天才剛毛ロリ童女を添えて~変態ペド鬼畜野郎、空を飛ぶ、もあるよっ!
「破壊! 破壊! 破壊!!」
「「「ぎぁあああああああああああああ!!!!」」」
イボーグはただ真っすぐに進んだ。
建物をなぎ倒し、人をその巨大な武器で薙ぎ払い、技も、魔法も、罠も、何もかもを破壊し突き進む。
その赤い肌には、今だ誰一人として傷を付けられた者はいなかった。
「イボオオオオオオオグ!!」
「んん?」
イボーグが建物を破壊しつつ顔を上げると、そこには小さな子供がたっていた。ボロボロの布切れのような服を着て、ぼさぼさの金髪をたなびかせた、天才魔術師が。
「俺様と付き合う気になったかあ! マイハニー!」
「お断りだね」
突然、イボーグの後頭部が爆発し、少しその巨体がよろめく。
後ろから、私手製の魔導砲を看守君が打ちはなったのだ。
イボーグが後ろを確認する暇を与えないとばかりに、今度は左右から魔導砲を食らわせる。
「むっ…むぐううう……!」
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン。
次々と連続で発射される魔導砲。その横でケーブルに繫がっている、青く輝きを放つクリスタルは凄まじい勢いで光りを失い黒く変色し、ついにはヒビが入る。
「あっ! 熱っ!! 熱いっす!」
「耐えるのです、アルマ君!」
屋根の上から魔導砲を打っていたアルマ君は横で見守っていたバーゼル君の方へ顔をそむける。
反対の屋根の上からは乳山君も必死にその反動に耐えながらとにかく魔導砲を打っていた。
みんな、耐えてくれたまえ…。
集中。
すべての魔力を、決して使い切れない程の、私の中に残留している全ての魔力を集めるつもりで…。
「むうっ…! な、んだ…これは…! クッ…うっとおしい、うっとおしいぞ!! 豆鉄砲風情が!!」
イボーグは辺りの感覚を歪ませるほどの術式反応に、嫌な予感が走ったのか、さっきまで防御態勢を取っていた腕を解除し、自身がぐるりと回るように、腕を広げ巨大な剣による斬撃を食らわせる。それは突風を巻き起こし、屋根の上や、後ろの道で魔導砲を打っていた三人を、周りの建物もろとも破壊し吹き飛ばした。
「看守君、アルマ君、乳山君!!」叫んだが、もちろん返事はない。
ズシン、とこちらに一歩を踏み出した巨体の持っていた剣は、イボーグの人知を超えた力に耐えかねたのか、ぐにゃりと刀身が折れ曲がってしまっていた。それを後ろに捨てると、背中に背負っている麻の籠から今度は、凶悪なとげが付いた金色のメリケンサックを取り出し装着する。
「リリィ、お前が何をしようとしているかァ知らねーがなあ、止めておけ、どうせ俺には効かねー」
「――それはどうかね」
「まったく、どうしてそう気ィが強ェんだろうなあお前さんは、ま、そこが好きなんだがなあ」
「以前断っておいたはずだよ、私は君とお付き合いするつもりはないとね」
「ガーハッハッハ!! リリィ、最高だ! なあ、何で俺が気の強ェ女が好きか分かるか?」
「君の変態的な趣向に興味はないんでね」
「ハッハッ! それはな、破壊した時、俺に糞尿まき散らしながら首を垂れるその姿がたまらなく好きだからだァ!! ガーハッハッハ!! 今の流行り言葉だとギャップ萌えって言うんだろ! たまらなく萌えェだよな!」
「そう言うのは、萌えとは言わないんだよ、変態ペド鬼畜野郎」
「嫁にこい!! リリィイイイ!!!!」
イボーグの拳が放たれる瞬間、その巨大な拳からは想像がつかないほどの速度で放たれたそれは、パァンという破裂音を轟かせて気が付いた時、私の上半身ほどもあるそのこぶしは、私の目の前に到達していた。
反応しろ、集中しろ、全神経を尖らせろ。
私は天才魔術師、誰もが出来ないことができる、だからこそ、誰もが出来ないことをやる義務がある。そう言うことだね、師匠。
「«魔力遮断――三秒»」
「跪けえええええええええええええええええええええ!!!!」
「≪サイコロジック≫」
――感覚が、強制的に敏感になる。
周りが緩慢に動いて、私だけが、時間という概念から解放され、この世の法則からも解き放たれた気分だね。気持ちがいいというよりも、ざわざわと心が落ち着かない、行動することを強制させられ、全てを分からせられる、――全ての法則を。
右斜め入射角四十七度から外側へ移動、眼輪筋に反応、驚いている、いや既に次の行動を検知、衝撃に備える、魔力量三.二七%≪ショクウェーブ≫衝撃を相殺、右大腿四頭筋に反応有、踏ん張りながら左手でさらに素早い攻撃、これはスルー、体の内側に入り込むように移動しながら回避≪ビルドアップ―スピード―≫、上腕二頭筋から三角筋、大胸筋にかけて反応あり、僅かに口を開け、大きく目を見開く、発声こそしていないが驚愕し、≪ビルドアップ―ヒアリング―≫心音が早く汗腺や眼球からの水分量が十%増加、パニック状態を確認。
そろそろだね。
大振りのフック、当たらない、三歩踏み出す――――。
「飛んでいけ≪重力反転≫スマッシュ!!」
「ぬう――――!!」
私がイボーグの体に触れると、私とイボーグ、その周りがグンッと浮き上がる。
それと同時に、イボーグはその怪力を使い私を引き離そうと掴みかかるが、重力を使いイボーグの動きを固定する、その瞬間、地面が大きく揺れ、衝撃を周りに伝える、振動。
正直きついね、重力のベクトルをイボーグの周りから体の中心に集めているのだけれど…あれだけ魔力砲を打ち込んで、まだこれだけの力がまだあるなんてねッ…オークたちが一撃で沈む代物だぞ…クッ!
けれど、私の目的は、ここで君をつぶすことじゃない。
ベクトルコントロール!
体が引っ張られる。地上からは急にイボーグが上空へ飛んでいったように見えただろう。一瞬の隙を突き、重力の上下が入れ替わったかのように、斜め上空へ落ちていく、私たちは街の上空を越え、防壁をも越え――。
「グゥ…! ぐああああああああああああああああああああああ!!!!」
草原へと墜落する。




