藤木哲也 その11
登場人物紹介
ジャーニー:19歳の息子がいるとは思えない美人。人形遣いとしては人類最強。
真理由華国軍のみなさん:すぐ死ぬ可哀想な人たち。
―藤木哲也 その11―
なぜか玉座の間に、赤髪のセクシーな女性が立っている。
じつはアイドルの佐藤里美さんの新曲「暴れん坊公爵令嬢」のPVを見ながら団子を食べていたので、接近に全く気づかなかったんす。
「あの、貴女はどなたっすか?誰かに用事でもあるんすか? 一応ここは魔王の間なんで、あまり気軽に来てほしく無いんすが。」
すると赤髪の女性が指を鳴らす。
同時にメイド型のゴーレムが大量に現れた。
「私はジャーニーってんだ。あんた魔王でしょ。悪いんだけどさ、殺させてもらうよ。」
まさか!
なんだろう、このデジャヴ。
「もしかして、ダンジョンを踏破してきたんすか?」
「そうだけど。」
やっぱり。
でもおかしいな、今日は四天王は全員ダンジョンにいるはずなんだけど。
「まさか四天王を倒してきたんすか?ピンクのロリータゴーレムにのる甘ロリマリーちゃんとかは、こんな沢山のゴーレムがいたら喜んで壊しに来そうなんすが。」
「は?マリーちゃんかい。お菓子あげたら『だったら通して上げますよー』って素通りさせてくれたよ。」
しまった。マリーちゃんの弱点を見事に突かれたか。
「で、でもデル魔女さんには会わなかったんんすか?白いロリータの美人さんっす。」
「ああ、お嬢様なら『魔王様を殺すんですか?ダンジョンコアの破壊をしないのでしたらお好きにしてくださって結構ですよ。』って通してくれたよ。」
デルリカさん!なんで気まぐれに通すんすか!猫っすか。
なんかヤバイ汗が出てきた。
つまり、マリーちゃんやデルリカさんを助けに呼んでも、助けてくれないってことっすもんね。
こうなったら、我が心のマドンナ、悪炎姫さんを呼ぶしかない。
「では悪炎姫さんを呼ぶっす。」
「悪炎姫さん?ああ、ダイエーンさんはココではそう名の乗ってるんだったね。ちゃんと挨拶したら礼儀正しく通してくれたよ。」
ノオオオ!悪炎姫さんまでまさかの裏切り。
こうなった。
「じゃあ最後の砦、魔栗鼠を召還するっす。四天王最弱っすが頼りになる悪魔っす。」
すると赤髪のセクシー女性は少し思い出すしぐさをした。
「悪魔っぽい羽と角のついた娘かい?あの娘なら挽肉にしたけど。」
「うそおおおおお。」
あわててダンジョンコアの「ハーレムダンジョン」の画面をチェックする。
魔栗鼠どこに居るっす…
居た、回復用のカプセルの中に。
回復まで6時間って出てる。
これ、そうとうバラバラにされたんすね。
ヤベ、魔栗鼠をバラバラにする様な人とか、ちょっと無理。
よし、今回も諦めたっす。
そうそう、諦めるのが肝心っす。
「では魔王を倒すとドロップするお宝は3種類の中から選べるっす。」
説明しようとしたら、赤髪の女性は食い気味でかぶせてきた。
「ナガミーチにお願い券をもらう。」
「え、それで良いんすか?もしよければ理由を教えてほしいっす。事によっては自分を倒さなくても解決できるかもっす。」
すると、すこし言いにくそうに赤髪の女性は口を開いた。
「いや、掃除メイドが壊れたから修理してもらいたくて。」
「おおい!そんなことで魔王を殺しに来ないでほしいっす!今からナガミーチさんに頼むんで待ってくださいっす!!」
ビックリしたー。
あれでしょ、掃除機が壊れたとかと同じようなものっすよね。
そんな理由で殺されるって、、魔王の命はどんだけ安いんすか。
ほんと勘弁してほしいっす。
急いでナガミーチ師匠を探す。
ダンジョン商店街で女性に囲まれてニヤニヤしていた。
このおおおお!あんたばっかり良い思いしおって!!
