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天才剛毛ロリ童女を添えて~奇々怪々、もあるよっ!

挿絵(By みてみん)


「……ま、仕方ねーか」


 あんなにも悩んでいた割には、あっけらかんとした看守くんの態度に、拍子抜けしてしまいそうになる。


「い、いいのかい? 随分と…その」

「俺も思うところがねーわけじゃねーよ、リリィさん、けどな、オークと交渉したり、あの怪しげな魔族と危険を冒して行動したり…それこそ、俺も思うところがあったんだと、思うんだ。さっきはああいったけどよ、悪ィなリリィさん」

「…。」


 つまりは、私の誠意を見ていたということだろうか…?

 過去の出来事はなんであれ…、今は、信用されていると取っていいものか。あるいは…、彼の心の中で私を許す気持ちが出来たのか、私は許されてしまったのか。

 ……。

 いや、それは、ない。ありえることじゃあ…ない。

 それに、もし仮に、彼の中で私が許されたとしても、私は、私を、許すことなどできないじゃないか…許されることなどないじゃないか。


「おい! 聞いているのか!!」


 ……。


「それじゃあ、行くか、リリィさん」

「そうだね」

「ご一緒するっす」

「私はご一緒しないからな、ここから出るつもりはないからな!!」


 はあ。


「まったく、いつ空気を読んでくれるかと思っていたが、期待外れだったみたいだね」

「なんだその私がわがまま言っているみたいな物言いは!!」


 実際にわがままを言っているように聞こえるのは私だけだろうか?

 乳山君は牢屋の隅で抗議するように拳を上げる。

 仕方が無い。

 戦いに行くのだから、しかし本人の意志を尊重しなければならないだろうね。


「では、乳山君はここに残るといい」

「言われなくてもそうするつもりだ」


 即答だった。

 騎士としての精神だとか、そういうものは彼女にはないのかもしれないね。ただ、はじめにあった時から所謂、騎士道精神や忠誠心、心に持った芯のようなものが、騎士なら持っていて当然の堅苦しいものが、不思議と彼女には感じられなかった。本当に騎士なのかと見まがうほど。

 だからなんだという事はないけれど、私の知る所の騎士とは、やはり随分印象が異なるように思えるね。私個人としては、無宗教の影響かもしれないけれど、騎士のそういった…言ってしまえば洗脳に近いような心持は、話しにくくて仕方がないくらいなので、それに関しては乳山君の美徳と感じていたのだがね…。

 私は見上げ、看守くんとアルマ君と顔を見合わせる。

 けれど…。


「けれど、どうだろうね」

「…ん?」

「もしも、もしもだけれど、例えばオークが街の防壁を突破して、街に入って来たとしよう、街は戦火に包まれ、混乱に陥るだろうね、街の住人はいいさ、きっと今頃中央城壁に囲まれた高等教育機関キラベル城の中に避難しているころだろう」

「あ、ああ」

「だけれどキミは? キミは私と同じ、現在拘留中の犯罪者だ、おっと、もちろん城の中に入れてもらうことは出来ないよ? わかっていると思うがね」

「……。」

「きっと前回と同じ場所、穴の開いた防壁を突破してきたオークたちはそれにほど近いこの拘留所も直ぐに襲いに来るだろうね、ここに入れられて身動きも取れない、武器も防具も没収されている君は…くっころされてもおかしくはないように思えるけれどね。むしろ、私は十中八九そうなると予想――」

「お願いします、連れて行ってください」


 それはそれはキレイな土下座だった――。


「よし、じゃあ行くか」


 看守君が言う。

 乳山君には悪いが、実際にはこの拘留所は簡単に脱出されないよう、内側からも外側からも結界が張られ、相当強固に出来ている、想定する事態にはなるのかどうか微妙なところではあるが…それに、ここに入っている者はいわゆるこの街の犯罪者と呼ばれるものたちなわけで、この街に恨みを持っていてもおかしくない、むしろ、そっちの可能性のほうが高いだろう、それをわざわざ殺すことになるかどうかは、私にはあまりメリットを感じないが、そもそもここを襲いに来るかどうかも怪しいと感じるけれど…。

 そのあたり、乳山君はどう考えているのだろうか? いやむしろ考えていないのだろうか。

 だけれど、それでもやはり戦争だ、何らかの被害がないわけじゃないだろう、絶対にそうなるとも限らない、乳山君に説得したような事態になった場合、本当に生き残れる確率はゼロに近い、であるならば、やはり私たちと共に、自由に行動できる状態を保っておいた方が良いだろう、それに、いざとなれば、あのクズ魔族のように逃がしてやれる。

 うむ、やはりそれが得策だと、私は愚考する。


「んー。」

「どうしたのかね、アルマ君」

「あ、いえ、いまさらこんな事聞くのはアレなんスけど、というか聞くのが怖くて聞けなかったんスけど…」

「…なんだね?」

「あのー…、ジンさんは、どうしたんスかね?」

「……。」


 「彼は逃げた。」いまさら過ぎる質問だった。


「……もしかして、助けを呼んで戻ってくるってことは――」

「「それはない。」」


 これも今更すぎる質問だった。

 乳山君と、並んで断言出来るほどには。



熱が出てしまったので、今回投稿分は延期させていただきます!

9月10日

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