表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/67

001 プロローグ じゃなくってちょっとだけ未来のお話し

 

「いたよっ!すごい群れ!」

「言われなくても見りゃわかるって。大物ばっかだな……」

「やります?」

「いけ……ますかね……?」

「そのために来たんでしょ!」



 町からも遠く街道からもはずれて他に人影が無い森の中、5人の少女が巨大なイノシシたちの群れと対峙している。大群だ。十頭、いや数十頭、もしかすると百頭を越えているかもしれない。

 一番背が高い少女よりも一番小さいイノシシの方がどう見ても大きい。絶望的な状況だ。

 絶体絶命の少女たちを助けるために、見た目は強くなさそうなのにチートな強さを持つ少年が都合よくあらわれたり、何かに絶望してあてどもなく森をさまよっている実力者が偶然たまたま通りかかったり、そんな物語の始まりにありそうなお決まりのシチュエーション。

 しかし、今は周りに人影はない。誰かが通りかかる気配も無い。



 そして、よく見ると少女たちはみな笑みを浮かべてる。あまりの危機に感情がぶっ壊れてしまったのか、あるいは絶体絶命の状況を楽しんでいるのか……、あるいは……。




 ◆




「向こうからは……来ないですね。」

「この辺りの獣は賢いよねぇ。」

「しょうがない……。こっちから行くか!」



 5人の少女たちの中で、一番背が高い、短く刈り揃えた髪型のせいで整った顔立ちが見えない角度から見ると少年と勘違いされそうな少女が前に出る。ちなみに体つきを見ても少年と勘違いされるかもしれない。まぁそういうことだ。

 上半身から膝の上までは、筋力があるものだけが装備できるしっかりした鎧に身を包んでいるが、しなやかなふくらはぎは無防備に見える薄手のタイツだけで守られている。

 少女は剣を構え「無謀にも」一番前で5人を威嚇しているイノシシに切りかかる。



 ザシュッ!




 しかしそれは決して無謀ではなかった。

 ある人によっては心地いい、別のある人によっては聞こえた瞬間に思わず目を背けるような音が響き、1頭のイノシシが一撃であっけなく倒される。

 それでも「絶望的な状況」にはなんの変りもない。むしろ、より絶望的になったと言ってもいい。

 イノシシの群れは少女たちを倒すべき敵、倒さなければいけない敵であると間違いなく認識する。



「一撃でしたね。すごいですね。」

「にしてもマジで賢いですね。誘導しなくても獣の方から包囲してきますよ。」

「ヤバい、ヤバいですよねこれ絶対。」

「どうみてもこれ鬼ヤバ。傍から見たらわたしたち人生終了。」

 倒されたイノシシの恨みを晴らそうとでも思っているのか、イノシシの大群は森の中にぽっかり開けた場所に少女たちを集めて包囲する。

 最初の一撃で警戒しているのか、思い思いにとびかかることはせずに逃げ場を無くしてから一気に少女たちを葬り去ろうとしているかのように見える。



「っていうかさ、これ実は楽勝になったってことだよね。」

「そうともいうかもしれません。賢い獣の方が相手にするの楽かもしれません。

 手間が省けました。」

「何バカなこと言ってるんですか。まだ勝てると決まったわけじゃないですよ!」

「油断しないでください!」

 なのに少女たちの笑顔は崩れない。それどころかこの状況がまるで自分たちにとって有利じゃないかというような話をしている。



「まだ広いですが……わざわざ危険に身を晒す必要もないですよね。このくらいならギリギリいけるはずです。やりましょう。」

 ピンクのブラウスの上に簡素な胸当て、別の世界ではスパッツと言われるようなショーツパンツを身につけた少女のふんわりとした髪を揺が揺れ、純白のグローブを付けた両手が前に突き出される。



「展開!」



 つぶやくように口にすると、少女たちを取り囲む群れの後ろに、少女たちとイノシシをさらに包囲する円形の土の壁が出現する。

 少女たちとイノシシの群れは高い土の壁に囲まれる。



 自分たちを怒り狂うイノシシの大群と同じ場所に閉じ込めるなんていったい何を考えているんだ!なぶり殺しにされたいのか!

