水砦①
タイトル:旅は道連れ?
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旅二日目。
本来なら昨日のうちにリベリムに着くはずだったのだけど、船に乗って川を渡ってい
る間に日を跨いでしまった。
それもこれも儲けた物を独占しようとした商人と、雇われのコソ泥のせい!
けれど、正直…商人の事はどうでもイイけど、雇われたコソ泥の事が気になっている。
私達のような旅人、冒険家は大きな街や人手の足りない村ではクエスト…つまり仕事の手伝いなどの依頼が出ているのでそれでお金を稼いでいる。
リベリムまで一緒に旅をする事になったルオーネの話しだと水の国では辺境の観光地への護衛とかの依頼が多くて、観光ついでにお金も貯まって冒険家にとっては一石二鳥なのだとか。
けれど…逆にいえばクエスト=護衛のイメージがこの国の人には多くて、荒事にむいてなかったり、何も考えずお気楽に旅を始めた人に向けた依頼が少ないのだとか。
そして、私は…両方に当てはまる。
剣の腕は護身術程度にしかないし、旅もお気楽に始めたもんだから…今後の生活が心配になってきた。
…まぁ、今のうちから気にしていても仕方ないよね。
それよりタイトルにした内容のこと、途中で名前を書いたルオーネの事を日記に書かないと!
昨日は事件のせいで出発が遅れた事もあり、それでいて解決に尽力した事もあって船乗り達に優遇してもらった。
川魚や、水気の多い国だからこそ繁殖したこの国特有のキノコを使った料理をご馳走してもらったり…。
リベリム近くの船着き場に宿も用意してもらった。
船着き場は船の乗り降り以外は基本的に男社会な船乗り達の休憩所…といった場所なのだが寝室を私とルオーネで独占させてもらってしまい、男たちは食堂の椅子や床で寝ると言い張った。
…流石にここまで歓迎されすぎると悪い気になってしまったが、姐さんのためならこれくらい!コソ泥退治の時の姐さんマジで『カッコ良かった』ッス!と言いまくっていたので気にしない事にした。
いや、私は女だから。
カッコイイは褒め言葉じゃないから。
そして最後に…今日出会ったルオーネについて。
カッコイイ私と違って…同性の私から見ても可愛いんだよなぁ、コレが。
地味な黒髪の私と違って、輝くように綺麗な金髪。
手も肌もスベスベで、女として絶対的な敗北感を味わう事になったよ。
ルオーネとは船を待っている間に知り合っただけの関係だけど…。
私はルオーネの女らしさに憧れみたいなのが湧いたし、彼女は仕事柄か話し上手聞き上手で一緒にいるのが凄く楽しい。
水の国ならではの巨大な川や、それを渡るための船。
それぞれで感動して旅の新鮮さ、楽しさを味わえたけど一番に新鮮で楽しいのは『出会い』だった。
旅先で、初めて出会う人。
それがルオーネみたいな人だと、嬉しくて楽しくて新たな出会いにも心が湧き踊る。
中には自分勝手な商人や、コソ泥との関わりができてしまう事もあるけど、それを差し引いても、ルオーネとの出会いは良い物だった。
…まぁ、一応は姐さん呼ばわりしてくる船乗り達も良い出会いという部類にはしておこう。