天才剛毛ロリ童女を添えて~【バトル】新たな能力、もあるよっ!
「ブオオ…お前らは、だが、見落としてる、魔物との戦いでまず最初に警戒するべきことをな…」
その巨大な体躯に似つかわしくない小さな頭部。いや、他の部位が膨れ上がったことで相対的に頭部が小さく見えているんだね。
「ヒッ…」横にいるアルマ君が、逃げ場のない、瓦礫側に後ずさる。
アルマ君は逃げ出したい気持ちを必死に抑えて、それでもあふれてしまったのだろうね。
「それは、魔物が魔物たる所以、その<能力>」
獣が一歩踏み出すと、私たちは一歩下がる。
尋常じゃない。
これが、能力を行使した魔物の魔力。
「魔物は魔力に愛されている。この世界の源に…、愛されている」
人間は世界に嫌われている――。誰かの一節を思い出した。この世界で魔力を持たないものは人間だけだ、人間は他生命体から魔力を奪っている。根っからの略奪者なのだと。
奪い、犯し続ける種族。
確かに、目の前の、体から湧き出る力強い魔力を見せつけられれば、納得できそうな話だね…。これは私が懐胎体質だからか、人よりも周りの魔力を感じやすくなっている、けれど、これは私でなくても感じていることだろう、こんな生命の爆発。体から吹き出る魔力が、私の肌を突き刺す、明確な意思をもって。
「俺の能力は<力>。単純だろ…、だが…だからこそ、使い勝手がいい――」
ガブは身を少し後ろに引いたかと思うと、地面を弾き、さっきの愚鈍な動きとは比べ物にならない俊敏さで、私の目の前へ移動してくる。私の反応速度が追いつかないくらいのスピードで。
「≪呪縛:海溝乱視重ねノ印!!≫」
「ブオ…!?」
その巨体は、私にぶつかる寸前に横へと反れ、後ろで瓦礫の弾ける音を響かせた。
分かった。
レンガ造りの住居を一瞬で瓦礫へ変えたのは、なんてことない、このオークが槍を飛ばし、その衝撃で崩れたのだ…!
なんてパワーだ! そして、私は何て愚かだったのだろう。魔物一人ひとりには能力がある、確かにそれは知っていた、だが私は侮っていた、私が戦ってきたのは所詮雑兵に過ぎなかったのだ。魔物の人間を遥かに凌ぐ身体能力、戦闘慣れした戦略、どれも取るに足らない、一番に警戒すべきは、どんな状況も一気にひっくり返せる、この<能力>だったのだ…!!
「リリィさん! ど、どどどどうすれば!!」
「お、おおお落ち着くんだアルマ君! な、何とか何とかなるさ」
「何とかなるって…リリィさん、あの巨体見えねーのか!? ありゃあ魔物じゃねー、化け物だ!」
う、うるさいよ看守君、なるべくそう言うのは考えないようにしていたのに、余計ムリゲーに思えてくるじゃないか。
ガブは瓦礫から顔を出すと、少しふらつく足を止める。
「何だこの魔法は…、俺に何しやがっ――」
言い終わる瞬間、我々の後ろから瓦礫が飛んでいき、ガブの頭にクリーンヒットする。
それを皮切りに、次々と瓦礫や炎、水弾や氷の礫がガブを襲う。
「なっなんだね」これは…。
「ふー…定刻です」
後ろから、聞きなじみのある声が聞こえる。
「バーゼルさん!」「来てくれたっすね!」看守君とアルマ君が言う。
「ご退場願いましょうか…ガブ」
「グゥウ…その声、バーゼル!!」
振り返るとそこには、バーゼル率いる、青い制服に身を包んだ、キラベルの生徒たちが魔法を使いガブに攻撃を加えていた。
援軍! 思ってもみない出来事に頭が追いつかなかったが、この数が居ればあるいは…!
「リリィ・リマキナ、貴方、全く反省していないようですね」
「止められるのは、私しかいないと判断しただけだよ、案の定、だったみたいだけれどね」
「……。まあ、いいでしょう、時間は稼げました」
「何のことだね」
「貴方には関係のないことです、――――やりなさい」
「ブオオオオオオオオオオ!! バーゼル!! テメェエエエエエエエエエエエ!!!!」




