天才剛毛ロリ童女を添えて~オークの長にカチコミ、もあるよ!
「オメーなんでそんな大事なことを先に言わねーんだ!」
「な、なんだね、拘留されてた私たちが外に出ているんだぞ!? なんの制約もないと思っていたのかね」
「チッ! クソッ!!」
目の前の鉄格子を殴りつけるがリリィは「止めないか、そんなことをしても意味はないよ」などと至極まっとうな意見を返すだけだった。こんのチンチクリン本気で役に立たないな、そんなことは分かってんだよ、だが解決策が見当たらねェ。どころか…「あー本気でどうする!? だからこんなところ来たくなかったんだ! 知らないと思うがね、このオークの里には既に使者を出しているんだ、だが前回の使者はこの里で殺された、帰ってきていないんだよ! どういう意味か分かるかね? きっと尋問の果てに嬲られ痛めつけられ殺されたんだ!!」と、そんな物騒なことを騒ぎ立てていた。
「お、おおおおいおい、そ、そんなコエ―こと何でいうんだよ! おしっこちびったらどーすんだ!」
「事実だ! はあ、何故こんなことに…、いいかい、とにかく外に出たら防寒着になりそうな物を拝借するんだよ、それから食料と水も忘れずに…そうだねそれと呪印は、確か帝国の方に詳しい人間が居るという話を聞いたことがある、その人に見てもらおう、うん、大丈夫だ、道中この天才魔術師も解呪を試してみるとするよ、よし、ではいくぞ!」
「おいこら勝手に話を進めんな!」
無駄に行動力だけがあるこの自称天才をとりあえず止めると、今後について、このひんやりと湿っぽい洞窟で少し冷静になって考える。
整理しよう。
まず第一に俺たちはココの長に話を付けるためにやってきた、オークの長、しかし前回の使者も同様ここではそういった連中はあまり歓迎されてねーみてーだ、何故歓迎されてねーか、それは不明、いくつか気になることはあるが、まあひとまず後回しだ。第二にこのままじゃ尋問されるっつうことだ、そうなりゃあ長に話を付けるだとかそんな余裕はなくなる、ていうか嫌だ。
じゃあどうするか? って話だが、リリィの言うように全部捨ててひとまず逃げるって案、馬車の中で俺が騒いでた事ではあるが、リリィの話だと雪山を二つも超えなきゃならないらしいじゃねーか、あまりにも現実的じゃねー、リリィは知らねーが俺は旅なんかしたことねーし、準備もない。
なら、やっぱやることは一つしかねーかなあ…。
「何だね? 貧乏ゆすりなんかして? あ、もしかしてトイレ――」
「ちげーよ! イライラしてんだよ! はあ、やっぱりか、やっぱこの作戦しかねーか…」
「なにかいいプランを思いついたのかね? 聞いてやろうじゃないか」
何故か上から目線なリリィにさらにイライラしつつ、俺は自分の目的を思い出していた。
今の俺は魔物側でも人間側でもねえ、まずはそこをはっきりとさせなきゃなんねえ。なら、やることは一つ。
「ココを抜け出して、俺たちをこんなところに閉じ込めやがった長にカチコミいれてやんだよ」
「き、来てる来てる来ているぞ!!!!」
「いいから前向いて足動かせ! つーか足遅いな! お前!!」
「ごらあああ、待たんかいわれええ!!」
「そっちから周り込め! 絶対逃がすな!!」
転移の指輪を使い、牢屋の鉄格子を魔王の部屋にプレゼントした後、俺たちはオークたちの長を目指し現在里を疾走中だった。




