佐藤毅 その4
4/2 15:00 後半を一部修正しました。
―佐藤毅 その4―
さすがにドラゴンゴーレムは目立ちすぎるので良くないと言う事になったので、城下町の直前で、竜車を森に隠してから、積んであった人力車に乗り換える。
ドラゴンゴーレムなどと言う珍しいものは、大貴族や王族の目に触れさせて騒がれたら、時間を無駄にしてはもったいないという判断だ。
人力車で移動と言っても、二台に分けてマリア奥様とデルリカさん、カイル君と大空さんの4人だけでの移動だ。
ナガミーチさんが用意した人型ゴーレムが引いていくために用意した人力車なので、2人しか乗れないということらしい。
残りの4人は、竜車のお留守番だ。
「それでは行って参ります。」
デルリカさんは、にこやかに手を振って出発して行った。
それを見送ると、マリーちゃんとジャーニーさんが持ってきた格闘ゲーム用のゴーレムで遊びだしたので、私とナガミーチさんは森の中の散策に出る。
目的は私のレベルアップだ。
「ではタケシーさん、最初は弱いのから倒しましょう。」
今私は、ナガミーチさんが用意してくれた防護服と刀を持っているが、刀など使ったことないので少し不安だ。
数分歩くと、すぐに最初の敵が現れた。
毒蛇が居た。
「あ、ちょうど良いですよ、サクっと倒して来てください。」
そういわれても、動物なんて殺したこと無い私には難しい。
だが、一瞬デルリカさんの顔が頭をよぎる。
あ、デルリカさんのためなら、何でも殺せる気がしてきた。
私は刀を抜き毒蛇に近づく。
毒蛇は私の存在に気づかないのか身構えない。
そこにソロソロと近づき、刀を振り下ろした。
するとあっけなく蛇の首が飛ぶ。
すると、急に音が聞こえた
ぴろりろりーん。
電子音とともにマリユカ様の声が聞こえた。
『タケシーはレベルがあがった。レベルが1になった。スキルを1つ身につけた。』
「何だ?」
するとナガミーチさんが微笑を浮かべて答える。ナガミーチさんにも聞こえていたようだ。
「今のぴろりーんは、勇者のレベルが上がった音ですよ。僕が開発したステータスシステムですから分からないことは遠慮なく聞いてくださいね。」
「・・・このレベルアップのシステムを作ったんですか?ありえないですね。」
「ま、イロイロなゲームのパクリばっかりなシステムですけど。この世界はパクリ放題しても怒られないなのがいいですよね。」
「ナガミチートさん、すごい事を軽い調子で語りますね・・・。これってステータスとか確認できるんですか?。」
「う、変な呼び方しないでください。目をつぶって手のひらを見れば書いてあるはずです。メニューは右手、ヘルプは左手です。」
言われるままに目をつぶり右手を見ると、私のステータスが書いてあった。
筋力とか速度とか知能とか、いろいろな数字の下にスキルが一個書いてある。
『勇者爆弾』
「あの、、、、勇者爆弾って書いてあるんですが・・・・。」
目を開いてからそう告げると、明らかに顔を引きつらせたナガミーチさんは一歩後退した。
「いきなりか!あ、説明しますね。勇者はレベルアップするたびにスキルや呪文をマリユカ様がチョイスして贈ってくれるのです。そのなかでも『勇者爆弾』はあるいみ最強の技の1つです。」
「おお、いきなりブッ壊れスキルですか。どんなスキルなんですか。」
ワクワクして聞くと長道さんの表情がさらに微妙になる。
「ええ、まあアレです。目に見える相手の中から、何人でも選んで息の根を止められます。もう確実に。たとえ魔王でも『勇者爆弾』をされたら即死です。」
「え、それ凄すぎませんか?壊れ過ぎな強さですよ。」
「ええ、ですが一生で一回しか使えません。自分が爆発してしまうので・・・・。」
え?聞こえてきたはずなのに、心がその言葉を受け付けなかった。
「自分が爆・・・いや、意味分からなかったのですが。」
「はい、敵に集中して舌を噛み切ると、自分が爆発して誰であろうと倒します。一生で一回だけ確実な勝利を与えるスキル。それが『勇者爆弾』です。まあ正直、いちばん使えないスキルでもありますね。」
ちょっとクラっと来た。
マリユカ様は何を考えているのだろう。
するとナガミーチさんは私の肩を叩く。
「でも今のスキルの話はデルリカさんには秘密にしましょう。知られたら魔王の間で絶対『勇者爆弾』を要求されますから。デルリカさんは、ヤスコーさんの事に関しては理性が砕けてしまうので・・・。」
「は、はい。重要情報に感謝します。」
だんだんデルリカさんという人が分かってきた気がする。
ヤスコーさんに関することになると、恐ろしい人になるようだ。
そのあと、小さい動物を何匹かしとめて私はレベル3まで上がる。
スキルや呪文は覚えなかったが、食事の材料が随分取れたので焦らず竜車に戻ることにした。
ーーーーーーーーーーー
竜車に帰り着くと、そこは死屍累々だった。
大量の男達が倒れている。
何があった???
