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作者: 空乃すず

 きみは春が嫌いでしたね。花粉症でもないのにどうして嫌いなのかその頃の僕にはわかりませんでした。

 春はあたらしいことばかり強要してくるし、よく晴れた日に屋上から背中をつつかれている気分だと言っていましたね。

 桜が美しく咲くし、あたたかくなるし、いいこともありますよと言うと、桜はすぐ散るし、散ればすぐに暑くなるときみは言います。

 きみはいつも悲観的です。もっといいところを見つめてあげればいいのにと思うのだけれど。しかし僕と一緒にいてくれることで、僕のいいところは見てくれているのかななんて、自惚れたことを思ってしまうのは許してください。

 ああ、もうちらほらと桜が咲きはじめましたね。きみはあからさまに嫌な顔をいたします。でも僕は知っているのです。きみが僕なんかよりも桜が好きなことを。だから散ってゆくのが悲しいことも。桜が散っても、僕は去りませんし、変わりもしません。若葉が芽吹いたら、その隙間からまた光が差します。

 さぁ、もうすぐきますよ、きみの嫌いな春が。

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