天才剛毛ロリ童女を添えて~知略知将、大天才、もあるよっ!
先程居なくなった人間たちを探し、オーク達は街の商業地区付近の入り組んだ道の真ん中に集まっていた。
「…チッ見失ったか、よしっ、他に人がいないか見てこい! 建物も出来るだけ壊せ! すべてを蹂躙してやれ!!!!」
ひとりのオークはそんなことを言いながら、他、七匹のオークたちに檄を飛ばす。
言い終わるころ。
遠くの方でガラガラと建物が崩れる音がし、先程喋っていたオークは機嫌よさそうに、「おおー、やってるな、俺たちもやるぞ」と鼻息を荒げていたが。再び、建物が崩れる音に反応する。
「ん…………な、なんか…多くねーか、これ」
それはどんどんと数を増し、近づいて来ているようにも感じた。
突如。
自分たちの近くでも爆発音がとどろき、表に出ると、片側の道がふさがれ、急いで他の道を行こうとするが再び爆発が起こり、建物が崩れる。
「な、何だ!? どーなってやがる!!!!」
それは連鎖的に繰り返され、まるでオークたちの行く道をふさぐように次々と爆発していく。
パニック状態に陥りながらも、複雑に入り組んだ道を、何度も何度も曲がり、たどり着いた先には――、大きな広場。そしてその中心には水の出ていない噴水が鎮座していた。
その噴水の噴射口、つまりはその噴水の上には、リリーとアルマが立っていた。
「≪痛覚無効≫」
リリーは自身の人差し指から小指までを勢いよく切り落とすと、四方に散らす。
空気が震えるほどの、――術式反応。
「≪爆破せよ≫」
凄まじい轟音を立てて、噴水広場とその周りの数件の店を吹き飛ばすほどの威力を見せた爆発は、防壁の上に立っていたバーゼルでさえも身を震わせる爆音をとどろかせ、黒煙を高く立ち昇らせながら、戦火に燃える街に、新たな風を吹かせたのだった。
「リリィ…! まったく…学習能力というものがないのでしょうか…」
アルマ君は私の周りの結界を解くと、息を吐きながら崩れ落ちるようにその場にしゃがみこんでしまう。
「ありがとうアルマ君、アルマ君が結界術も使えて助かった、やはり君は優秀だね」
「でへへ…そ、そうですかねえ、こんなもんでよければいくらでも作っちゃうっスよっ!」
疲れでしゃがみこんでしまっていたはずのアルマ君は照れながらも、ゆるゆるの笑顔を見せ、後頭部をさすっていた。
このレベルの爆発には、瞬間的な衝撃に強い結界を張る必要があって、それはそれは結構な難易度なはずだけど、こんなもん、か。うらやましい限りだよ、本当。
広間の周りから、乳山君と看守君が集まって来ると、その焼け跡に感心したように乳山君が「聞いてはいたが、天才の名はダテではないな…これほどまでの爆風を何の準備もなしに」と、やっとこの大天才を認めたようだった。乳山君は以前から私を子供か何かだと思っている節があったからな、ことあるごとに髪の毛を編み込むし、やたらマジックを見せたがるしね…。
「あんまりほめんなよ、これはこれでリスクのあるんだ、早くふさいだ方がいいぜ、リリィさん」
看守君は私の指を差しながら言う。
そうだった。
四本もの指を失った左手からは、プシューーと音を立てながら紫色の、可視化出来るほどの濃度の魔力がものすごい勢いで漏れ出していた。
はあ、これが、この瞬間が嫌なんだよ。全く。
「グッ…!! ぐあ˝あ˝あ˝…あ˝…」
私は痛覚無効を解くと、激しい痛みに耐えながら、必死に集中した。
集中、集中、しゅうちゅう。――――≪癒えろ≫
ふう。
私が顔を上げると、乳山君達も、噴水の下まで来ていた。
「魔法もそうだが、私が言ってるのはその知略の方もだ、こんな<作戦>うまいこと行くものなんだな」
「んーそれもそうだな、相手の、魔物の動きを分かって居たような戦術だった」
「やっぱりリリィさんは天才だったっス!! キラベルきっての大天才だったっス! 自分尊敬するっス!!」
「え…あ、あははァ、ま、まあこのくらい、天才魔法使いリリ・リマキナに取ってみれば朝飯前だよ諸君…!!」




