滝と戦う覚悟
とりあえず俺は、司令官室に呼び出された
常に滝が現れるか緊張の糸を張り巡らせながら
「陽仁くん、君の家の事をウチの情報支部経由で色々と調べていたよ 防犯カメラでしっかり陽仁くんの姿が何回か映っていた」
そう聞いて、手汗がとまらない
俺は、司令官に殺されるんだろうか、とか色々考えが止まらない
「あの、司令官、俺は一体どうなるんですか」
「陽仁くん、リメンバーズチームではなく、滝自体を憎んでいるんだね?」
「はい」
「蒼山貴明の力を狙っているのか 君も」
俺は腰のポケットにしまってある三節棍を取り出す構えをしていた
「待ちたまえ 戦う必要はないよ …それに、君の力では、滝に到底敵わないよ」
「なぜ?」
「君のその、得意な衝撃波を持ってしても…滝には勝てない いや、滝を殺すのが怖いんだろう」
俺は三節棍を取り出した
「あんたになにがわかる!! 俺の親父は、貴明さんを庇って死んだ!!その、力の争いで!!」
「佐々木純一 昔は貴明のライバルのチームのリーダーだったな その血を、君が引き継いだわけだ…」
司令官がそう言うと、後ろの扉から、俺がターゲットにしている蒼山滝が現れた
「げっ…蒼山…滝…」
間近で見ると、確かに雰囲気が戦闘員のやつらより違かった
気迫が、面構えから、何から違う
「…俺が蒼山滝だ 司令官に呼ばれてここに来た」
「滝…滝…っ ははは、待っていた…この時を…!! 滝を…やっと殺せる…!!」
「俺を殺せるなら、さっさとしてくれ… 昨日、自殺をしようとしたが、仲間に止められたんだ」
そう滝が言い放つと、司令官は動揺した
「な、なに!?どうして私に言わなかった!!」
「上司や、他の人達に力で恨まれるぐらいなら…死んだほうがマシだ そして、親父を守れなくて、恨まれて」
滝は結んでいたポニーテールを解いて、白いジャケットを脱いだ
「陽仁、俺を殺して 暗殺者、なんだろう?」
「滝、やめろ、やめるんだ!!」
俺は三節棍を再び構える
「…滝…いい覚悟だ…そのまま1歩も動くなよ」
滝は目を瞑る
「滝…滝!!」
「死ねーーーー!!!」
俺は嬌声じみた声を出しながら、滝に必殺技を放とうとした、その瞬間
「うわあああーーー!!!」
「な、なに!?」
滝を庇った人物が現れた!
「何者だ!!」
「いやだ…いやだ、純!!死ぬな!!」
その人物は、滝を必死で抱きしめていた
「間一髪…だった、な…」
俺の衝撃波をまともに食らって、純の滝を抱きしめていた腕が、だらんと垂れ下がった
その場にへたりこんで、横に倒れた
ドスン……
「いや、いやあああーー!!!」
滝はみるみる髪の毛が長くなっていった
「こ、これは…」
「陽仁、滝の暴走を止めてくれ!!」
「司令官!?なにを言ってるんですか、俺は暗殺者ですよ!?」
「君の力でなければ、滝の力は止められない!!頼む、手を、貸してほしい!!」
司令官は必死に俺に懇願した
滝の身体から能力のオーラが溢れ出している
「止めるにしても、どうやって」
「まずい、このままでは、本拠地が破壊される」
確かに周りを見ると、ミシミシ壁が割れる音がする
「滝!!俺と…俺と戦え!! 本拠地を破壊する気か!!」
敵の肩を持ちたくはなかったが、この状況は仕方がない
(陽仁…やはり私の目に狂いはなかった)
「お前…と…?」
俺が話しかけると、暴走は止まった
「ああ、純を守るためにもな!!」
「2人は、道場へ行って対決してくれ、私は純の身体を治療する」
純の体は、衝撃波で撃たれてそのまま横たわったままだった
「滝…俺はお前を殺す」
「やれるなら、やってみろ」