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はじまり③


川だ。

国境を越えて10分もしないうちに見つけたのが川だ。


いや、川くらい魔法の国にもあるよ?

あるけどさ…。




「大きすぎでしょコレ!?」




思わず叫んでしまうほど大きな川だった!

ギリギリ水平線の向こうに陸地が見えるくらいの大きな川。

しかも一本の川じゃなくて、ここから見えるだけでも3本の大きな川が枝分かれした大きな木のように這っている。


水の国っていうから王都が海とか湖の真ん中にあって水路が沢山~的なのを想像していた。

あくまでその王都が水の都で水の国と呼ばれてるのかと思ったけれど…見渡す限りの川で、水だらけ。


本当に、水の国だった。




「凄いなぁ…」




私は旅に憧れ、見たことのない物に心惹かれて冒険に出た。

けれども正直、大きな期待はしていなかった。


旅に出て、意外と世界は変わらず何気ない物が違い、それが新鮮に感じる。

その程度だと思っていたのに…。



国境でも、他所の国に入っても。

少し別の場所に歩き出しただけで世界が全然違い、いろんな事を感じる事ができる。




「た、楽しい…!」




わくわくする。心臓がドキドキして胸が苦しい。鼓動が止まらない。

私は旅に憧れた事が間違いじゃなかったと実感している。


この新鮮で、ドキドキする感覚に飽きる気がしない。


私は落ち着いていられなくて、走り出す。


川も水も見慣れた物だ。

だけど同じ川や水という物でも私の見慣れた物と全然違う。




「すごーい!」




一人で馬鹿みたいに騒いでる自覚はあった。

だけども全く気持ちを抑えられない。


川に辿りついた私は荷物を地面に放り出して水に手を翳す。


冷たい。気持ち良い。

当たり前だ。けど新鮮だ。


水を遠くに弾くように掬い上げて、飛ばした。



靴とソックスも脱ぎ捨て、川に足を突っ込む。

あぁ、本当に凄くて凄くて気持ちがよくて、楽しい!















なんて、川で1時間ほど飽きもせずに一人で川遊びをした。

分かってはいたが私って本当に子供っぽい。


川遊びなんて小さい頃から何度もやっているとういのに。

冷静に考えれば場所が変わって大きな川で、というだけで。


…まぁそれでもそろそろ止めなきゃ、そろそろ止めなきゃと何度も自制してようやく川から出たワケだけども。


今の私は一人で、誰も私を止めてくれる人はいないんだ。

国や故郷を離れてようやく分かる事、二つ目。


私の友達は遊びに夢中になって暴走する私をよく止めてくれていたものだと感心する。



なんとか気分を落ち着かせて靴を履きなおす。

誰にも気を遣わずに1人でいるからってこのままじゃ国境から10分の場所で1日が終えてしまいそうだ。


すみません、戻って来ました~なんて見送ってくれた兵士さん達に言うのは恥ずかしいにも程があるのでいい加減に旅を再開する。




とりあえず川に沿って歩き出す。

この国を旅するにあたっての前情報としては…この国に、街道という物はほとんどないらしい。


街や村の近くにいけば流石にあるみたいだが、基本的にこの国は川や湖で土地が遮られているのだとか。



なので基本的に歩く時は川に沿って歩き、渡し船の乗船所が各地にあるのでそれに乗って国の中を行き来するのだとか。

ちなみに基本無料。

いちいち金を取っていたら儲かりすぎて逆に旅人、商人だけでなく国民まで破産してしまうらしい。


数十年前までは船の整備や乗組員の給料などにかかるお金をどうするか国内でも大変だったらしいが、いい時代に冒険してるね私。




歩きだして20分ほど。

国境から真っ直ぐ歩いてくれば30分の位置にこの国で1つ目の乗船所を発見した。



見た目的には広々とした、小さな港みたいな感じで町や村のような機能はしていないらしい。


近くに国境の町もあるので必要な物はそこで揃えられるし、ここにあるのは船員達の休憩所兼寮と整備用の倉庫などぐらいだ。



船の乗り場は5つほどあり、停まっている船は3つほど。


私が乗る船は…まだ船の来ていないリベリム行きのものだ。

船に乗ってから時間がかなりかかってしまうらしいが『水の国で一番に水が集まる所』と呼ばれている場所で一番最初に行きたい!と思った所だ。


多分、この時間から乗るとリベリム付近の乗船所に到着するのが夕方頃。


そこから1時間ほど歩けばつくらしいのでリベリムについた頃が丁度夕食時だろう。



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