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Fehlen world ‐欠ける世界‐  作者: 長野晃輝
第一章 シンジツ
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Ⅱ 欠落前

「なあ、神様が最後の日に休まなかったら世界はこんなに不条理じゃなかったのか?」

 僕は驚いた。

 僕が生徒会室の前を通ったのは単なる偶然で、放課後先生に資料を図書室に戻すのを手伝わされたためだ。

 僕のHRである一年三組と、生徒会室、図書室は同じ校舎にある。ただし、生徒会室と図書室は上の階からすぐに来れない離れにある。要するに校舎の横に取ってつけたように二つは存在するのだ。

 だから僕はイケメンの生徒会副会長の沢田拓斗先輩に話しかけられたことに驚いていた。

 僕と彼に直接的な係わりは無く、言葉を交わす間柄でもないのだけど、どうしてそんな言葉を投げかけられたのだろう。

「すまない」

 いきなり謝られた?

「誰にでもいいから愚痴を言ってやりたい気分だったんだ」

「そんなこと言われても……」

「ごめん」

 ただひたすらに気まずかった。

「あのよければ聞きますよ」

 この状況でそれ以外の何を言えというのだ。

 この僕に、


「君は?」

緋島直樹ひじまなおきです。一年です」

 生徒会室に招かれた僕は早く時よ過ぎろと祈っていた。

 いつもなら会長が座っているであろう奥の席に沢田先輩は座っていた。僕は彼の真正面に用意された椅子に座っていた。この状況、まるで面接を受けているようだ。

 放課後というのもあってか、校舎には人が少なかった。まあ、クラスの誰かに見つかって何かしらしたと思われないのは有難いけどね。

「なるべくすぐに終わらせるから」

 生徒会副会長が言うのだから信じてみたが。

 結論を言ってしまえばすぐに終わる内容ではなかった。

 ついでにそんなに簡単に人に話していい内容とも思わなかった。

 話を要約するとこうだ。

 先輩には現在彼女がいる。その彼女はうちの高校に通っているが、今は入院しているという。

 その人は将来有望とされる作家の卵で、いくつかの出版社が主催する文学賞を受賞したらしい。

 でも、彼女は血液の病気らしくもってあと数カ月の命らしい。

 なんというか、理不尽だ。

 それ以外に言える言葉などない。その話こそが何かの小説にでもなりそうな不幸話。ありふれた不幸だ。そう思えるのは僕が第三者だからだろう。

 そんな不幸を沢田先輩は一人で抱えたくなくて、僕に話したんだろう。

 どうして僕にそんな話を?と聞いたら、「君は人が良さそうだったから」と彼は言った。

「僕にはあなたにかける言葉が見つかりません」

 正直に言うと彼は弱々しい微笑みを浮かべた。

「そうだろうね。君は当事者でも何でもないのだから」

 僕らはそんなことから親交を深めた。親の話やクラスの話をした(先輩は彼女との馴れ初めの話もしてくれた)。

 僕の両親がすでに亡くなっていることを聞くと、彼は申し訳なさそうに目を伏せた。

「いや、あなたもっと気まずいこと話しましたよ」

 僕らはそうやって不謹慎な笑い話を続けた。僕がクラスの人気者だと話すと、「草食っぽいもんな」と茶化した。草食っぽいのが人気になるのかは疑問だったが、とりあえず笑っておいた。

 最後に、

「先輩、彼女と向き合ってください。こんなこと僕が言えた義理ではないですが、後悔しないためにもきちんとお互い向き合うべきですよ」

 彼は曖昧に笑って見せた。少し言葉が過ぎたかもしれない。でも、撤回する気もなく僕らの出会いはそれで終わった。

かなりグダグダでⅡが二つもあります。

ごめんなさい分かりにくいですがⅢ以降はこの形式で進みます。

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