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天才剛毛ロリ童女を添えて~第二フェーズ、もあるよっ!

挿絵(By みてみん)


「全軍警戒態勢!!」

「ガハハハハハハハハハハハハ!!!!」

「≪ショックウェーブ!≫グッ…」

「リリィさん! こっちッス!」


 イボーグはけたたましく笑い飛ばすと、私の魔導砲で消し飛んだ麻のかごの代わりに、次々と地面に武器を刺していく。


「久しぶりだなあ…こんなに居座るつもりもなかったんだが、久しぶりに、俺の全力を出せそうな相手が見つかった…!」

「マズいですね、まさかアレを食らってまだ立てるとは!」


 まさにその通り、私の全力の魔導砲だった筈なんだがね…。

 くっ……。


「リリィさん! 大丈夫っすか!」

「うっ…ゲホッゴホッ」


 …流石に、魔力切れが近いね。


「リリィさんが魔力切れ…!?」


 私の近くにいた看守君は信じられないといった表情で私の背中をさする。


「私の魔力は無尽蔵だが、無限じゃないのだよ、私だって人間だ…、うっ…、ただ、自傷行為によって、私の中に詰まっている魔力は急激にその量を減らす。これが、私の攻撃魔法にを使うことによる最大のデメリットだね…」

「そんなデメリットがあったんすか…」

「リリィさん、とにかく移動しましょう、アイツが動く!」

「おい! こっちだ! この兵の後ろで守ってもらおう!!」


 相変わらず逃げ足は早いね。乳山君。

 イボーグは地面に突き立てた武器のうち、槍をその手で抜き取ると、ブンッと一振りする。


「うれしーじゃねぇの、そうだ、少しでもこの破壊を楽しむために、お前たちに教えといてやろう、俺の能力を――」


 イボーグはその槍を一振り二振り、そのうち、縦横無尽に自身の周りを巨大な槍が駆け巡り、刃先をこちらに向けてビタッと止めて見せる。


「<すべての武器に適性を持つ>能力、ま、つまり古今東西俺の知らねー武器でも全て、手にした瞬間から達人並みにその武器を扱える、どうだ? 惚れ直したか? リリィちゃん」

「なっ、なに!?」


 筋力強化でも、その馬鹿みたいに堅い肌でも、無尽蔵なスタミナでもなく、武器のポテンシャルを引き出す能力だと!?

 では、ではあの身体能力は、種族差だとでもいうのかね…!?


「ガハハ…それだよそれ、俺が見たかったのは、その表情だ!!!!」

「全軍、突撃ィイイイ!!」


 その巨体から振り下ろされる槍は大地を割り、連合軍の騎士を見る見るうちに蹴散らしていく。

 先程までの力技ではなく、剣を受け流し、死角を突き、ガードの上からその剛剣で相手を壊していく。四肢が飛び散り、血液は大気を舞い、揺らめきながら変幻自在に戦うその姿は、酒に酔った鬼が矮小な人間で遊んでいるような、そんな印象を受けた。


「ううん…?」

「あんた、魔族なんだってな」


 そこに、連合軍の隊長の静止を無視し、一人イボーグの剛剣を受け止めた男が居た。


「俺の名前はジャック、連合国一の剣士だ」

「…オメー良い匂いすんなあ、南部のレ・シュガリーじゃねーか?」

「おお! アンタも酒好きか! 俺が一番好きな酒なんだ!」

「ガハハッ! そうか、いい趣味してるじゃねーの、これが終わったら鬼人族の里に来いよ、いい酒を飲ませてやる」

「グッ…ああ、行きたいところだが…、こりゃあ、手加減してくれなきゃ死にそうだ」

「心配ねえ、里は、地獄の底だぜェ!!」


 ジャックが弾くと、イボーグは凄まじいスピードで再び打ち込むが、ジャックはそれを受け流し、続いてイボーグの横へと移動すると、足の腱を切りつける。傷は浅いが、あのとてつもない硬度を誇っていた皮膚に傷をつけ、血を流させた。

 なんだあのジャックという男は!? 本当に人間か!?


「仕方がない、魔術師部隊、総員、攻撃開始!」


 次々と放たれる魔術の数々に、イボーグも若干押されていたが、すぐさま槍をこちらに向かって投げつけると、一突きで、魔導砲でも食らったんじゃないかと錯覚するほどの衝撃を部隊に与える。

 すかさず今度は地面に刺さっていた、大きく湾曲した剣を掴むと、ジャックに襲い掛かる。あの巨体で、何て運動性能だね。


「リリ・リマキナ、もう一度、魔導砲は撃てますか?」

「撃ちたいが、厳しいね…もう魔力はほとんど使ってしまったよ…」

「なんと…」


 打つ手なし…か。

 邪魔が入らなくなったイボーグが、今度はジャックを押していた。あれだけの体格差で剣を受け止められる方がおかしいのだ、ついにジャックは剣を弾き飛ばされ、振りかぶるイボーグの剣を受け止められなくなった。

 その時だった。

 看守君は先程ジャックが切りつけた傷口に自身のナイフを突き立てると、炎をナイフの刃先から吐き出す。


「ぐあああああッ!!」

「剣を、剣を取れ! 連合国のイケオジ野郎!」

「――! 恩に着る、誰かさん!」


 そこから、剣を取り翻したジャックは、わき腹、脇、太もも、肘窩、私も目で終えないほどの連撃をイボーグに浴びせる。

 そして看守君は、耐えきれずジャックにけん制するイボーグに付かず離れずの位置から、マジックダガーを用いて攻撃の補助に徹していた。


「うっとおしいんだよ!! さっさと壊れろ!!」


 そうして地道な攻防戦が続いていた三人だったが、イボーグの怪力による薙ぎ払いに、二人は吹き飛ばされ、イボーグは連携の崩れた所を見計らい踏み出そうとした、…その時、ポイッと武器を野原へ捨て、近くに刺さっていたロングソードを拾った。


 ――そうか、何で気が付かなかったのだ…!


「武器だ! 武器を奪え!!!!」

「ぬう…!」

「なに!?」

「武器? そうか!」

「なるほど…武器です! 武器を壊しなさい!!」


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