Report
Title:今回の騒動における報告
●緋島直樹
今回の騒動における最大の非常点。
改変の前の記憶を保持するという謎の能力により、改変者と疑う。結果として我々の存在を教えることになってしまう。
対処法として改変で、その記憶を消去しようと試みたが失敗。
止むを得ずこちらの仲間として引き込むことに。
しかし、記録者エイナ・ヴァルキュリア・ジュトム・テーゼやミルネ・ジュトム・リヴァリアス、調律者のアリス・レフェルトとの接触の結果、親交を深めてしまった模様。
人間社会に交えることのできない彼女たちにとって、緋島直樹は居場所を与える存在となり、結果として彼女たちの心のよりどころとなる可能性は高いとみられる。
こちら側に引き込んだものの、一部命令を聞かず、自分の我を通す場面もあった。
御しがたいという点においても注意を図るべきだろう。
私見としてはこのまま監視を続けるべきである。
彼に対して穏便な処置を求める。
なお、以後彼の能力を完全記録装置と仮称する
●負素の元凶
今回の騒動における緋島直樹に次ぐ異常点である。
リヴァリアス家の仮説にあるその存在が、この件で初めて確認された。
今回の改変者の一人である沢田拓斗と協力関係にあった模様で、彼から観測された負素の量は通常の四倍ほどであった。
姿としては十代前半の少女で、服装は黒、黒髪黒目であるが、西洋風の顔立ちだった。
何のために人の形をとったか、何故沢田拓斗と協力関係にあったかは不明である。
記録固定した媒体の本から、沢田拓斗との関係は明らかになる可能性もある。
引き続き調査が必要と進言する。
●エイナ・ヴァルキュリア・ジュトム・テーゼ
緋島直樹に協力を求めた点から、彼女も報告対象とする。
最初に緋島直樹に接触した記録者である点も重要である。
改変者と疑った彼が、特殊ケースだった点は不可抗力としか言いようがない。
しかし、彼女たちの「自分たちの記憶が、人間から消失していく」という記録者たちの特性のため、記録者のことも記憶できる緋島直樹に近づいてしまった。これは他の記録者たちにも共通してしまうことのため、以後彼への接触は注意が必要である。
事実エイナと同様にミルネ・ジュトム・リヴァリアスやアリス・レフェルトもまた彼に好意に似た感情を寄せている。
しかし、緋島直樹もまた彼女たちに好意を寄せている。
この点を利用すれば、彼が敵になることはないと思われる。
追加報告
エイナ・ヴァルキュリア・ジュトム・テーゼが今回の一件で破刃を二度使用したが、負素の元凶や完全記録装置などのイレギュラー故の行動である。この件で彼女を処分するのは適切ではないと思れる。加えて、完全記録装置の敵対化の恐れもある。今回の破刃使用は不問とするべきであると報告員として提案する。
●ミルネ・ジュトム・リヴァリアス
負素の元凶を追い求めたリヴァリアス家の末裔の彼女もまた、報告対象とする。
緋島直樹自身に起きた改変を修正する際、彼女も同行した。
彼女は所謂オタク、日本のアニメやゲームを好むためにその聖地たる秋葉原にて彼の改変を行った張本人たる少女、森川未来と遭遇する。ただし、その時ミルネは無能さを発揮した。
また、彼女たちリヴァリアス家が探し求めていた負素の元凶を発見したのも彼女である。
そこから緋島直樹に協力者として情報改変を施そうとしたが、エイナとアリス・レフェルトに妨害された結果、緋島直樹はエイナの協力者となった。
負素の元凶が確認された以上、彼女たちリヴァリアス家が度々議会に提出した研究資料を再度検討することを提言する。
●アリス・レフェルト
議会からの派遣員である彼女だが、些か緋島直樹と関わり過ぎている点から、彼女も報告対象とする。
アリス・レフェルトと緋島直樹の出会いは不明である。ただ、彼女は終始緋島直樹に対して、甘えるような態度を見せていたように思える。
彼女が少々緋島直樹に対して観察対象に抱くべきではない感情を持っているように客観的には受け止められかねない。
彼女には一刻も早く元の任務を達成させ、議会の監視の下へ戻すべきである。
なお今回改変者となった森川未来、及び沢田拓斗の両名については今後の経過次第で報告対象となる可能性はあるが、今回は必要性を感じなかったため、報告は以上である。
議会に対しては今回の進言、および提言を受け止め、真剣に議論していただくことを求める。
Days 18 June to 22 June
Place Japan
To Watchers
From L
今回は一章のまとめという事で投稿しました。
分かり易くまとまっているでしょうか?