 しかし、この世界の住民なら彼女たちの行動を見てホッとするだろう。少女たちが無傷で切り抜けられることが確定したことは、もしもこの状況を上空から見ていれる人がいれば誰でもわかる。そうでなければ絶対にこんなことはしないということはわかる。

 しかし勝つかどうかは別である。逃げ切れることが確定しただけだ。この状況を見て少女たちが勝てると思うこの世界の住民はほとんどいないだろう。イノシシの大群を閉じ込めるのはいいとしてこの後一体どうするつもりなのか。閉じ込めたイノシシを放置して逃げ帰るということか。一体それに何の意味があるのか。そう思う住民がほとんどだろう。



 5人の中では一番目立たない、濃色のシャツに先ほどの少女と同じように簡素な胸当てをつけ、別の世界ではロングスパッツとかレギンスと呼ばれる服に似たロングパンツを身に着けた髪の長い少女が目を閉じる。それと同時に5人は包囲されている円の中心で一塊になる。



「転移!」



 少女が一声叫ぶと、イノシシに囲まれた5人の姿が消える。

 土の壁の中にはイノシシの群れだけが取り残される。




 ◆




「ちょっと待ってて♪」

「転移」と叫んだ少女が周りを見回し、太く丈夫そうな高い木を見繕うと長い髪をなびかせながらひょいひょいっと身軽に登っていく。スパッツ装備なので防御も万全だ。

「んーーっ、ミクホー、ここでもいける?」

「えっと、いけると思います。たぶん。」

「そこなら絶対いけるって!」

「絶対!って……、見ているだけの人は気楽でいいですね。」

 木登りをしていた少女は木から降り、ミクホと呼ばれた土の壁を出現させた少女の隣に身を寄せる。



「それじゃ、行くよ。」

 2人の少女は身を寄せ合う。



「転移!」



 元気よく叫ぶと2人の少女は木の上に瞬間移動する。

「どう?いけそう?」

「ありがとう、上から見ると広さがよーくわかりますね。

 できるかどうかはわからないですけどどうせやるしかないですよ。」

 ミクホは目を閉じて集中力を高め……



「展開」



 静かな声でそう宣告すると土の壁の中に大量の水が出現する。

 水攻めから逃れようと土の壁を登ろうとするイノシシ、とにかく逃げ出そうともがくイノシシ、壁に取り付いて登り始めるイノシシ、存在しない出口を求めて必死に泳ぎ始めるイノシシ。イノシシたちは一様にパニックに陥っている。

 獣たちは今何を思っているのだろうか。なぜ森の真ん中で水から逃れなければならないのか。賢い獣ならその理由を考えているのかもしれない。



「展開」



 さっきと同じ言葉が聞こえると無情にも壁の上側をぴったり塞ぐ土の天井が出現する。

 土でできたプール、あるいは檻にイノシシの群れは閉じ込められた。



「展開」

 ざばぁ。

「展開」

 ざばぁ。

「展開」

 ざばぁ。

「展開」

 ざばぁ。

「展開」

 ざばぁ。

 …………



 簡単な作業を片手間にこなすようにミクホがつぶやき続けると檻の中に水が満ちていく音が聞こえてくる。そして、ついには檻の天井にイノシシが当たる音が、もがき苦しむ音に交じって聞こえ始める。



