天才剛毛ロリ童女を添えて~作戦成功?オークの集落へ、もあるよっ!
「なっなに? なんだって?」
「いやだから、向こうに着く前にとっとととんづらここうっつってんだよ」
「とが多くて分かりづらい! と、とんづら? なんだそれは?」
「逃げるって意味だよ!」
「逃げる!? バ、バカ! 何を言っているんだキミは!」
俺たちは、使者になることを条件に牢屋からなんとか抜け出し、こうして無事オークの集落へ招かれることとなった、が。「バカはオメーだ! 見ろこれを、これが使者に対する態度か!?」――馬車の中で俺たちは手枷と足枷を付けられ、まるで罪人のように運ばれていた。
俺は三センチはありそうな分厚い手枷をリリィへ責め立てるように見せつけてやる。
「くっ…いや、だとしても逃げるわけには行かないね、そうなれば街が再び戦争に巻き込まれてしまう」
「そんなこと言ってる場合じゃねーだろ! これ! これが見えねーのか! このまま連れてかれたらホントに殺されちまうぞ!」
「そ、そんなことだと! だいたいこれを提案したのも、こんな状況になったのも、全部キミの作戦じゃないか! というかキミ、キミの仲間がまだ捕まったままだろう、見捨てるつもりかい!?」
「あ? 知ったこっちゃねーよそんなこと! オメーが逃げねーってんなら俺一人でも逃げるからな、このエセ魔術師、せいぜいオークの夕食にならねーように気を付けるんだな、あ、オメーじゃおやつにもならねーか! ケケッ、アディオス! チンチクリン!!」
「最低だね! キミというやつは本当に最低だね!!」
馬車の布で覆われたキャリッジから、進んでいる方向と逆、後方部分の布をバサッと広げる、眩い光が一瞬差し込み外の景色を写すと、そこには至る所に緑色の物体が…。
オークの集落。
その街並みとも呼べる規模の家々や店、道行く人々がひしめき合っていた、人、つーか正確にはオークか。ガタンッと馬車が揺れ、ふらつく体で足元を見る、流れる小石の中に大きな石が混ざっていたようでそれを踏みつけてしまったらしい。よくみるとココはバグライトのあった草原よりも山地に位置する、灰色の岩肌だらけの石山のようだった。バグライトが下の方に見える。
すでに手遅れか、この馬車の後ろで馬車を引いていたオークが、俺の姿を見つめながらにらみを利かせてくる、くっ…。
布を戻すと大人しくリリィの目の前へ座り直す。
「気が済んだかね」
「…気が滅入る」
馬車が止まると一人のオークが顔をのぞかせ、降りるように言ってくる。
外にはさっきの街のような雰囲気はなく、目の前には岩肌が露出した荒々しい洞窟が続いていた、オークに背中を押され中に入ると、両側には格子状の部屋がいくつも連なり、その一室へ俺らは入いるよう促されるが…またか。
「ったく、オメー等は使者の扱いを知らねーみたいだなあ」
「ボフゥ…、黙れ、お前たちはこれから尋問にかけられる」
「な、なんだって! それはどういう意味だね!」
「じ、尋問だ? そんなことされるいわれはねーぞ! 豚野郎!」
「ボーフボフボフッ! お前たちがどう思っているかは知らないが、敵方から送られてきた使者を信じられる状況じゃないんだよ、じゃあな」
「チッ、ま、待て! クソッ!!」
この野蛮人共め! ふざけやがって、尋問だと? やはりここから出る必要が出て来たか。
「どどどど、どうする! どうしよう…どうすればいい!?」
「やっぱり逃げるべきだったんだよ! 今さら騒いでもおせー」
「今からここを出ようじゃないか! そうしよう、手を貸したまえ!」
「おいちょっと待て、出ることは賛成するが、そのあとはどうすんだ?」
「そ、そんなもの、ココから出たら…そうだね、ひとまず山を越えてヘブラスカまで行くか」
「…で? どのくらい距離があんだ?」
「うーーん、雪山を二つほど超えたらすぐだよ」
「バカが…」
「それよりも、逃げるというのならこの<呪印>の方が問題だろうね、これがある限りずっと場所は筒抜けだろうからね」
……今、とんでもないことを聞いた気がする。呪印だと? そんなもの…リリィが言いながら自身の首筋を撫でると、そこには確かに丸い入れ墨のような模様が浮き出ていた。
これで逃げる道は立たれたわけか、最悪だ、あっさり外に出られたと思ったらこういうことか、センター分け野郎。畜生。




