ぎこちない空気
「俺がリーダー…?笑わせるなよ…俺は能力者のリーダーを殺そうとしたんだぞ…」
滝を殺しかけた後、数日間は実家にいた
1週間ぐらい経った後、再び司令官に呼び出され、能力者施設へ向かう
しばらく俺は、仲間が見つかるまで蒼山滝のチームに世話になることになった
もちろん、仲間達は快く受け入れてはくれなかった
1度はリーダーを殺そうとした
その事実は消えない 上司が取り締まりされても
俺は滝以外目を合わせて話すのが難しかった
「陽仁…司令官の命令でも、俺はお前の事…」
純はかろうじて、昔の仲間だから多少は話せる
俺はサロンでの居心地が悪かった
純や智嬉と話していると、後から1人の女性が入ってきた
「あら…見慣れない顔ね?」
「瞳!実は…」
純が駆け寄り、その女性に俺の事を説明していた
「そう…滝を殺そうとしたの」
「あの、あなたは?」
俺は恐る恐る金髪の長い髪の、背の低い彼女に近づく
「はじめまして、私は陽桜瞳です あなたが佐々木陽仁さんね」
「は、はい」
「私も…みんなも、能力の限界がきていたの、よく来てくれたわ」
「瞳さん…」
純は後ろで不服そうに腕組みをしてこちらを睨みつける
「けっ、智嬉がいなかったら、滝は死んでたかもしれないのに」
「あなたも負傷したんでしょ? 私も、止められなかったけど…」
その時、司令官がやってきた
「そうだ、あんまり長く揉めている場合ではない」
「司令官」
「陽仁、お前もカルテー二が狙いなんだろう 滝の力を奪って、カルテー二を倒そうとしたんだろ?」
<挿絵>
俺は思わず目線を逸らした
「陽仁…てめえ、やっぱり許さねえ!!」
純が俺に殴りかかろうとした瞬間、瞳さんが小さい体で止めに入った
「やめて、純!!」
「でもっ…」
「でもそんなことをしなくても、君は十分強い力だ こちらで勝手に調べさせてもらった」
司令官はニコッと笑いながら入隊許可証を差し出した
「司令官…」
「今はこいつらは力はまだあるが、それでもカルテー二と戦闘している内に、少しずつ減っている 陽仁、仲間になって欲しいんだ」
返答をしぶっていると、滝が遠くからこちらをじっとみているのがわかった
「…分かりました、俺の力が頼りになるかは分かりませんが、よろしく、お願いします」
「司令官…」
小さい声で、滝の声が聞こえた
「ん?おお、滝 どうかね、まだ休んでいてもいいんだぞ」
「智嬉が負傷したから、俺が休む訳にもいきません みづきと付き合っているから、みづきにも報告しました」
俺はよく滝の顔を見ると滝の左頬がじんわり赤くなっていることに気がついた
「滝…左頬…どうしたんだ?」
「あっ、これか」
言われて気づき、滝はそっと頬を触る
「さっきみづきにビンタを食らったんだ」
そう滝が言うと、司令官は不思議そうに問う
「どうして滝がみづきにビンタを?」
「彼氏が俺のせいで負傷したから、その腹いせに俺を殴った」
「全く…みづきのやつとんでもないな」
純は俺たちから去ろうとしていた
「純、どこへ行く」
司令官は純を止める
「…自室へ戻る 俺も仕事、あるんで」
「純!!」
俺はなんだか純の事が気になって、後からついて行った
ついて行く最中、純は嫌がらなかった
「…俺も、お前と少し話がしたい」
純は部屋の前でたちどまり、ボソリと呟いた
「純…」