天才剛毛ロリ童女を添えて~【バトル】リリィの実力、もあるよっ!
そんなことを考えていると、目の前の家々に魔物が集り、ことごとく壁や人を襲い破壊している姿を目撃した。獣人族魔王城にも沢山この手のヤツが居た、力と縄張り意識が強く、同族で群れ、仲間を作り、攻撃性が高く、狩りや農業などはせず他人のシマを荒らし奪った物品で生活しているらしい、野蛮なやつらだ、俺がイカさました時、真っ先に手を出してくる野郎ばかりだった、体臭も臭せーし。
「くっ…あのオーク共! やるぞ!」
「ホイホイっす!」
看守はそんなことを言うと、腰からナイフを抜きオークめがけて切り込む、アルマはオークに向けて手をかざしローブで隠れていた腕を露出させると…うわっ、何だこれ…腕には大量の髪の毛が巻き付き、青髪や赤髪、様々な髪の毛が腕を覆うと、呪文を唱える「≪呪縛・弱地千手縛≫」と看守にこん棒で殴りかかってきていた一匹のオークに魔法を使い、そのオークは動きが鈍く、そして何だか存在感というか威圧感までも無くなっているような気がした、それを見逃さず、看守はナイフを光らせるとオークの首に突き立て、傷口からは血、ではなく赤い炎が舞い上がりオークは口や鼻から火を噴きながら倒れてった。
おおー! 魔法だ、魔法を使ってるぞ! いや、当たり前なんだが、向こうでは魔法なんて魔王様が使うくらいで魔物はつかえなかったからなあ、そういや乳山も使えねーしこうして生で魔法を見られるなんて何だか少し興奮する、――ん? そういえばリリィは? あたりを探すがリリィの姿は見当たらない。路地に入る曲がり角、リリィは戦っている二人の様子を影から見守り…。
「おい、なにやってんだ? こんなところで」
「うわああ! び、びっくりしたあ」
「…お前も戦闘参加しろよ、天才魔法使いなんだろ? あんな奴らイチコロだろ?」
「な、何を言ってるんだね、そんな怖いこと私が出来るわけないだろう!?」
何言ってんだ、この天才魔法使いは。
「おい、後輩に任せっきりで恥ずかしいと思わねーのか?」
「うっ…い、いや、だが…」
「げっ」
「ん? う、うわあああああ!!」
妙に歯切れの悪いリリィは先程までの自信は何処へ行ったのか、路地の陰でもじもじしだし、そこに一匹のオークが攻撃を仕掛けてきた。俺たちが走って逃げるのを見かけたのか、アルマが前に突き出していた手を祈るように合わせると、両手の中指と薬指の間を広げて重ね、その隙間を覗くようにオークへ再び手を突き出すと呪文を唱える「≪呪刑・針千本≫」。すると俺らを追いかけまわしていたオークは口から血を吐き倒れこむ。
「大丈夫っすか! リリィさん、魔物さん!」
「アルマ! あんまり強力な呪刑は――危ねェ!!」
「パイセン!!」
俺たちの方に気を取られていたアルマにオークが殴りかかり、その木の幹ほど太い腕で放たれたこん棒をアルマをかばった看守はもろに食らい、石畳の地面に倒れる。
クソッやべえぞ、数が多い! 俺はリリィにオークたちを指さしながら怒鳴る。
「おい、何なのか知らねーが、さっさと魔法を使え! 天才魔法使いなんだろうが!」
「い、いやしかし――」
「ほらっ! ほら来たぞ!!」
「止めろ!!!!」
頭から血を流しながら倒れこむ看守は必死の形相でリリィを止めようとするが、リリィは既にオークに手をかざし魔法を使う予備動作に入っていた。
「くっ! ≪ファイアボール!!≫」
リリィは魔法を唱えると、手から赤い、燃え盛る火球が出来上がり――、それがリリィの突き出した腕の中へと吸い込まれるように消えていく…………あ? 次の瞬間、リリィの腕は一気に発火し見る見るうちに皮膚を、肌を溶かしていく。
「グッウ˝ウ˝ウ˝ウ˝!! ≪痛覚無効≫≪ビルドアップ-マッスル-≫」
高速で呪文を唱えるとオークに走りこんでいき燃え盛る手で顔を掴み、そのまま地面に叩きつけ、熱さで激しく暴れまわるオークを再び持ち上げ叩きつける、次第に騒いでいたオークは大人しくなる。
リリィはバツが悪そうな顔でこちらを振り返り立ち上がると、火の勢いが弱まった腕の炎を消し、≪ヒール≫と腕に回復魔法を唱える。
「…じ、実は私は、その……<攻撃魔法が使えない>魔術師なんだ」
「…………そんな天才魔法使いが居てたまるかこの野郎」
「言いづらかったんだ! その…天才魔法使いだとか言われるの久しぶりだし? それに…後輩の前だしィ…」
やはりチンチクリンはチンチクリンだった。