少し離れた場所では、まだ戦いは続いていた、相撲取り型ゴーレムのとマタドール型ゴーレムが、武器を持った男達を次々になぎ倒している。
ほんと、何が起きている?
するとナガミーチさんがニヤりとした。
「盗賊か、馬鹿な連中ですね。マリーちゃんもジャーニーさんも無駄にゴーレムで遊んでいるからゴーレム遣いとしては破格の強さなのに。」
みるみるウチに敵はなぎ倒され、全滅した。
最初はジャーニーさんが戦力になるのか疑問視したけど、ゴーレム使いという意味では確かに心強い。
感心して眺めていたら、ナガミーチさんは爽やかに微笑みながら倒れている連中を指差した。
「じゃ、倒れている連中を全員刺していきましょうか。レベルアップできますよ。」
「え、それはちょっと非道すぎませんか?」
「これで大量レベルアップして強くなれば、デルリカさんに『タケシー様、すっごい』とか言われますよ。」
「・・・・・トドメ刺せばいいんですか?」
「追加ダメージさえ与えれば良いですよ。相手が死ねば追加経験値が入りますが、敵に与えたダメージ分もダイレクトに経験値になりますから。」
デルリカさんのために貪欲に行くことにした。
トドメを刺していこう。
まずは一番近くで倒れているやつから。
刀を構える。
そこで手が震えた。
刺せそうと思うと、死の瞬間がどんなものか考えてしまい、刺し殺せない。
だがやらなければ。
怖い。
・・・くそ、人を殺すのがこんなに怖いものだとは知らなかった。
すると、見かねたナガミーチさんが微笑みながら私の肩を叩いた。
「タケシーさん、厳しそうなら今回は諦めましょうか、先は長いですしね。この倒れた連中を処理するために向こうからドラゴンゴーレムを持って来てもらえますか? 背中に乗れば言う事聞いてくれますから。」
わたしはガックリ力が抜けた。
これでは先が思いやられる。
だが、これは焦ってもしょうがないと自分に言い訳し、剣を鞘に戻すと、私はトボトボとドラゴンゴーレムに向った。
行くとドラゴンゴーレムはキャンピングカーから外されて、しゃがんで待機している。
私は背に乗って命令しようとした。
すると地面に立っているナガミーチさんがニヤリと微笑んだ。
「ドラゴンワン、タケシーさんと共に、倒れた敵を処分して来い。食べていいよ。」
私が口を開く前に、ドラゴンゴーレムの下からナガミーチさんが先に命令した。
「え?え?え?」
私が混乱している隙に私が乗ったドラゴンゴーレムは立ち上がり、倒れている男達を食べだした。
『ひいいいいい』
次々にドラゴンゴーレムに人が食べられるのを眺めながら恐怖で悲鳴も出なかった。
50人くらいの男達が転がっていたはずなのに、数分後にはみんな居なくなった。
そしてまたあの音が鳴り響く。
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが4になった。スキルを1つ身につけた。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが5になった。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが6になった。武技を2つ身につけた。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが7になった。呪文を2つ身につけた。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが8になった。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが9になった。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが10になった。スキルを2つ身につけた。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが11になった。呪文を2つ身につけた。』
ぴろりろりーん
『タケシーはレベルがあがった。レベルが12になった。武技を2つ身につけた。』
かなりレベルアップした。
なんかすごいことになった。
どうやら、腰抜けの私は、ナガミーチさんにハメられたらしい。
騙されるようにドラゴンゴーレムの背に乗っただけなのに、何もしないでレベルがあがった。
あわてて目をつぶり、右手を見てステータスを確認してみる。
なんか、筋力だの魔力などの数値は、最後に見たときはまだ全部一桁数字だったのに、今は100近い数値のものもある。
かなり強くなったようだ。
スキルや呪文も増えていた。
スキル <勇者爆弾><モブ><探索><鑑定>
呪文 <回復><カマイタチ><影分身><幻聴>
武技 <剣術1><居合い1><弓1><手裏剣1>
なんか勇者っぽい。
これは、結構期待できそうだ。
さっきまで、あんなにビビッていたのが嘘のように、私はウキウキしはじめていた。
ありがとうございます。




