天才剛毛ロリ童女を添えて~隊長参戦、もあるよっ!
◇ ◇ ◇
パシュゥウウウ…。バグライトの上空に紫色の信号弾が放たれる。
「何か、あったみたいですね」
「ボフゥウ…、今の、デケー爆発と関係があるだろうな」
草原の真ん中、バグライトの出入り口数キロ離れたところに隊列を組み、待機していた隊長オークは信号弾をにらみつける。
「あの魔法使いのガキ、既に戻ってきてると思って良いだろう…とすると、全滅か」
「ぜ、全滅!? まさか!」
「違けりゃいい、だが、的中していた場合は――」
振り返り、オーガの乗っている特注の馬車を見るが、「グゴーーーッ! グガーーーーーッ!!」中では草原の風を浴びて、気持ちよさそうにイビキをかくオーガが居た。
「チッ…、酒呑みが。何のために付いてきやがった…おい! 念写まだか!!」
「もう少しです!!」簡易テントの中に入りイライラとした口調で言い放つと、兵隊オークの一人は酒を口に含み松明を持ち、地面に吹きかける。
すると草が燃やされ、それらが文字となり、そこには伝令が描かれていた。
隊長オークはざわざわと騒ぐ兵士たちを退かし、それを見る。
「なっ! これは、これは誠か!?」
「あのガキ、只ものじゃねーか…………。ドケッ!!!!」
中にいたオークを退けると、立てかけてある、全長八メートルもある長槍を軽々と持ち上げ、テントを出て、馬に乗ると。
嘶く馬に合わせて、槍を掲げる。
「俺が出る」
テントの外で構えていた軍を引き連れバグライトの大きな穴が開いた壁めがけて駆けていった。
バグライト、防壁上でバーゼルはオークたちの動きを望遠鏡で観察すると溜息をついた。
「ふう…。来ましたか、では手筈通り…ん?」
身を乗り出し、今度はバグライト中の防壁に開けられた穴付近に望遠鏡を伸ばすと。
「ん…? ありゃあ……」
隊長オークの目線の先には防壁の穴、その奥に一人の小さな子供が立っている。
子供、あれは――。
「リ、リリィ!?」
「あのガキィ…!」
リリィは手を上空に掲げると、後ろにいたアルマはリリィの喉を両側から人差し指で指すように構えた。
『止まれええええええええええええ!!!!』
その声は草原を馬で駆ける隊長オークに響き渡る。大音量。
オークたちはその言葉を聞いて尚も止まることはなく、隊長は自身の長槍を掲げると、後ろにいた騎馬隊も旗を高々と掲げた。
「進め、進めえええええええええええ!!!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
草原を飛ぶように、スピードを増して駆けていく騎馬隊。
突如――。
騎馬隊の一部が爆発し、乗っていたオークたちが転げ落ちていった。
「ぐぅうう…!」
『そこには私の髪が散らばっている! 見つけることは不可能! 踏めば爆発する!!!!』
「うわああああ!」「ぎゃあああ!」次々と爆発し、馬から転げ落ちるオークたち、中には速度を緩め、引こうとするものまで現れ、隊長オークはそれを見ると、再び槍を掲げた。
「引くなあああ!! 引いて待つのは何だ!? 老いか、貧困か! 貴様ら、家族を殺したいのか!! 引くな! 引くなああああああああああああああ!!!!」
「「「ああ……ああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」
ひゅうううう…高い、甲高い笛の音のような音が響き、地雷とは比べ物にならない爆発が、隊列の真ん中で巻き起こる。
誰かが叫んだ「爆撃されてるぞおおお!!」オークたちが次々と倒れていく。
「槍の陣!! 急げ!!!!」
隊長が叫ぶと隊列は細長く変形する。その周りで、先程の爆発が繰り返し起こり、さらに下からは地雷がオークたちを襲う。
最前列にいた隊長は少し後ろに下がると、横にいたオークからスクロールを受け取り、風に乗せて、隊列の後ろ側まで展開した。
「結界展開!!」ヴゥンと低い音を立てて、オークたちの頭上に青い結界が展開される。
「オ、オーク達が、魔法を…!?」バーゼルは防壁の上からその光景を目撃し、驚嘆の声を上げた。
何回かオークたちの頭上で爆発が起こるが、結界は波打ち、それを防ぐ、地雷で倒れていくオークたちに目もくれず、隊長オークはある一点を見据えていた。
(もう少し…もう少しだ…)
隊長の眼前には防壁が大きく映っていた。
動かなかったリリィは少し横にずれると、そこには巨大な大砲の砲身に四本も詰められた<黒い筒>が露出している。
筒の端からはコードのように無数に紐が出ており、その先には、木箱一杯の青いクリスタルがテラテラと怪しい光りを放っていた。
それはだんだんと光りを増し、青から白へと光りを変化させる。
一瞬。
草原が、草が、波打ったと錯覚するほどの術式反応。
筒からは凄まじい光線が。
一閃。
「ぐうう――!」
オークたちの隊を貫く。
街を草原を揺らし、アルマやリリィ、防壁の上で見ていたバーゼルは自身の腕でその爆風を踏ん張りながら耐える。
「やったっスか…?」
リリィを支えながら爆風を凌いでいたアルマが呟いた。
爆風がおさまり、黒い雲が上がり、――――その上。
一匹のオークがこちらに向かって飛んでくる。
リリィ達の前に、その普通のオークよりも二回りも大きな巨体は、音を立てて着地する――。
「…グフッ、ゴハッ…………殺しに来たぞ…ガキ」
「ヒュッ――!」
誰かの肝が握りつぶされる、そんな音がした。