「ナガミーチ師匠!魔王の間にお客様っすよ!なに女性に囲まれてニヤニヤしてるんすか。すぐにこっち来てくださいっす!」
まったく、なんなんすか。
少ししたら、ナガミーチ師匠が転移してくる。
「いやー、助かりましたよ。マリーちゃんファンクラブの女性達に『うちの店に立ち寄るように言え』って詰め寄られて、愛想笑いで逃げていたんです。助かりました。」
ニヤニヤじゃなくて、苦し紛れの愛想笑いだったのか。
自分もそういうピンチに遭いたいっす。
そこで赤髪の女性がナガミーチ師匠に手を振る。
「おーい、ナガミーチさん。掃除メイドが壊れちゃったんだ。修理しておくれよ。」
「あ、ジャーニーさん。わかりました。じゃあすぐに修理に行きますね。」
どうやら普通に快諾されたようだ。
こんな簡単に「わかりました」っていう話のために殺されそうになったんすか?
ちょっと、なんか納得がいかないっす。
少しスネているとナガミーチ師匠が女性を紹介してくれた。
「フジキーさん、こちらはベルセック家のお妾さんでジャーニーさんです。前に来た絶対勇者カイル君のお母さんです。」
「うそお、若くて美人すぎるっすよ。デルリカさんから聞いた話だとカイルさんは自分よりも2歳年上なんすよね。こんなセクシー美人な母親とか反則っす。」
ないわー
こんな母親ないわー
家で緊張しそうだわー
緊張しつつも甘えたいわー
そこでふと気づいてしまったす。
「ちょっとまってナガミーチ師匠。ってことは家に帰ると、デルリカさんとマリーちゃんと、ジャーニーさんとマリア奥様が居るんすよね。それって羨ましけしからんと思うんすが。」
「それはそうですよ。」
「ず、ズルイっすよ。」
「まあ、それはそれですね。じゃあ、ちょっと修理に行ってきますね。」
うわー、めっちゃ軽く流された。
ほんとうに同でもいいって態度で微笑まれたっす。
ナガミーチ師匠は転移で消えた。
そして自分とジャーニーさんが残る。
無言で向き合おう。
あれ、なんか気まずい。
よく考えたら、知らない美人さんと何を話せばいいんだろう?
沈黙がつらい。
神様助けて。
バンと勢いよく扉が開き、マリーちゃんが飛び込んできた。
「ジャーニー、お菓子がなくなりました。もっとないですかー?」
ナイスだマリーちゃん。
ナイスタイミングっす。
「もう食べちゃったのかい?私はもってないけど…ちょうど魔王さんが持ってるから貰うかい?」
「わーい、奪い取りまーす」
いうなり、自分の前に置いてあったお団子を乗せた皿が、一瞬で奪い取られてしまった。
ま、まあ今回は助かったんで良いっすよ。うん。
空気が軽くなったので、自分は「ハーレムダンジョン」の画面でジャーニーさんのステータスをチェックした。
ジャーニー・ベルセック
称号:最強操演
レベル811
人形遣い最強。
でたよ、またレベル800オーバー。
しかも人形遣い最強ってどういう意味っすか。
これ、まともに遣り合ったら自分なんか瞬殺コースっすよ。
魔栗鼠がボコられるのは当然ってことっすね。
まいったまいった。
一息ついて周りを見る。
マリーちゃんが団子で口の周りをベトベトにしていた。
ジャーニーさんがそのベトベトの口元を拭いてあげている。
色っぽくて面倒見がいい女性か。
こういう人も良いっすね。
美少女の面倒を見る美女。
良いもの見れたっす。
ほっこりしていたら、受付子のキンキン声で正気に戻される。
緊急連絡が入ってきた。
『魔王様、大変ですよ。何が大変てそりゃあ大変な感じです。真理由華軍が攻めてきました。その数20000。どうしましょうか?』
急に来たな、あの軍隊。
自分は、かねてから決めていた通りに行動を開始した。
ナガミーチ師匠がいないのに落ち着いてる自分にビックリっす。
まずは商店街に放送を流す。
『アテンションプリーズっす。真理由華軍が攻めてきたので、商店街を一旦切り離すっす。次のお知らせがあるまで、しばらく動かないで欲しいっす。』
よし、ダンジョン基地変形だ!
