6.分不相応な夢
この部分は、いずれ(または短期間で)削除する可能性がございます。
予め、ご了承ください。
ご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、拙作『恥を知れ』は、アンソロジーコミックの一作(二巻目)として、コミカライズをしていただきました。
アンソロジーとは『異なる作者による作品を集めたもの、または、同一作家による作品集』と定義されているようで、恐らくですが、二次創作をかじっていた方にとっては、とても馴染み深い単語だと思います。
さて、お話を頂いた時は、本当に人生の絶頂と申しましょうか、物凄く幸せなひと時でした。
私は漫画が好きです。物凄く大好きです。
月々の出費としては、小説よりも圧倒的に漫画の方が多い。
本棚に並んでいるのは九割方漫画だし、自分の小説が漫画になるなんて想像もしたことがなかったので(当時は商業アンソロジーがあるとは知らなかった)、本当に驚きましたし、とても嬉しかったです。
キャラデザをいただいて喜び、ネームをいただいて飛び跳ねて喜び、完成原稿を見せていただいてからは天にも昇る心地で。
あまりにも嬉しかったので、鈴宮はとても張り切りました。
事前告知ができるようになったら、活動報告が沢山の人に読んでもらえるように短編を書こう。
発売の折にも短編を書いて、少しでも活動報告を読んでもらえるようにしよう。
私は誰に頼まれたわけでもないのに、一生懸命、宣伝用の短編作品を書いて、アンソロジーの販売が知れ渡るように努力をしました。
結果、活動報告に合わせて書いた短編は、日間ランキングの2位、8位にそれぞれ入り、私は己の責務を果たしたと感じました。一日に数万人の方が小説を読みに来てくださっているのでですね、数カ月間何も小説を投稿していない状態よりは、活動報告を読んでもらえたことでしょう。
さて、アンソロジーに収録された作品は、発売から一定期間経過後、殆どの作品が単話(電子)配信をされています。
私がお世話になったアンソロジーの一巻目収録の作品は、発売から四ヶ月後頃には、殆どの作品が単話配信がされていたため、『私の作品もいつか……』なんて夢を見ました。
単話配信されるとカラー表紙が付きますからねぇ。そりゃあ漫画好きとしては、当然憧れます。
しかしながら、『恥を知れ』が掲載されている二巻目収録の作品は、四ヶ月が経過しても単話配信が始まらなかったんですよ。
けれど、それから数カ月後に変化が起きました。
二巻収録の他の作品(2/5作品)と、二巻の三ヶ月後に発売された三巻目の作品(4/5作品)の単話配信が同時に行われたのです。
この時点では
『ああ、追い抜かれちゃったのねぇ……羨ましいなぁ』
と思いました。
早い遅いの差はあれど、私の作品も待っていればきっと単話配信されるだろう、と。
だけど、翌月、翌々月、三ヶ月後と、他の作品が次々と単話配信されていく中『恥を知れ』は一向に発売予定に入らない。
これを書いている現時点で、二巻の作品も、三巻の作品も、全ての作品が単話配信されました。(四巻目は9月発売なのでまだですが)
けれど、『恥を知れ』だけが配信されていないのです。
同じアンソロジーの中では本当に『恥を知れ』だけが配信されていないのです。
他人からすればとても些細なことかも知れません。気にする私が馬鹿だとも思います。
だけど、正直言って悲しかったです。
とてつもなく悲しいです。
宣伝用に短編なんて書かなきゃ良かった。
頑張らなきゃ良かったなぁって思いましたし、物凄く虚しくなりましてね。(勝手にやったことなのに自分勝手ですが)
人間ですもの。
何が悪かったのかなぁとグダグダ考えてしまうわけですよ。
個別レビュー(このお話が特に好きだった)が殆ど付かなかったのが悪いのか、
私の職業(兼業自体が許可制だった)が悪かったのか、
私が作品に口を挟みすぎたのが悪いのか、
そもそも作品が悪かったのか
(マーケティング戦略上の問題とか、損得分離点的なお話とか、色々と事情が有ることも推測しています。悪いのは私だとも思っております)
もうねぇ。ビックリするほど色んなことを考えました。
どれだけ考えたって答えは出ないのに、それでもずっと考えてしまう。
いっそのこと記憶を失いたいとか、メールアドレスを削除したいとか、なろうをアカウントごと削除したいとか、そもそも消えてしまいたいとか考えて、気分はどん底。
当時の活動報告には書けませんでしたが、夏頃私が落ち込んでいたのは、公募が全滅したのに加え、こういう理由も含まれていたのでした。
でも、そんな気持を知ったからこそ生まれた作品もありました(毎度似たような展開でスミマセン)。
『遅くなってごめん!』
こちらの作品は、待つ苦しみを知ったからこそ書けたお話です。
日間総合一位、いただきました。
多分ですが、待ちの苦しみを味わったことのある人に共感してもらえたんだろうと自負しています。行き場のない想い、気持ちを小説にしたのでですね、感情部分の再現度は高いんじゃないでしょうか?
苦しみを言葉にすることで随分と楽になりました。
救われたような気分になりました。
何かあっても、私には小説が有る――――そう実感ができたことも、私にとって大きな収穫でした。
また、こういう経験をしたからこそ思うのですが、本当の意味で実力が付くまで、商業化の話は無い方が幸せだろうと私は思います。
実力に見合わない夢を見ても、苦しむことの方が多いです。
マグレじゃダメ。
自分を責め続けるのはめちゃくちゃ辛いですから。
もしも私にもっと実力があったら
単話配信を望む声が多く上がるような書き手だったら
もっと良い作品を書けていたら
反省点は今も尽きません。
多分ずっと、一生尽きないと思います。
あの時ああしていたら、あれをしなかったらって考え続けることでしょう。
重ねてになりますが、悪いのは私です。
『恥を知れ』のコミカライズ(作画)は本当に最高で、美しく、とても素晴らしかった。本当に本当に、最高でした!
アンソロジーにと声をかけていただけたことも光栄でしたし、幸せでした。
ただ、今後も本作品だけが単話配信されないとすれば、作品を表に出すことのできなかった、活かしきることのできなかった自分が本気で不甲斐ない。心から申し訳ないと思っています。
いつかこんな自分をざまぁしてやりたい。
笑い飛ばせるぐらい実力をつけたいというのが、今の私の最大の目標です。