松尾健太 その1
*2016/03/08 うっかりしていた部分があり、名前を変更しました。
―松尾健太 その1―
拙者は松尾健太、昨日までニートだった。
されど今日から35才になったので、無職引き篭もりにクラスチェンジなのである。
知らない人も多いけど、ニートは34歳まで。
それを超えたら無職引き篭もりという、上位職になるのである。
拙者が太っているから、今までは親からブタニートとかいわれていたけど、これからはブタ無職と呼ばれるのだ。
なにか屈辱だ!
「うおおおおおおおおお!拙者が何をした!何もしていないのに世間の目が冷たいのだ!」
『なにもしないから冷たいんじゃない?』
世界の理不尽さを怒りに変えて叫んだら、頭の中に女性の声がした。
普通なら頭がおかしくなったのではと心配するかもしれない。
しかし!拙者ほどになれば普通の事としてうけいれられるのだ!
これあれでしょ、待ちに待った異世界召喚でしょ。
拙者は瞬時に理解し、女性の声に届かせるつもりで叫んだ。
「拙者に異世界召喚チート人生のチャンスをください!」
『おっけーね』
次の瞬間、拙者は悪役令嬢と天然系美女の前に転送された。
う、う、ええええええ。
いや、本当に異世界召喚?
え、まじ?
混乱しながら、拙者は質問をした。
「あの、もしかして拙者たちは異世界に召喚されたのでしょうか?」
ーーーーーーー
そして今拙者は、ポツンと森の中で立っている。
展開が速すぎる。
ちょっと前に拙者は女神マリユカたんに「ハーレム」をおねがいしたのだ。
そしたら
『はいはーい、では松尾健太にはハーレムつくりに必要な能力をあげますね。スキル<魅了・チャーム>は当然として、女性を守るための筋力アップの<剛力>と防御の<鉄身>を与えます。では頑張ってください!』
そして眠くなり、目を覚ましたら今に至る。
な、何を言っているのかわからねーと思うが
おれも、何をされたのか分からなかった。
とにかく、歩くか。
テクテク歩き出す。
さらに歩く。
もっと歩く。
うわああ、もう無理だ!
俺はすげーデブだぞ。
歩くとお腹だけでなく、ホッペもゆれるくらいのデブだぞ。
歩けるか!
諦めた、俺はココで死ぬ。
根性はないんだ、ニートなめるなよ。
歩いたら負けだと思う。
フテ寝してやるよ。
すこし眠っただろうか。
すると遠くから足音が聞こえてきた。
ん?こんな森の中で足音?
その足音は俺の近くまで来る。姿が見えた。
「あ、卿はたしか石田さん?」
そう、拙者の前に現れたのは、一緒に日本から来た石田さんという人だ。
こっちに来てすぐに話をしたので良く覚えておる。
向こうも拙者を覚えていたみたいだ。
「おお、松尾さん、こんな所にいたんですか。大丈夫ですか?」
くう、孤独な時に知り合いに会うと染みるねえ。
「拙者、気が付いたら森の中に居て、困っていたのだよ。石田さんは?」
「ああ、似たようなものです。あ、僕の事は気軽に長道と呼んで下さい。」
そう言いながら拙者に手を伸ばし、起こしてくれた。
そのあと、サバイバルは得意だという長道さんについて歩いていたら道らしきものに出た。
いやあ、長道さんに出会えて助かった。
道に出たので少し休憩していると、何やら馬車が来るのが見えた。
長道さんは馬車に手を振って叫んだ。
「すいませーん、ここから街までどのくらいの距離かわかりますかー?」
馬車がすれ違う時、御者が刀を構えながら答えてくれた。
「向こうに歩けば3~4時間くらいかな。きびきび歩けば日が落ちる前に着くよ。」
「ありがとうございます!」
通り過ぎる馬車を少し眺めて長道さんは歩き出した。
「さ、行きましょう。まずは宿に着かないとね。」
「あ、待って。でもあの馬車の御者は刀構えて話するとか、何なんだろうな。」
「ああ、しょうがないですよ。お金持ちの馬車は山賊に狙われやすいですからね。この世界は中世ヨーロッパ的な文明に魔法と魔物が存在する世界ですから、馬車の安全も保障されていないんですよ。」
なるほど、さすがファンタジーの世界。
そして拙者が無双して大活躍まで夢想した。
馬車が行った方向に2時間ほど歩いていたら、なんかさっきの馬車が止まっているのが見えた。
馬車の周りを、刀を持った連中がとり囲んでいる。
なんだ?
「松尾さん、あれって山賊に襲われているんじゃないですかね?助けたら街まで乗せてくれないかな。」
長道さん、あんた呑気だね。
でも拙者も足を止めて眺めるだけ。
だって怖いもん。
「きゃあああ、離しなさい!」
少女の悲鳴が聞こえた。
たぶん、拙者のロリセンサーによれば13歳くらいの美少女の声。
盗賊共め!YESロリータ、NOタッチの原則をしらないのか!
怒りに震えていると、隣の長道さんがとんでもない一言をつぶやいた。
「これはもしや、救出で惚れられるフラグではないでしょうか?。松尾さんは<剛力>と<鉄身>があるから無敵無双できるのでは?」
ぐおおおおお!
無双&ロリは男のロマン!!
そこでなぜか拙者は理性が飛んだ。
ドタドタ走り寄ると、こっちに気づいて近づいてきた盗賊を殴りつけた。
ウリイイイイイイ
一撃で敵は5メートルほど吹っ飛び気絶する。
殴る瞬間、盗賊の刀が首に当たったが<鉄身>を発動していたので弾き返した。
マジだ!拙者無双モードに入ったかも。
仲間がふっとばされるのを見て、慌てて弓を持った盗賊が拙者を射る。
キン
もちろんオデコに当たった矢は跳ね返った。
わはははは、効かん!効かんなあ!
10人ほどいた盗賊は、あっという間に拙者に伸されて、捕縛された。
ふう、正義執行完了。
一息つくと、馬車の扉が開き、中から見事な金髪お嬢様系ロリが降りてきた。
「あの、危ないところをありがとうございました。」
「むふふ、お嬢さんを助けるのは男の務めです。」
お嬢さんのあとから、妙齢の貴婦人が降りてくる。
「よろしければお名前をお教えください。」
「拙者は松尾健太と申します。しがない旅人であります。」
それを聞き、貴婦人は拙者の手をとる。
「でしたら、是非当家にお泊まりください。お礼としては些細で申し訳ありませんが、精一杯おもてなしさせていただきますので。」
お、ラッキー。
もしや本当にフラグだったかも。
拙者は振り返って長道さんに声を掛けようとした。
だが・・・
そこにはもう長道さんはいなかった。
一人で逃げちゃった?
しょうがないので、拙者だけでお呼ばれされちゃおっと。
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イケメンスイッチという小説も書いています。よろしかったら読んでください。