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はじまり④


あと10分ほどで私の乗る船は来るのだそうが、出発は今から40分後なのだとか。

国境の町の積荷を載せたり、逆に降ろしたり。そのための時間がいるみたいだね。


その積荷を運ぶついでに重い荷物を運んでくれるサービスまであるらしくて流石は水の国もとい観光の国様様。

これで無料なんだから、本当に凄いね。



私以外の客は今のところ10人ほどで、みんな家族とか商人のグループとか集団ばかりだ。

対して私は一人で時間も余って、なおかつ機能性に重視しすぎたのか観光客用の店も見当たらずヒマも潰せそうにない港で完全に手持無沙汰だ。



せめて船が来るまでの時間がもう20分くらいかかるならまた川で遊んできたり、小さな港でも冒険したりして時間潰すんだけどなぁ。




「あの~…よろしければお話しいいですか?」


「ん?」




ウェーブのかかった綺麗な金髪のセミロング。水色のシャツにスカートと髪と服ともに明るい色で染まった女性が話しかけてきた。


歳は…同じくらいかな?

さっきまで商人らしいグループの人達と話をしていたから付き添いだと思ったのだけども。





「私、観光会社で働いていてリベリムの支社に一人で行く所なんです。同じ女性ですし、よかったらリベリムまでお話し相手になってくれると嬉しいのですけど…」


「もちろん歓迎だよ!私も一人旅でねー…こう時間余っちゃうとヒマでしょうがないの」


「やはり貴女も一人旅だったんですね。私はルオーネ。貴女は?」


「セルピスカ。ピスカでいいよ」




ルオーネは落ち着いた喋り方をして、仕事柄か笑顔を絶やさない。

そんな雰囲気が服装と相まってお嬢様みたいな感じがする。




「あ、敬語もいらないよ。歳も近そうだし、仲よくしよ」


「そう?よろしくね、ピスカ」




握手を交わして微笑みあう。


…うわ~、手も柔らかくてサラサラで同じ女性ながらも綺麗な人だ~って思っちゃうよ。


私の手は剣握ったり冒険したりするのでどうしてもザラザラするもん。

昔から旅の女剣士とかって俺女で筋肉の凄い女性ってイメージがあるけど私もいつかそうなっちゃうのだろうか…。




「ピスカは…なんだか変わった恰好してるよね。仕事柄いろんな人を見るからどんな仕事してるかとかすぐ分かるんだけど…」


「アハハ…ほとんど無職みたいなもんで、しかも始めたばかりの見習いみたいなものだからね~…」


「ほとんど無職って…もしかして冒険家?それにしては荷物や装備も軽そうだけど…」





大きな荷物は預けてあるとはいえ、確かに私の恰好はかなり身軽だった。

私の剣は護身術に毛が生えたようなものだし、遊撃的な動きをするもの。


簡単に言えば動き回って逃げながら、攻撃する感じ。

だから身軽な恰好ができるので、むしろ私は鎧とかはほとんど捨てちゃって見た目的にはルオーネのようにシャツにスカートと私服みたいな恰好だ。

ただ、いざと言う時に動き回っても大丈夫なように下にレギンスとか組み合わせてるワケだけど。


ついでに森や岩山といった汚れたり危なかったりする場所は流石にローブを上から着て露出は完全にシャットするけど、それでも普通の冒険家の装備って感じはしないかもしれない。


荷物も腰の剣と機能性重視で丈夫なごついポーチだけと、町で普通に暮らしている女の子が何故か剣と可愛くもないポーチを持ってるだけのようにしか見えないもしれない。…普通の女の子がね!




「私はそんなに荷物とかいらないのよ。むしろ荷物は減らせれる物はとことん減らして必要な物を沢山持ち歩くってのが冒険家の心得みたいなものだし」


「言ってる事は正しいけど…ピスカは本当に冒険家なの?」




む。信用されてみたいで何だかむしろ新鮮だ。

私の周囲は私を女の子扱いする事などほとんどなくて、やんちゃな男の子みたいに思われてきた。


まぁ私が冒険に憧れすぎてたり、剣を習ってたりしたからだろうけども、村のお祭りで男性サイドに人が足りないからって何度も力仕事とか行事をさせられそうになってた。


…私の世代は女の子の方が多かったからって酷いよね。

そんなこんなで、ただの女性として見られる方が少なくて新鮮で…なんだか嬉しくはある。





「だって私は火を起こすのに摩擦させる道具や火打石もいらないし、武器が少なくても打撃以外にいろいろできるもん」


「…?」




ルオーネ、すっごく困惑してる。

前情報として知ってはいたけど、やっぱりそんな特別なものなのかな、私達は。


旅の準備する時も、昔きた冒険家さんと比べて必要な荷物が少なくて心配になったくらいだけど…。



私達にとって当たり前の物がルオーネ達にはないのだ。





「あのね、私は…「何をしている、貴様たち!!!」」




隠す事でもないので話を続けようと思った時に私の声は大きな声に遮られた。


明らかに事件っぽい叫び。

そしてその事件に巻き込まれたせいで私は…私達は今日中にリベリムにつくことはできなかった。


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