041 狩り、大成功♪
土日休日20時、それ以外の日は22時に毎日更新予定です。
間違えたり忘れたりすることは残念ながらあります……
連休の谷間ですが明日明後日は22時更新にします。
「転移!」
ユイナがそう叫ぶと森の中でぴったり身を寄せ合った5人の姿が淡い光に包まれて……
消えていった。
「やった!成功!!」
「回復しますか?」
「うーん、今は大丈夫。わたしも5人一緒での限界を試したいし、あと1回か2回転移してからにしてみる。」
「わかりました。お2人ってすごいですね。限界を試すっていうのわたしたち、思いついてませんでした。」
「すごいでしょっ!」
「どうせ思いついたのはメルリーでしょ?」
「それがね、違うんです!これはユイナなんですよ!もうびっくりでしょ?」
「えー!そうなんだ!絶対メルリーだと思った!」
「でしょでしょ、すごいでしょ。でもなーんかバカにされるような??」
「気のせい気のせい。ウルフ売りに行こうぜ!」
ハタシの転移場所できゃいきゃい騒いでる5人を町の人たちが遠巻きにしてみてる。
◆
「あんまり高く売れなかったですね。」
「展開で倒すと何度も攻撃しなきゃならないことが多いし、攻撃を当てる場所いい加減になっちゃうし力の加減できないからどうしても毛皮に傷がついちゃうんですよね。肉も傷んじゃいます。」
「私が一撃で倒したのはそれなりに高く買ってもらえるけど毎回毎回一撃ってわけにはいかないからなぁ。」
「倒せるだけすごいですよ。すっごくうまく狩れたウサギでもやっと傷だらけのウルフくらいの値段ですから。」
「ウサギって毛皮にすると高くなるからさぁ、もし無傷で取れたら高いのかなぁ。」
「無傷で倒す方法なんてあります?」
「「「「ない……」」」」
「無駄話しててもしょうがないですからもう1回狩りに行きましょう!」
「おう!そうしよう!今度は転移で行けるんだよな。」
「うん!やってみる。やってみるけど……失敗したらごめんね。また笑われちゃう……」
「5人ならそんなに笑われないんじゃない?」
「そうそう!あの時は2人だったんだろ?」
「さっき余裕で転移してたじゃないか。昔のユイナならともかく今なら問題ないよ。」
「う、うん。みんなありがと。」
3人の心遣いってことはわかってるけどユイナの古傷はえぐられるのであった。
「転移!」
ハタシの転移場所から5人の姿が消えると次の瞬間さっきウルフを仕留めた狩場に転移している。
「成功!回復なしで5人、2回っ!!」
「「「パチパチパチパチ」」」
「私は問題ないってわかってましたよ♪」
拍手する3人と、なぜか自慢げなメルリーだった。
◆
「ふー、ちょっとくたびれたかも。」
「いっつも1回か2回狩りをしたら町に戻ってましたからね。4回……。次から次へとよくも湧いたもんです。」
「2人の真似して限界までやってみたしな。回復助かったぜ。」
「私は全然平気ですよ。私も限界探りたいなぁ。ティラ、怪我してません?」
「ん?してねーけど……」
「次に狩りするとき怪我してください。その次も、その次も……。そうすれ治癒を何度も使って限界が測れると思います。」
「ヤダよ!絶対ヤダ!!」
もしかしてイベーナってメルリーと似てるところあるのかも、とユイナが思うとなぜかメルリーが視線を突き刺してくる。
そんなにわかりやすいのだろうか?
「ってわけで、あとはよろしく!全部格納できなくても全然かまわないからな。」
「さすがに全部は無理だと思います。袋はありますよね。」
「はい、全部入れられるくらいはありますよ。1匹も格納できなくても大丈夫です!」
「そうすると持ちきれないんじゃ……」
「ほらほらっ!お話ししてないでやっちゃおうよ!メルリー、お願い!!」
「わかりました。」
メルリーは23匹のウルフに対峙する。
「格納」
「格納」
……
淡々と格納を続けていくが表情は変わらない。
「これで最後……、格納!