「もういい?」

「はい。天井にぶつかってからも念入りにやりましたからもう大丈夫でしょう。あとは待つだけです。」

「さっすがー!」

 木の上で抱き合って喜ぼうとしてバランスを崩しかける。

「あっ、落ちたらわたしバカだ。」

「バカなのは知ってます。」

「……転移」

 木の上の2人が仲間のところに戻る。

「やったね!」

 少女たちはハイタッチをして抱き合って喜びを分かち合う。




 ◆




「おつかれさま。……回復」

「ありがとう。できるとは思ってましたけど、この広さで囲むのは初めてだったんでうまくいってよかったです!」

「もう今日はおなかいっぱい。あっ、獲物って意味でね。ちょっとおなかすいたね。終わったら町に戻ってご飯食べる?それともここで軽く食べちゃう?」

 土の檻のそばでピクニックにでも来ているかのように少女たちは談笑しているがそのすぐそばではイノシシたちが死を回避しようと必死になってもがいている。

「こんなにたくさん狩れましたから今日はもう町に戻りましょう。どうせだったらお店でおいしいもの食べましょうよ。」



「そういえばティラは回復……、あれ?そっか、強化使わないで一撃でしたね……。能力じゃなくて地力の成長がすごいですね。」

「へっへっへ。私の能力は地力が無いと何の役にも立たないからな。まぁこれから大仕事があるからそっちが終わったら念のため回復してほしいな。」

「そうだよねぇ。よくあんなことできるなぁって、見ながらいっつも思ってる。」

 丸いテーブルを囲む少女たちの前には簡易コンロが用意されて、展開で出現させた火でお湯を沸かしてお菓子を食べながらティータイムを楽しんでいる。

 少女たちの笑い声にイノシシの苦しむ声が紛れ込みさえしなければただののどかな光景だ。

 ただ、5人とも周りに別の獣があらわれないかを注意深く周りを確認することは忘れていなかった。




 ◆




「もうそろそろいいんじゃないですか?」

「声聞こえなくなってしばらくたつもんね。」

「よっし、やるか!

