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「現場監督入門」  作者: 建築太郎
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【第10話】:2年目③ 品質管理と是正対応の現場

第10話では、現場監督の最重要業務のひとつ「品質管理」と、そこから派生する「是正対応」に焦点を当てます。

施工ミスや設計とのズレ、指示の行き違いなど、現場には大小さまざまな“品質の揺らぎ”が発生します。

2年目の神原匠がそれにどう気づき、どう動くか──その学びと責任を描いていきます。

「おい匠、ちょっと見てくれ。あの壁の中の配管、位置おかしくねえか?」


現場巡回中、電気職長の井坂が図面と現場を見比べていた。

壁の中に敷設された電気配管が、コンクリート打設前の状態で確認できる。


「……あ、ほんとだ。図面ではもっと右寄りのはずですね」


「このまま打ったら、後でコンセントがどこにも出せねえぞ」


匠は心の中で冷や汗をかいた。配線そのものは間違っていないが、原因は施工図が古いままだったこと。

設計変更が共有されず、以前のままの図面で職人に指示してしまったのだ。


すぐに事務所に戻り、該当の図面を広げて確認する。


「やっぱり……最新の設計では10センチずれてる」


急いで設計担当に電話をかけ、事情を説明する。


「すみません、そちらでの変更、施工図に反映できてませんでした」

「そっちも気づかなかったのか? まあ、今のうちに直せるならまだマシだな」


昼過ぎ、再び現場に戻り、職人と是正の段取りを確認する。


「この型枠、もうばらす準備入ってるから、急ぎで直してくれよ」

「了解です。15時までには再設置完了させます」


【品質管理とは】


品質管理とは、図面と実際の施工にズレがないよう、常に確認する作業のこと。

特にコンクリート打設など、後から手直しができない工程では事前確認が非常に重要だ。


・施工図の照合:設計と現場指示の整合性を確認する。

・配筋検査・配管確認:型枠の中が見える“今だけのタイミング”で行う。

・是正対応:問題発覚時にすぐ修正し、再施工と記録を残す。


作業が完了し、職人から「終わりましたよ」と声がかかる。

匠は再度現場を確認し、位置の修正を確認した上で、写真を撮る。


「よし、記録OKです。井坂さん、ありがとうございます」


「まあ、気づいたときにすぐ動けたのは偉いな。次からは施工図の確認、もっと早くな」


その日の夜、匠は日報にこう書いた。


【是正記録】


対象:2階西側壁内 配管位置ズレ


原因:設計変更の反映漏れ(施工図の更新不足)


是正内容:型枠開放、配管位置変更、再固定、写真記録済


書き終えた匠は、ふぅと息をついて椅子にもたれた。


「現場は、完璧じゃない。大事なのは、気づいたときにすぐ直せるかどうかだな……」


■あとがき


品質管理と是正対応は、現場監督として“信頼を積み上げる”ための大切な仕事です。

2年目の段階では、ミスに気づける目を育て、冷静に処理する判断力を身につけていくことが求められます。


その姿勢が、現場全体の空気や連携力に繋がっていきます。


■建築コラム:品質不良をどう防ぐか?


設計・施工図の更新を常に確認:変更が入ったら即座に反映し、職人にも周知。


検査のタイミングを逃さない:型枠・配筋・設備など、打設前の“見えるうち”に確認する。


関係者との連携を怠らない:設備、電気、構造など、複数の工種が関わる部分は特に丁寧に。


是正のハードルを下げる空気作り:ミスを責めるより、早く共有して直すことを重視する。


■用語解説


施工図:設計図をもとに、現場用に詳細化された図面。これに基づいて職人は作業する。


取り合い:異なる工種が交差する部分(電気と設備、構造と内装など)。納まりや優先順位が重要。


是正:ミスや図面との不整合に対し、修正・補修を行うこと。


巡回確認:現場監督が目視で施工状況や品質・安全を点検すること。


配筋検査:コンクリート打設前に、鉄筋の配置が設計通りか確認する工程。

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