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石田長道 その5

デルリカ「全てを捧げた・・・」

注:キスして生乳もまれただけです。

―石田長道 その5―


大田さんはヤスコーとしてデルリカ嬢をエスコートするほどに成長した。

本人も楽しそうで何よりだ。

今回のシナリオは一応成功しているようで安心している。

なんせ、大田康子さんを地上に降ろす前、僕は随分悩んでいたから報われた気分だ。


そこで、今までのことを思いだしてみる。


前回。

日本人の異世界記はマリユカ様の娯楽なのに、松尾さんの異世界記が一日で終わってしまったのは痛恨だった。

初仕事でいきなりミスをした気分かも。


でも、マリユカ様も大天使の大海姫さんと一緒に喜んでくれていたので、ギリギリ許されたんだけど。

今度はちゃんとやらなくちゃと思っていたところで、松尾さんの毒牙に掛かったデルリカ嬢の近況を大海姫さんから聞かされたわけで。


僕はイロイロ考えた。

そこで一瞬で終わらせない方法と、デルリカ嬢やマリア夫人へのフォローを同時に行う名案を考えついたんだ。


大田康子さんを赤ちゃんの状態からスタートさせることで、太田さんが数年は無茶が出来ないようにする。

その赤ちゃんをベルセック伯爵家に送り込む。

赤ちゃんというのは不思議なもので、人に生きる意味を与えてくれることが多い。

マリア夫人が受け入れるかは賭けだったけど、受け入れてくれたみたいで良かった。マリア夫人、まじマリア様。

もしもダメだったらナガミーチとして僕が引き取るつもりだったけど、受け入れてもらえてよかった。


これで万全と思ったら・・・

誤算だったのは、大炎姫さんと僕が昼間は地上に降りて、夜しか天界に戻らないからマリユカ様が駄々をこねだした事だった。


『やだやだ、わたしも地上で一緒に遊びたいー!!』


これは困った。

まあどうせ、人間達は最高神がこんな無邪気系バカ娘だとは知らないだろうから連れて行っても良いかな。そう思っていたら、大炎姫さんから待ったが掛かったのだ。


『長道殿、確かに地上でマリユカ様は聖母のような落ち着きのある女神だと思われていますが、水色の髪の毛のままではマズイです。水色の髪の毛はそれだけで最高神マリユカ様と判断されてしまいますので。』


そこで詳しく聞いてみて、ちょっと驚いた。

この世界では、人はおろか全ての生物は水色の毛を持てないそうだ。


なので、たとえ染めても世界中の生物の毛は全て不思議な力で水色にならない。

そして、マリユカ様はどうやっても水入りの髪の毛を他の色に変えられないそうだ。

そういう世界ルールらしい。


で、鳥の姿になろうが犬の姿になろうが、水色の毛をしていたらマリユカ様が姿を変えて光臨したとバレてしまうという。


じゃあうっかり、どっかの素晴らしい世界の女神様とかこの世界に召喚してしまったら大変な事になるとか考えた。けど話が面倒になるのでそこは言わない賢い僕。


いやそれは良いか。


で、だから絶対にマリユカ様を地上に連れて行くのはダメだと、大炎姫様がマリユカ様を説得していた時。

・・・・それってコレで解決じゃね?と思いながら僕は、黒髪パッツンのウィッグをスポっとマリユカ様に被せてみた。


その時の大炎姫さんの驚愕の顔は今も忘れられない。


いや、この説明をするために他の大天使さん達にも見せたけど、みな衝撃を受けた顔をしていた。

『そ、そんな手があったのか・・・。』


そこまで驚かれたことに驚いたっす。

どうやらズラを被るという発想は、マリユカ宇宙で人類が登場してから690万年の間にまったく無かったらしい。

そして口々に『さすが日本人!我々に出来ないことを軽々やってのける』と大絶賛された。

ま、地球人は700万年の歴史があるからね、ふふーん。


そして何故黒髪パッツンのウィッグがあったのか?

それはいつかマリユカ様を騙して・・・じゃなくて必要になった時にメイド服を着てもらうために用意したのです。


メイド服は男のロマン。

日本のメイド服には、黒髪パッツンは必須。

ポニーテールにして良し、ツインテールにして良し、ストレートに下ろしてもよし。


。。。っという僕の秘密は隠しつつ、賞賛を受けて少し心が痛んだ。

ま、始めに『こんなこともあろうかと密かに用意しておいて良かった』と言ってしまったので本当の事が言えなくなっただけなのだけど。


その状態でマリユカ様を地上につれてきたら『帰りたくないのでここで暮らします』と当然言われて今に至る。


まあ、天界にイチイチ戻らずに、この使用人室で全てが終わるのは僕も楽でありがたい。

なにより!

