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風俗王  作者: 島洋一
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序章 風俗王  第一章 小雪

風俗情報

風俗王

序章

 女を覚えたのは遅くもなかった。しかし、女遊びを覚えたのは四十を過ぎてからだった。結婚もせず彼女もいない。いや、彼女も出来ないし、いかんせん結婚なんて出来ないと言うべき男であろうか・・・

彼の場合、見てくれより性格に理由があるようだ。その理由として風俗嬢には気に入られる事の方が多い。何人かの嬢から店外デートに誘われたくらいだ。この場合、風俗を知らない人は圧倒されないが風俗嬢のほうからお金以外の目的で、しかも店の外で「会う」という所業は本来、御法度で驚くべき事なのです。お金をあげれば体を許す匿名の彼女たちがこの男には心を開こうとする。体を許すことから始まり心を開こうとする女達についてこれから語ろう。


第一章    小雪

本名「池田小百合」姓は二度、変わったそうだ。今は2番目の結婚相手の姓を名乗っ

て居る。お婆ちゃんが吉永小百合のファンで命名されたらしい。幼少期に母親が不倫して家族は離散していく。小百合自身も高校時代に家出して拾われた家が飲み屋で働くことになった。この街には出身地に近い某市ということで馴染みが深い。

 彼女が小雪になったのは2番目の結婚相手の400万円の借金を返すためだった。不遇の幼少期を送った小百合には「家族」が大事だった。とかく四人の子供達には不自由はさせたくなかったようだ。

 400万の借金は前向きな投資金などではなく2番目の男がゲームセンターで作った借金だそうだ。彼女が言うには「使う分だけ稼いでくれば文句は無かったんだよ。」らしい。

六人家族の生活を守るために小百合は小雪と名乗るようになった。小雪の性格から少しずつコツコツ借金を返すなどと言うことは考えずに子供を最初の結婚相手に押しつけ「鬼出勤」という風俗店で開店時間から閉店時間まで受け付けて客を取る。そういう働き方を26歳の彼女は選んだ。派遣型風俗店。俗称デリヘル。彼女を乗せた車はこの街に散らばったラブホテルをあちらこちらと疾風のように動き回り男達の股間を小雪はすり抜けていく。そうです。電話一本で飛んでいく女の子達、アメリカではコールガール。日本ではデリ嬢と呼ばれてます。

「九ヶ月で1000万貯めたんだよ。」自慢げに話す彼女に

「バッカじゃね。自慢にはならんな。」と俺は返す。

「何よ」。」

何も言えないのは俺の方で感覚が一般教育の「道徳」とはかけ離れているとこに彼女は気づいていない。俺たちは儒教の教えを深く義務教育時代には教え込まれてきてる。九ヶ月で1000万。確かにスゴいけど女とはそんなに男にやられまくって疲れはしないのだろうか?一日に五人も六人も男と遊べるのでしょうか?疑問は尽きません。性欲は続くのかな?また、次の疑問も出ますし、謎が謎を呼ぶというのはこのことです。

 勿論、この時点で借金も返し小雪を名乗ることは辞めた。ただ、また2番目亭主のゲーム癖が借金完全返済を機に再燃し、小百合はこ男から離れることにした。四人の子供をけなげに小雪という源氏名で今度は保育園の稼働してる時間帯だけデリ嬢として客を取り始める。そんな時に俺は小雪と出会った。ではなく電話してセックスを初対面でする。簡単なセックス遊びです

小百合に直接電話して呼んでお金を払って性的なサービスを受けると法律上違法です。小雪を風俗店を通して来て貰って性的なサービスを受けることが判明したら、これまた違法です。結局、お金でセックスをすることは法律が規制してるのです。派遣型風俗店の表向きのサービス内容は「マッサージ師の派遣」です。だからペニスをバギナに挿入しなければ、違法性を問われることは無いようです。