やった!全部格納できた!!」
「すごい!すっごいよ!メルリー!」
抱きついて喜びを表現するユイナ。
「あのー、初めて会った時、ウサギ10羽くらいしか格納できないって言ってましたよね。急に成長したんですか?」
「えっ、えっとそれはー……」
気まずそうなったメルリーはニヤニヤ笑ってるユイナをちらっと見て。
「わたし、旅に必要なものをたくさん持ってて、新しい町に行くとお買い物もしちゃうんで、それで格納のスペースが埋まってたみたいなんです。
ユイナにそれ言われて、今回、セイグモルドを出る前にすぐに使わないものを預かり屋さんに預けてからにしたんです。預かり屋さんなんて言うのがあるってことも知らなかったんですけど。」
「あー……、格納持ちだと預かり屋は知らないかもしれねぇな。」
「私たちは使ってますけど別に普通のことだからわざわざ教えたりもしませんし。」
「うちは田舎でそんなのなくって、すぐにメルリーと出会っちゃったから知らなかったの。
セイグモルドを歩いてたら見つけて「こんなお店あるんだぁー」って。」
「なるほど、預かり屋さんに荷物を預けたらスペースが空いて獲物をたくさん格納できるようになったんですね。」
「はい!♪」
「回復はします?」
「いえ、このくらいなら全然。」
「毎日着替え選ぶときに出し入れしてたから能力も成長したんじゃなーい?」
「そ、それは……、それもあるかも……」
セイグモルドの預かり屋でクローゼットを出すとお店の人もびっくりしていた。ユイナもびっくりした。前に見せてもらったのとは違う、もう少し大きなクローゼットが出てきてびっくりした。
今回の旅で使う分の服は小さいクローゼットで十分なのだろう。
つまり、小さいクローゼットは狩りをしている今も格納しているということだ。
◆
「そだ!思いついたんだけどさ。」
「なーに?ユイナ。」
「量も多いし、セイグモルドで獲物を売ってみない?ハタシと買取の値段違うかもしれないよ。」
「ああ、それやってみるのいいですね。やってみましょう。」
盛り上がるユイナとメルリーをあとの3人はぼーっとみてて
「ハタシで狩りして……」
「セイグモルドで売る……」
「そ、そっか。転移持ちと格納持ちにとっては当たり前のことなんだよな。うん当たり前のこと当たり前のこと。」
「当たり前かどうかはわからないけど、冬の間はニームクメで狩りをしてセイグモルドで売ってたんだ。ウサギだけでもかなり稼げたよ。」
「そっかー。そうなんですね。やっぱり他のパーティーと一緒に狩りをするのって勉強になります。」
「私たちにはできないどころか思いつかないことしてるもんね。」
「それはお互い様ですよ。わたしたちにはウルフ何匹も狩るなんて絶対無理ですから!」
「うんうん。回復もだよ。ゼシュシモ嫌いなんだよねぇ。噛まないで済むと思うと気が楽~、
あっ、でもイベーナはゼシュシモじゃないと回復できないんだよね。あんまり頼っちゃいけないかなぁ。」
「私はゼシュシモ嫌いじゃないですよ。慣れているので全然。」
「ミクホってイベーナとパーティー組む前ってゼシュシモで回復してたんだよね。あれ苦くない?」
「そうですね。確かに苦いですけど子供のころから慣れた味ですし、旅に出た最初のうちは故郷から持ってきたポーションも残ってましたし苦労はしませんでした。」
「「ぽっ……?、ぽーしょん???」」
「ほらほら!無駄話しないで行きましょう!」
「うん、わかった。うまくいくかわかんないけど5人で一気にセイグモルドまで転移してみるね。」
「これ、うまくいったらセイグモルドで泊まってハタシの狩場まですぐに来れて狩りができるってことだよな。すごくね?」
「移動時間だけでもものすごく節約になりますね。そのうえ獲物がセイグモルドの方が高く売れたら、って、セイグモルドって買い取ってくれるお店あるんですか?」
「それは大丈夫!ニームクメで獲ったのを買ってくれたお店を知ってるからそこに聞いてみますよ。」
「そ、そういえばそうですね。では、お願いします!」
5人の少女は身を寄せ合う。
「それじゃ、いっくよー……」
「転移!」




