんがジト目で僕を睨んでる。

むむむ、諦めてシュークリームに手を伸ばした。

うん、これも無駄に美味しい。


「おっけー。がんばりますので、続きをどうぞ。」


そしてそのあと、12時間ほどタモツさんへの怒りを聞かされた。


気がつくと僕は、ぐったりして座ったまま寝ていた。


座ったまま寝ていると、大海姫さんが僕をゆする。

目を開くと、もうデルリカさんは居なかった。

どのくらい寝ていたんだろう。

大海姫さんは楽しそうに頬杖をしながら僕を見た。


「ねえ長道君、そういば私が千里眼でお城を見て居たら、タモツが長道君に『長道だろ』って迫ってたの見えたんだ。あのとき『パラレルワールド』って言って誤魔化していたけど、あの言い訳って前から考えていたの?」


「え?あれはなんかの間違いでデルリカさんが天界と通信とかしちゃって、僕の本名がバレた時用の言い訳ですよ。やっぱ本名がばれると異世界から呼ばれてマリユカ様の従者になったって事がバレやすくなりますからね。」


そう言った瞬間、誰かが僕の肩を凄い握力で掴んでくる。


痛い!痛い!


振り返ると、山のようなチョコチップを持ってきたデルリカさんだった。


「ひょえー。まって!今言い訳を考えるから。・・・えっと、夢見てました。あれれ夢と現がごっちゃになっちゃった・・・・。」


バンと荒々しくチョコチップの乗ったトレイを僕の前に置くと、デルリカさんは僕の隣に座り、病んだ顔で肩を組んできた。


「お兄ちゃん、その話を詳しく教えて欲しいにゃん」


急いで、自分のあごを殴って気絶してみた。

でもスグに回復魔法で起された。うぐう、さすがデルリカさん、死角なし。


「こまったな。嘘でも良いなら話しますよ。なんせ天界の秘密は話せない事が多いですから。」

「では、話せる範囲で真実を。」


大海姫さんを見てみる。

やっぱニヤニヤしてた。

くそ、わかっててタイミングはかって質問してきたな。

罰として後で、ツインテに頬ずりしてやるからな。


で、僕は諦めた。


「そうしますと話せることは少ないですよ。僕はマリユカ様のご意志をにそって動いています。必要な時は、人々が運命から外れないように手助けをするのが仕事です。

僕は異世界から来たといっても、死ぬ直前でコッチに呼ばれましたので、元の世界に帰るわけには行きません。ですからほかの異世界人みたいに帰ることはありません。

まあ話せるのこの程度ですかね。」


デルリカさんはチョコチップを僕の口にねじ込んだ後、自分もバリバリ食べる。

「よく分かりましたわ。で、それって言いふらされると困ることではと思いますがいかがでしょうか?」


「も、もちろんです。すっごく困ります。」


怖い顔でニヤっとされた。

そしてまたチョコチップを口に突っ込まれた。


「では、お兄ちゃん、ワタクシがそれを言いふらしたくならないように、ワタクシのお話をいっぱい聞いて欲しいにゃん。」


「はい、是非お話を聞かせてください・・・・。」


デルリカトークショーはさらに12時間続いた。


そして開放される。

今回は二日も連続グチりんぐだったな・・・。

いや、二日で済んでラッキーだったと思うことにしよう。


すると大海姫さんが僕の手を引く。

「さ、デルリカちゃんの用事が済んだから遊びに行こうよ。長道君のお勧めはどこ?」


寝かせてくれ!怒りで大海姫さんのツインテを心行くまで揉んでみた。

さらに心の中で勝手に予告したとおり頬ずりもしてみる。

そして諦めた。


「はいはい、遊びに行きますよ。じゃあ、ついでですからビグニー公爵領でも行きますか?あそこの領は、乳製品だけは良い感じですから。」


そういって歩き出すと、後ろからお出かけ用の格好をしたデルリカさんが付いてくる。

「・・・デルリカさん、斧を持っていくなら置いていきますよ。」


すると無言でスカートの中から二つ折りの斧を取り出して、ポイっと捨てた。

まいったな、この人は絶対ついて来る気だ。


うん、これから波乱が起きそうな予感しかしない。

お読みくださりありがとうございます。


デルリカ「ナガミーチ、聞いてますか?。」

ナガミーチ「はいはい(この役目、色ボケバカ貴族達に交代して欲しいよ)。」

デルリカ「・・・聞いてないですね。ワタクシはいつでもナガミーチがマリーに見つからないように隠しているサトミーの写真を燃やせるのですよ。」

ナガミーチ「是非デルリカさんのお話を聞かせてください(泣。」


マリア「デルリカに懐かれると大変ですわね・・・。」

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