最高の恋愛。(3)
皆とカラオケに行って、
涼太にらしくないこと言われて、
変に期待して、
香織に事実を聞かされて、
あれから2週間がたった。
あの日以来……私は涼太と
話をする事が無くなった。
「優香……大丈夫?帰ろう」
「あ、美沙!うんっ帰ろう」
あの後は……色々大変だった。
香織から事実を聞いて、
すぐトイレにいって大泣きした。
皆には先に帰ってて欲しかったけど、変に涼太に気にされても困るから、私は顔を洗って皆の所へ戻った。
隼人君は寝てた。
涼太は隼人君が心配でたまらなそうだった。
香織はそんな涼太を愛おしそうに見つめつつ、隼人君を心配してた。
あたしはただ、目から涙が出ないように、一生懸命こらえてた。
帰えりは皆バラバラだったから、あたしは美沙と二人で帰った。
そしてあたしは涼太が心配してでてきてくれたことも、
香織に聞いた事も、全部、全部
泣きながら説明した。
そしたら美沙は「辛かったんだね。」って言って、あたしの事を抱きしめてくれた。
その言葉があの時のあたしには、なんかすごく……温かくて……すごく、救われた気がした。
美沙が、あたしの気持ちを理解してくれてるんだなって実感した。
美沙は、涼太の事を諦めないでもいいと言ってくれた。
好きでいるのは私の勝手だと言ってくれた。
だけど、私はその言葉を素直に聞き入れる事は出来なかった。
人の彼氏をとっちゃいけない。
そう思った。
そして同時に……思ったんだ。
"香織には勝てない、勝てる訳がない"って……。
香織は見た目はすごくカワイイ。背が低めで髪はサラサラで、
いつも化粧してて、
制服さえも可愛くきこなしてる。
男の子には誰にでも優しい。
だから男の子には人気がある。
女の子だって、仲がいい子にはとても好かれてる。
香織は良く言えば
可愛くてモテる女の子。
でも悪く言えば
男好きの計算高い女の子。
人によって感じ方は違う。
私は別にどっちとも思わない。
あたしは……ただのライバルって思ってた。
そして涼太は……"かわいい彼女"って思ってたのかな・・・。
2週間がたっても私は涼太の事を目で追ってた。
相変わらず、涼太がどこにいてもすぐに見つけられる自分は、
本当に好きだったんだと実感させられた。
「じゃあ、優香、私はこっちだから。また明日ね」
「うん、バイバイ」
私は今出来る一番の笑顔で美沙と別れた。
だって、あまりにも美沙が心配そうな顔で私をみるから……。
そして決めたんだ。
私は涼太のことをすぐに辞めるのは無理って分かってる。
だから時間をかけてでもいい、
ゆっくりでもいいから諦める。
そして普通の友達に戻ると。
そして、そう決めてから2ヶ月が経った。
「ねぇ涼太。これ隼人に私といてくれない?先生から預かったやつ」
「あ、了解!サンキュっ」
私と涼太は普通に話せるようになった。
そして、その時の私はもう、涼太を【友達】と思えるようになっていた。