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巨乳女騎士を添えて~巨乳騎士登場っ!

挿絵(By みてみん)


 そそくさと退散しようとしたところ突然、肩を掴まれ、その衝撃で手に持っていた戦利品は床に滑り落ちる。


「何言ってる、イカサマの手は無くなった、むしろここからが勝負所だ」

「え? いや…それはちょっと、ほらよ、人間も攻めてきてることだし」


 俺の言い訳を聞き、外野が逃げるな何だとうるせー反応を返す。うるせー黙れ。

 隊長は「それをお前が言うか」と呆れたように溜息をさらに深く、つく。肩を握る力が強くなる。


「魔族の基本の一つ、<奪う>ってのは力でって意味だったよな」


 俺は着席した正座で。


 クソッ! 調子に乗りやがって! だが、落ち着け、一勝負で出る役なんてたかが知れてる。大丈夫だ、落ち着け。

 そして隊長はサイコロを振る。

 チンチロリン――と高い音を立てて、隊長の投げた三つのサイコロがお椀の中を転げ、ピタリと止まる。


「六のゾロ目!? アラシだと!?」

「即勝ちじゃんか」


 終わった。

 そう思ったが、その隊長は魔族らしい意地の悪い顔を浮かべ、俺にサイコロを差し出す。


「これじゃ、詰まんねーから、ホレッ、振られてやるよ」

「あ? 振れつったって、これより強い役はピンゾロしか」

「まあ、勝負しねーってんなら良いぜ、今すぐとったもん返せ」

「やります」


 クソッ! クソッ! クッッッッッッソ! いい気になりやがって、ピンゾロの確率知らねーのか!? 二百なんとか分の一だぞ!?

 チッ…仕方ねえ、頼りたくなかったが、頼るしかねーか。この頼りない俺の唯一のアイデンティティ。



 能力スキル



 俺はあらかじめ1つだけ拾っておいたシゴロ賽を天井に向かって勢いよく投げ、周りにいた奴らの視線を上に向けさせた。激しく回転しながら上昇していくサイコロを見て、俺がこの間にイカサマするかもしれない、と思うより反射的に、奴らはションベンを期待してサイコロを目で追いかける、馬鹿どもめ。


「……。」


 だが、勝負を仕掛けてきた隊長さんだけは俺のことを真っすぐ見据えて、次の行動を逃すまいと目を見開き――――。


「それでいい…」

「!?」


 本物のサイコロを握っている手を、茶碗へと伸ばす。


「みていろ、その目で、俺がイカサマをするところを、どうせ、指摘なんて出来ねーんだから」


 バクン。





「ど、どうなってる、嘘だろ!?」

「あれー!? 出ちまったなあ、今日はホントに運がいい」


目の前の茶碗には確かに、一が三つ、ピンゾロがそろっている。

隊長は急いでそのサイコロを確認するが、それは、何の仕掛けもない普通のサイコロ、当たり前だ、俺は<イカサマ>なんかしてねー。実力ってやつだ。


「クソっ!!」

「ゲーヘッヘ、ゲーヘッヘッヘーー!!!! こいつは俺のもんだ!! テメーの持ち物も全部よこせ! このドぐされ兵士共ぶフアアアア!!」


 ドォオオオオン!!!!

 

 突然の轟音と振動に俺は体制を崩し床に倒れこむと、兵士たちは次々と俺の体を踏みつけて回廊の先のほうへと走っていく。


「「「敵襲ぅうううう!!!!」」」





:第一章≪クズ魔族と巨乳騎士≫






 目を覚ます。


「いってえ、これ労災だろ労さ――ん?」


 辺りは先程まで賭け事で盛り上がっていた兵士たちの姿はなく、そこかしこに折れた矢や、刀、人間と争ったであろう痕跡が散乱していた。

 その中に、壁へもたれ掛かり気絶をした、立派な鎧を着こんだ尋常ではない人間を発見した。

 尋常じゃない。そう、その人間は尋常じゃなかった。


「こ、コイツは只ものじゃねえ…」

「ん…んううん、ま…魔物! クッ来るな! 来るなああ…あ?」


 俺はふらふらと剣先の定まらないその人間の目の前に跪くと、その尋常じゃない――巨乳を鷲掴みした。


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