マリユカ様がメイド服を着て過ごしていらっしゃる。

しかも幼女。


やっべ、まじやっべ。

本来は召喚した日本人を記録するために用意してもらったカメラやビデオでマリユカ様を記録しまくりだ。

なんか夢がかなった。

もう、一片の悔いなし。


そんな僕に新たな敵が現れた。

マリア夫人だった。

とにかく、しょっちゅう僕の使用人室にお菓子をもってやって来る。


マリユカ様は地上ではマリーと偽名を使っているのだけれど、マリア夫人はマリーがめちゃくちゃお気に入りなのだ。


マリア夫人が居たら仕事が出来ないんですけど。。。

でもマリユカ様もキャッキャと楽しそうだし追い出せない。


マリユカ様、お菓子に弱いからな。

まさか最高神が、お菓子程度で簡単に買収されるチョロイ神だなんて誰が思うだろうか。

そして敬虔なマリユカ教の信者であるマリアさんは、自分の膝の上で雛鳥のようにパクパクお菓子を食べる幼女がマリユカ様だと思いもしないのだろうな。


まあ楽しそうな二人を見て、追い出す事はできないな。


仕方が無いので、僕はこの世界の魔術研究ばかりしている。

主に、魔術をプログラミングの常識に置き直す再編纂の研究だ。


そもそも最初はゴーレムという名のロボットをマリユカ様に作ってもらい「人形遣いの魔術師」という肩書きでこの屋敷にきたけど、最近は自分でゴーレムを作るくらい詳しくなった。

魔術をプログラミングの常識に置き直す作業の一環としては、ゴーレム作りは最適だったポイ。


でも僕が急速に魔術に詳しくなったのには別の理由がある。

資料が最上級なのだ。

ある日、マリユカ様にもらった資料を机の上に置きっ放しにしていたら、それを見つけたマリア夫人が絶叫した。

『これは、王家でも手に入れられていない禁書、エンドロビウムの書ではないのですか!なぜこれをナガミーチが??!』


最高神に貰いましたとは言えないので、『うちに有ったので、価値は知りませんでした』といって誤魔化した。

いや、ホントに天界という名の実家にあったし、価値は知らなかったし嘘は言ってない。


それ以来、マリユカ様がくれるモノはあまり人目に触れさせないようにしようと思った。

僕が魔術に精通できるわけ、それは魔術の奥義とも言える禁書の数々を軽々と貰えるから。

それに疑問があったら大天使の誰かに聞けば、どんな深遠な内容の質問も気軽かつ分かりやすく教えてくれるし。


王立の魔道研究院が小学校に思えるレベルの環境。それが僕の魔術研究環境なわけだ。

詳しくなって当たり前だね。


まあそれはいい。


今回で一番厄介だったのはヤスコーさんのネガティブ思考の改善だ。

僕は、このミッションの最初、マリユカ様に『大田さんを転生させるとき、美少女にしてあげてください』と頼んだのに、何故か前世の大田康子さんとそっくりの姿になっていた。

それをマリユカ様に言ったら『あれはあれで可愛いですよ』と言われて僕は絶句。


しまった、最高神の美的感覚では、あれは充分可愛いの範疇なのか。

迂闊だった。

つい忘れがちだが、マリユカ様は最高神。人間とはイロイロな感覚が違うんだった。


だが諦めるな僕。

思い出せ、秋葉原で過ごした日々を。


どう見ても可愛くない地下アイドル達にもファンが居たりしただろう。

つまり、可愛くなくても誤魔化せる。

彼女達を思い出して、その魂をヤスコーさんにも植え付けるんだ。


それ以来、デルリカ嬢と一緒になって地下アイドルをイメージしてヤスコーさんに仕草を叩き込んだ。

でも分かりやすい見本がないかな、どっかに・・・・

あ、マリユカ様でいいや。

あの人、あざといから分かりやすいし。


そしてマリユカ様を引き合いに出して一生懸命ポッチャリ系アイドル風の可愛い仕草を叩き込んだ。


そしてデルリカ嬢と僕の努力の結果、『気品ある(デルリカ嬢の努力)愛嬌ある愛され系(僕の努力)肉食動物風(素材本来の旨味)淑女』が爆誕したのだ。

これでどうにかなるだろう。


今日もデルリカ嬢とヤスコーさんはお茶会に向って行った。

その馬車を眺めながら、僕は隣で一緒に見送る大炎姫さんに、今まで聞きそびれていた疑問をぶつけてみる。


「そういえば大炎姫さん、なんでヤスコーさんに武芸を英才教育していたんですか?可愛くなるようにお願いってデルリカ嬢に言われていたのに。」


すると大炎姫さんは胸を張って、誇らしく答える。

「私は武芸が得意だが可愛いとかはわからないのです。ですが一芸に秀でたものは全てに通じるといいます。ですので私の武芸の奥技をヤスコーに授けるべく努力していました。その奥技を身につけたとき、人として頂点と言って良い力を手に入れるでしょう。そこまで一芸を極めれば可愛いも容易いと考えました。」


誇らしく胸を張る大炎姫さんを見て、僕はこの11年の中で最大の失敗を見た気がした。

まあ偶然、そのヤスコーさんの強さを目当てに婚約を申し込んでくる貴族が居たので、大きな失敗ではないけど。


英知はあるのに、知恵は無いんだよな、この人たち。


この世界の神様や大天使は、みんなヘッポコばっかりだから僕がしっかりしないといけないと、強く胸に刻み込んだ。

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