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召喚してみたかっただけ。

「なんか異世界人を召喚して優遇するのが流行っているらしいです。」

この世界の最高神である女神マリユカ様は無邪気な笑顔で私にそういった。

嫌な予感しかしない。


私はマリユカ様に仕える四大天使の一人、大炎姫。

白い炎の翼と金髪の縦ロールがトレードマークの天使だ。

ちなみにマリユカ様は、大人の体に子供の表情を持つ美女である。

だが、普段のマリユカ様の姿は残念美女だ。

美しく長い水色の髪はボサボサだし、楽な寝巻き姿で日々過ごしている。


この天界最上階のフロアーには、マリユカ様と四大天使の我々しかいないので油断した生活が板についてしまったのだ。

人目を気にしないので、見た目にどんどん無頓着になる。

下界の信者達ファンクラブには見せられない姿だ。


先ほどまで、マリユカさまは他の最高神様たちとの交流会に出席していたのだが、帰ってきて急いで寝巻きに着替えるなり出たのが、さっきの言葉だ。


私もその交流会にはお供した。

その時、他の神様達が楽しげに異世界からの召喚で起きた自分達の世界の話をするのを羨ましそうに聞いていたのは気づいていた。

だから嫌な予感はしていたのだ。


「大炎姫、さっそく人気の日本から召喚しましょう。」


ワクワクした表情でマリユカ様に詰め寄られると断り難い。

「わ、わかりました。ですがまずはアマテラス様に許可を得ないといけませんので、少々お待ちください。」

渋々、私は日本の神であるアマテラス様に神通信を使って連絡を取ってみた。


断られますように、

断られますように、

断られますように、


『おっけーね。でもー、召喚していいのはー、ニートか、死亡確定者か、きちんと契約して説得した人だけでね。』


軽!

アマテラス様軽!

即決で了承してくれた。

・・普通、自分の世界の人間が他の神にとられるのは嫌がるのに・・・ブツブツ。


でも了承されてしまったのですから仕方ない。

その事をマリユカ様に話すとすぐに召喚を始めてしまった。


ちょ、まって!

せめて着替えて、御髪を整えてから・・・


無邪気な表情で魔方陣を作り出したマリユカ様は速攻で日本人を呼び出してしまった。

流石最高神です。

こんな大掛かりな魔術も一瞬ですか。


光が溢れ出し、円柱状に光が吹き出す。

そしてユックリ光が収まると、そこに人が居た。

けど・・・


召喚された人が居た。

沢山居た。

数えたら12人。


私は信じられない気持ちで目をつぶり、そしてもう一度開く。

だが、やはり現実は何も変わっていなかった。


「あは、大成功!みてみて、いっぱい呼べましたよ。」

「は、はあ。流石でございます。」

私の言葉に気を良くしたのか、自慢げに胸を張って嬉しそうだ。

「でしょー。これで面白いことになるとおもうの。」


12人も一気に呼んでどのような事をさせるつもりなんでしょう?


「それで、召喚したこの人間達をどのようにされるおつもりですか?。」

「え?」

「ですから、召喚した者達にどのような仕事させたいのでしょう?」

「ん?」


無邪気な表情で、きょとんとした目で見つめられてしまった。

もしかしてマリユカ様、ただ召喚してみたかっただけですか?


私は召喚された12人を見た。

全員が混乱しつつも私を見ている。


どうしよう、これ・・・

すると、その中の一人が手を上げる。

太った中年男だ。

「あの、もしかして拙者たちは異世界に召喚されたのでしょうか?」


早!

理解、早すぎ!

流石日本人。もう自分達が異世界に召喚されたと理解したのか。


「うむ、ここはマリユカ様が管理する『マリユカ宇宙』だ。異世界に召喚されて混乱されるかと思ったが、理解が早い者がいて助かる。」


そう言うと12人が全員『おおー』とか言っている。

次に冴えない30歳くらいの女性が口を開いた。

「あの、こっちの世界で頑張ろうとは思いますが・・・こっちの世界でやっていけなさそうだったら、元の世界に帰してもらえますか?」


無理やり召喚されたことに関する怒りは無いのだろうか?

一応こっちで頑張る気がある事に驚いた。

するとマリユカ様は楽しそうに返事をする。

「はいはーい。希望した人はもちろん帰します。安心してくださいね。」


すると今度は、あんまり特徴の無い冴えない男の人が手を上げた。

「あ、あの・・・僕はうっかり8階のベランダから落ちてしまったので、向こうではタブン死んでいると思うんですが、帰ったら生き返れたりしますか?」


マリユカ様は申し訳なさそうな笑顔を見せた。

「ごめんなさいです。こちらに来た瞬間に戻るんで・・・その状況でしたら、タブン戻った瞬間に死ぬと思いますよ。」

「そ、そうですか・・・。でもそうなると、呼んで頂いたお陰で助かったんですよね。ありがとうございます。・・・」


その男性は肩を落としつつも、力ない笑顔を返した。


そんなやり取りが他の日本人達も参加してきて2時間ほど続いた。

結果、

希望したら、いつでも元の世界の戻れることに安心したのか、当面は全員がこの世界に残ることになった。

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