普通に「ソープ行ってくる」と友人に言って遊ぶ男は多いですが、これも違法です。ソープランドの表向きのサービス内容は「風呂に一緒に入る特殊浴場」なのです。一緒に女の子とお風呂に入るだけです。時々、女の子のサービスが悪かったのかソープランド、派遣型風俗店の女の子達は客から被害届を出されて売春防止違反で警察に出頭することもよくあるそうです。 人というのは色々居るんです。そういう「人」を彼女たちはよく知ってます。

「体は色々だよ。」妙に彼女たちが言うと色っぽさを増す。男と女、「体の相性があるよ。」と言い出すが、漠然とした「性格の相性」のようなものでは無く「ペニスとバギナの大きさで入るか入らないか」という単純な事を「相性」という言葉でキャバクラの女たちは言うようにも思う。それ以外はだいたいの男の色気、女の色気で上手くいく。

 俺と小雪の「体の相性」というのは良かった。さすがに子供を立て続けに四人も産むと膣口が元に戻るには子供が出てくる間隔が早かったようだ。

「あそこの大きさって生まれつき変わらないよね?」

小雪は真剣に話を始める。

「そう、、、、だろう。あそこが大ききかどうかはやってみないと分からないな。」

その当時では俺は五十人くらいと女の子を遊び知ってましたが本当によくは分かってなかった。一人でいいから長く付き合っていれば女の身体の「変化」を知るかもしれないが俺にはよく分からない。

 初対面の女の体をむさぼり、遊び、射精したあと俺は

「腹減ったな。飯でもくいに行かんか?」と言うと小雪は無表情になった。

明らかに彼女の方は「イク」ことは無かった。初対面の時間70分で女を「イカセル」のは少々、難しい。彼女が俺に「イク」に至らせられたのは電気按摩機の使用からです。

「連絡先書いて。ラインで良いよ。」半ば断れないように眼差しで聞いてくる彼女に

「携帯番号書いとくよ。」と普通では無い状態に俺の方が戸惑いながら時間が過ぎた。パートタイムラバーというのは、かのスティビーワンダーの名曲だが匿名の彼女たちのことですかな?


 御法度を破ったのは匿名の小百合のほうからだった。デリヘルで小雪を呼んで数日しか経ってない朝方です。出勤が上がっても無い日の電話なので何事か分からず俺は電話にすぐに出た。俺は仕事が夜だと言うこともあり彼女との遊びのターゲットにお互いに成りやすいようだ。

「今日は仕事ないんじゃないの?」

「そうだけど。昼職もないし子供達、保育園だし昼にそっちにご飯行こかと思って、、」

「あのなー。うちは夕方からしか営業はしないしランチはないよ。」

「いいよ。とりあえず行くよ。そっち。」

普通、お金で遊び遊ばれた男のところに堂々と行くのか不思議だ。しかし、付き合ってはないけどセックスはしてる。それもコンドームもせずに「生入れ」と言われてるセックス。お互い精神の病気だよ。小雪に俺。