 ミクホっ!あれだけいたんだから仕留めきれてないのが多いとやばいから念のため準備しといて。」

「はい!回復もしてもらったし万全です!」

 お茶セットを手際よく片付けると、ティラと呼ばれた少女が剣を斧に持ち替えてだるそうに立ち上がり土の壁に立ち向かう。

「みんな、避けてろよ。いつもよりでかいから……そうだ、ユイナ、みんな連れてさっきの木の上に転移してもらえるか?あそこなら絶対安全だ。」

「ちょっ、ちょっと待ってください!皆さんと違ってわたしタイツとか履いてないから!」

「誰も見てないって!」

「そうそう、行くよー!転移!」



 必死に抗議する少女を他の3人が囲んでティラを残して木の上に転移する。

「メルリーも狩りに来るときは最初の時みたいな服で来るかせめてタイツくらい履いてなよ。」

「うーん……なんか抵抗あるんですよ。絶対イヤってわけじゃないんですけど……」

 木の上では緊張感のない会話が繰り広げられている。



「1回で行けるかどうか……重ねがけしとくか」

 土の壁の前にはイノシシに対峙する時よりもはるかに引き締まった表情をしたティラが一人立っている。その目は集中を高めるためかぎゅっと閉じている。



「強化!」

「強化!」



 イノシシを倒すときには発さなかった言葉を大きな声で叫ぶと閉じた目を見開き斧を振るう。




 ◆




 ドシュッ


 ティラが土の壁に斧を叩きつけるととイノシシに切りつけたよりもはるかに大きな音が響き水圧に耐えられる強靭な壁の下の方に穴が開く。

 ティラはジャンプし、穴から勢いよく流れだす水にまきこまれないところに移動する。

「いつ見てもあれに巻き込まれたらと思うとぞっとしますね。」

「今日のは今までで一番広いからね。深さも深くない?すごい勢いですよね。

 あっ、虹ができてる。きれー……。」

「その『ぞっとする状況』を作ってるのがミクホちゃんなんですが何か言い訳ありますか?」

「ぶっちゃけキホ族の人いらないかもって思っちゃうんだよね」

「そんなことないですよ。展開はおおざっぱにしかできないから細かいのは創造じゃないと無理です。」

「展開でこれができるのがたぶん異常なのかもしれないですよね……見たことも聞いたこともなかったです。そうでもないんですか?」

「こんなの誰も思いつかなかっただけなんじゃない?できるけど誰もやろうとしなかった……」

「お前ら!おしゃべりもいいけど念のため穴、見張ってろよ!」

 強化の助けも借りていつもより遠くに逃げたが、それでも一瞬冷や汗をかいたティラからの声が響く。

「わかってるよ!今日のイノシシはでっかいからその穴だと出てこないだろうけど水の量も多いから壁が壊れるかもしれないしね。」

 水の流れが収まるまで5人の少女は油断なく穴を見つめている。



 激しい水流が収まり、徐々に流れが細くなる。

「そろそろいいか。生き残りがいるかどうか……」

「すごい数でしたからね緊張します……」

「うん……マジやばかったら転移するから。」

 ティラが開けた水抜き穴の前から少し離れたところで木から転移で降りてきた4人が身を寄せ合う。ティラは一人土の壁にもう一度対峙する。

「いくぞ。5回やってみる。」

「わかりました。終わったら回復しますから存分に。」

 視線を交わしてうなずきあい。


「強化」

「強化」

「強化」

「強化!」

「強化!!!」


 やけくそ気味に叫んだティラの体が光り輝き、その手に握られた斧が土の壁に向かって一閃する。



 グワシュッ

 ボゴォ

 ……




「すっげー……」

「強化5回使うとこうなるんですね……。」

「うん。キホ族いらずだよね……」

「そりゃ違うぞ。ミクホと一緒だ。解体みたいに細かいことはできない。だいたい展開で作ったら解体できねぇから。」

 強化5回重ねがけに耐えたティラは肩を上下に動かして荒い息をついている。

「キホ族の人がいると家とかすぐにできちゃいますからね。壊すのも一瞬ですし。一部だけ直すこともできちゃいます。」

「キホ族とセニ族がいるパーティーにこの狩りを教えたら……」

「感謝される?」

「いえ、お金になりそうです……。」

「「「「(…………)」」」」



 土の壁には人一人が通るには十分な穴が開いている。

「さーて、行きますか……」

「念のためわたしが一番前で行きますね。転移の準備はよろしくお願いします。」

「それだけは任せてっ!」

 メンバーの中で最大火力を持つミクホを先頭にして転移能力を持つユイナがぴったりと身を寄せる。少し離れて他の3人が続く。




 ◆




「うわー……ひでぇ……」

「残虐……」

「ひどいって……残虐って……他に言い方は……いや、たしかにひどいですね……」

 土の檻の中には苦悶の表情を浮かべた大量のイノシシの死体が転がっている。

 溺死体である。

 少女たちがのんびりお茶とおしゃべりを楽しんでた時間の長さはイノシシたちが水の中でもがき苦しんだ時間の長さである。

「こいつらもまさか森の中で溺れて死ぬとは思わなかったんだろうねぇ。」

「ティラに倒されたイノシシが幸せな死に方に見えますね。」

「いや、死ぬのに幸せもなにもないけど……。今日は一撃だったし苦しまなかったっていうのはあるかもしれないですね。」

「メルリーと出会わなかったら森の中で獣が溺れて死ぬことがあるなんて一生想像できなかったですよ……」

「うん。メルリーが一番腹黒ってことで。」

「ちょ、ちょっと、みなさんひどくないですか!?いくらわたしが狩りに参加できないからっていじめることないじゃないですか!」

 必死になって抗議するのは、5人の中では一番幼く見える少女。肩より少し下できれいに切りそろえられた髪に、装飾がついた大きめの胸当てを装備している。

 今この場所に少女たちを知らない人間が足を踏み入れたら怪異の類かと身構えてしまうような森の中にはそぐわない出で立ちだ。



「ごめんごめん。わたしたち、メルリー無しでは生きられない体になっちゃってるから!許して!」

「その言い方っ!」

「このやり方で狩った獲物持ってった時、最初の頃はお店の反応すごかったよね。」

「どうやって獲ったか聞かれましたねぇ。おじさまにも絶対教えませんけど。」

「傷が無いから値段もかなり高くって……それで味を占めちゃったんですよね。」

「今思うとさばいて持っていけばよかったかなぁ」

「いえ、プロの技術にはかないませんからさばくのは任せた方がいいですよ。無傷なら特に。」

「あーあ。いっちばん最初の時はウサギ1羽なら剣でやった方が速いじゃんって思ってたんだよなぁ。それが今じゃただの穴掘り要員。」

「今も1頭倒したじゃーん。」

「私が倒したの1頭なんだよ……1頭……。これ見ちゃうと……。わたし……要らないんじゃないかと思う……」

 ティラは達観したような眼をして溺死した百頭を越えるイノシシを眺める。



「これさぁ、跡が残っちゃうからそろそろバレててもおかしくないよね。」

 イノシシを溺死させたところには穴の開いた巨大な土の檻がそのまま残っている。

「1日くらい経てば勝手にチリになりますけどやりすぎると人目につくかもしれませんね。」

「そうですよねぇ。跡を見た人がやり方に気が付いて同じやり方する人が増えてくるかもしれませんね。」

「いや、そうとう腹黒じゃないとこんなの思いつか、って!」

 メルリーがユイナを軽くひっぱたく。

「そうだ!ティラ、斧とか剣でこの土ぜーんぶぶっこわせませんか?」

「無茶言うな!穴開けるだけでもけっこうきついんだぞ!今日だって強化全部で何回やったと思ってる!?ぽんぽん使えるお前らの転移とか展開とはわけが違うんだ!それこそキホ族にやってもらわないと無理!」