(カッコいい音楽が流れる)
連絡すると同時に、「ハーレムダンジョン」で商店街を地下に移動させる。
これで商店街への出入りはダンジョン踏破しないと無理になった。
次にダンジョンに連絡。
『ただ今より、対真理由華軍仕様になるっす。ダンジョン内の探索者の皆さんは強制的に商店街に転送するっす。希望者はあとから同じ場所に戻すので受付子に言ってくださいっす。』
ダンジョン内の探索者を全員、強制的に商店街へ転送。
その作業が終わるころに、受付子からまた連絡が入る。
『今、真理由華軍がダンジョンに入っていきました。受付も一時商店街に退避します!』
それと同時に、ワラワラとダンジョン内に兵が入ってきた。
できることなら、皆さんが密かに救済印を持っていることを祈るす。
では。
『四天王のみなさん、魔王の間へ集合っす。軍が来たんで対策会議っす。』
すぐに、デル魔女さんと悪炎姫さんが転移してきた。
「では、対策会議を始めるっす。作戦は前と同じ。軍が全部入ったのを確認したら、出口をデル魔女さんが待ち伏せる。ほかの人たちで迎え撃つっす。」
再生カプセルから無理やり魔栗鼠が出てきた。
「ま、魔王様。私も戦えますから向かえうちます。」
でも魔栗鼠は明らかにボロボロ。
それを見てジャーニーさんが申し訳なさそうに頭をかいた。
「タイミングが悪くてすまなかったね。何なら私も手伝うけど。」
するとデル魔女さんが懐からクラウンの仮面を出した。
「ジャーニーさんも殺戮を楽しまれますか?この仮面をお使いくださいな。」
すっごい複雑そうな表情で仮面を受け取っていた。
「ありがとうございますお嬢様。楽しむわけではないですが、やらせてもらうよ。」
「では通り名を決めないといけませんわね。そうですわね…邪人形王とかでよろしいかしら。」
「ええ、お嬢様のお好きにしてくださいな。」
こうして新四天王に邪人形王が加わった。
そして新四天王はダンジョンへ飛び出していった。
二時間後
新四天王はサックリ敵を全滅。
全滅まで二時間もかかった理由は、敵がダンジョンに入りきるまで一時間半かかったから。
全員がダンジョンに入ってからは、あっという間っす。
そのあたりでナガミーチ師匠が帰ってきた。
「あれ?また進軍があったんですね。でもジャーニーさんまで手伝ってくれたなら20000程度、敵ではなかったっぽいですね。」
「ジャーニーさんのメイド人形軍団は強すぎっす。ぜひダンジョンにスカウトしたいっす。」
そしてエロ優しい姿で、自分に癒しを与えてほしいっす。
だがナガミーチ師匠が強い口調で断ってきた。
「だめだめ、それはダメです。ジャーニーさんはもう全面禁止でお願いします。ちょっと計画があるので。」
自分的には不満全開っす。
「え、ナガミーチ師匠が反対すか?いいじゃないっすか。お願いしますよー。」
しかし魔栗鼠はあきらかにホっとしていた。
「魔王様、無理を言ってはいけませんよ。私もジャーニーさんが参加できなくて本当に残念です。ですがこれで私がまた四天王ですね。いやー、本当にジャーニーさんが新四天王になれなくて残念。」
おもわずジト目で見てしまった。
明らかに嬉しそうなんすけど。
まさかそのためにナガミーチ師匠はジャーニーさんを遠ざけた?
今度聞いてみなくてはっすね。
それからしばらく雑談をした後ジャーニーさんが帰って行ったので、ダンジョンを通常モードにもどして通常運用に戻す。
さて、安心したんで佐山里美さんの新曲のPVでも見直そうかな。
そう思って席に着こうとしたら、ナガミーチ師匠が難しい顔でダンジョンのチェックをしていた。
「ナガミーチ師匠、なんか問題でもあったっすか?」
するとこちらを見て、悩んだような顔をした。
「いや、今回の真理由華軍の進軍で、必要なポイントがたまったみたいなんです。予定よりも早いですが攻め込みます?真理由華国の中心にダンジョンが届きます。」
自分は、その決断がどれほど重要なことかも考えずに気軽に答えてしまった。
「じゃあ明日にでも、バーンと行っちゃいましょう。」
お読みくださりありがとうございます。
マリー「次回、フジキーが男に襲われて悲しい初体験をします。」
フジキー「だからそういう恐ろしい予告はしないでほしいっす。」
マリー「主にお尻がアツーですよー。」
フジキー「いやあああ、童貞のままお尻にアツーとか嫌ああああ。」