「そんなに飯 食いたいの?」

「違うよ。そっちの店に行きたいんだよ。」

しどろもどろになりながらも

「そのうち来て良いから奢るから今日は他の店でご飯しよう。」やっと言葉を見つけた俺を

ふふふと笑いながら「良いよ。」と小百合は答える。


何故か小百合はご飯の後は上機嫌だった。

「何が、そんなに嬉しい?」直接勘ぐりなどせずに聞く俺に

「男の人にご飯奢って貰ったの何年ぶりだろう、、」

しみじみうつむき加減でため息交じりに小雪は言う。

「ふーん。今、付き合ってる男はいないのか?」

「いないよ。」

ここで何を言い出すか小百合は暫く俺を伺いながら沈黙を保っていた。

「セックスしようか?」

悪びれもせずに夫婦みたいに言う俺に

「ゆっくり時間をかけて愛のあるセックスがしたい。」

小百合はまっすぐとした眼差しで真剣に話をしている。

小百合の俺に思う期待はこの言葉でなんとなく理解は出来た。いい年をした男と女に付き合ったから結婚というわけでは無く、ただ小百合は女として率直に愛されたいのだろう。


次の言葉で小百合は動いたろうだろうが俺は風俗嬢と付き合う気は無かった。あえて俺は話をはぐらかすことにした。

「今度、デリで小百合を呼ぶときは三時間とるよ。」

まだ顔色が変わらない小百合は「そういうことじゃないんだけど。」

「何?愛のあるセックスかぁ。セックスは同じじゃ無いの?」

デリ嬢相手にセックスに愛があるとかいう問題提起で議論するのは難しい。

「男の人には分からないよ。」

「確かに。俺たちセックスをお金で買うからな。」 小雪の言う「男」とは「愛のあるセックス」が分からない連中、そう、女をお金で買う連中を指すのかもしれない。

「女遊びしない男なんていないことも無いが、、、、お金で女を買わない様な男がいいのか、、、」

「男の人は女遊びはするものだから、、、」


「よく分からないな。」

(何が言いたいんだ?)この言葉は小百合を誘導して言葉をださせてはいけないと直感的に察して言いよどんだ。


俺はあえて軽薄な男を演じてみることにした。

「お金だすから ヤル というのはどうだ?」

小百合の表情は読めないが「やる気は」無いように感じる。

「それをやったらお互いヤバイよ。」

「売春と店を通さずに稼いだというデリヘルのルール違反か」

「言わなきゃばれないよ。」俺はやる気満々のふりだけしている。

「・・・・・・・・・・」

(無言かぁ?)

考えるのが口説くのが面倒になった俺は

「そういえば今日は店のイベントの日なんだ・・・帰るよ。俺が居ないと始まらない。」

実際にイベントを開く日だったので嘘でも行き当たりばったりの言い訳でもなかった。

「・・・・・・・・・・」


「じゃまた呼ぶよ。小雪を・」

小百合の方はうなずくことも無く片方の目で恨めしそうに何かが物足りないような余韻を残した目で何も言わずに自分の車に乗るとこで俺は自分の車を走らせた。


(「付き合おうか?)とでも言葉にしてたらこの場合、付き合ってたかもな?)

なにが小百合の心にヒットしたのかが理解できなかった。

この男、俺は付き合いたいというのは漠然かもしれないがはっきりした理由がないとい付き合わないという数学的帰納法のような考えの持ち主なのかもしれない。

行動には理由を。理由には根拠を。そんな堅苦しい男なのかもしれない。

ただこの男は、小百合とこんなことがあったにしても小雪が在籍する派遣型風俗店からまた別の女の子を呼んで普通に遊び小雪に「このまえヒヨリちゃん呼んで遊んだ。」と正直に話すような男でもある。


その時が小雪にとっての逆鱗かもしれなかった。セックスしてるのにいつもの可愛い声は出てこず素知らぬ顔でどこか役目すましなセックス。「マグロ」ただ女が寝てるだけで男が精進することを言うのだが、今日はその「マグロの小雪」を初めて抱く。電気按摩機も効かずウンともスンとも声が出ない。

「なんだ。やる気ないのか?」

「わざとなの」

たじろぐ俺に気を遣うことはない小雪は何もそれ以上は言わない。

「何。怒ってんだ?ちゃんとやれ!感じてる振りでいいから・・」

それでも山は動かない。

いい加減に辛抱が切れた俺は、「今日はもう辞めよう。もういいよ。」

とさっさと風呂に一人で入り服を着た。小雪はもうその間に着替えてる。

遊びのセックスの対象に小雪を何回か選んだが遊び以外の何物でも無いということを行動から彼女自身が感じ取った瞬間が「このまえヒヨリちゃんを呼んで遊んだ。」という言葉を発した俺の答えとして思い知ったばずだ。

おれはそう、もうこれで小雪を呼ぶのは最後だと決めていた。

自分の身の回りは「仕方ない」とか「しょうがない」で済ましてる人は多いがとかく遊女に関しては「遊ぶ女」「遊ばれる女」いろいろな受け止め方もあるが

遊女に遊ばれる男では立つ瀬がないようだ。そこで小雪は呼ばないし小百合のアドレスも携帯番号も削除して終わりとすることにした。

さらば小百合。小雪とはもう遊ばない。


まだまだ続く 男の性欲にように

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