「いや、創造で作ったわけじゃないからキホ族でも無理ですよね?ってことでこれを作った非常識なミクホさまに消す方法も開発してもらいましょう!」

「無理無理無理無理無理無理無理無理!それを言うなら後始末なんとかするのは溺死狩りを思いついたメルリーでしょ!」

「……うーん……考えてみますね。」

「「「「(この子やっぱこわい……)」」」」



 今までで最高の戦果を目の前にして興奮しているのかいつもよりも長時間じゃれあってる少女たちもさすがにやらなければいけないことを思い出す。

「それでは後始末しますね」

「メルリーさまー、よろしくー!」



「格納」

「格納」

「格納」

「格納」

「格納」

「格納」

 ……



 溺死体に近寄って淡々と言葉を発すると、イノシシはすーっと消えていく。その単調な繰り返し。

 最後に剣で倒したイノシシを格納して作業が終了する。

「メルリーもすごいよねぇ。あれだけの大きさのイノシシをこの数、回復なしだもんね。」

「さくさくっと格納してるけど、これって普通じゃないですよね?」

「たぶん。」

「でもさぁ、最初の頃知ってる?あの子さぁ」

「ユイナ!余計なことは言わない!それ以上言うと全部解放してイノシシで押しつぶしますよ!」

「ちょっ、ごめん!」

「なんかめっちゃ気になる……」

「気になりますねぇ」

 ミクホとティラとイベーナの3人は興味深そうに2人のことを眺めてる。



「そういえばさ、わたしたちってこのやり方覚えてから他の人たちよりかなり量をこなしてるかもね。」

「確かに、能力が上がってるなぁって実感してます。」

「わたしもです♪大概の怪我なら負担なくすぐに治せそうです。」

「私、体も強くなってるな。土の壁、どんどん固くなってるからな。」

「そして資金もすっごく!

 いよいよ本格的に誰も行ったことがないところを開拓、ですね♪」




 ◆




「よっし!これで全部終わり。結局何頭だったの?」

「えーっと……ティラが最初に倒したのを入れるとぉ……126頭!」

「ひゃくにじゅうろく!?」

 ユイナは思わず大声で復唱し、他の3人は声も出ずに口を半分空けて呆然としちゃってる。

 自分たちでさばくかプロに任せるか、そもそもどこに売るのかとかそういうことまで気が回らなくなる暴力的な数字だった。



「まだ早いけど町に帰ろう!」

「今日はどこに行く?ごはんとお風呂が待っている~♪」

「何食べます?かなり稼げただろうし贅沢しておさかなとか?」

「食ってないけど肉はもうお腹いっぱいって感じだなぁ」

「やっぱり?わたしもそうです。」

「今日って回復は1回だけでしたね。要らなかったような気もしますが……」

「それじゃ転移の前に念のため回復お願いしていい?」

「もちろん!メルリーにも一応しておきましょうね。」

「イベーナは……大丈夫だよね。今日は治癒は使ってないもんね。回復だけならほとんど無限なんじゃない?」

「無限ってことはないですけど……皆さんと一緒で睡眠で自動回復するから何日も徹夜が続かなければ大丈夫でしょうね。」

「なんですか?この人……」

「なんか一人忘れられてね?穴開けたの誰だと思ってる?最初の1頭倒したのは誰だ?とにかくそのでかい胸少し分けろ!」

「いったい胸と何の関係があるんですか!?」



「それじゃ、準備出来た?」

「「「「はい!」」」」

 森の中で5人の少女はぴったりと身を寄せ合う。



「転移」



 淡い光につつまれて少女たちの姿は森からすーっと消えていく。







 ◆







 このお話は、この世界ではどこにでもいそうな普通の少女たちがとびっきりの強運に恵まれて自分たちが夢見ていた以上に夢をかなえていく物語です。



 転移使いのユイナ

 格納使いのメルリー

 展開使いのミクホ

 強化使いのティラ

 回復使いのイベーナ




 時は遡ってこの5人が出会うまでのお話から始まります。



第一話を読んでくださった方、ありがとうございました。

こういうところに投稿するのは初めてです。

至らない点しか無いと思いますがよろしくお願いします。

続きも読んでくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