異常事態
「滝…滝?」
俺たちはカルテー二の戦いから無事、全員テレポートで能力者施設に着いた
「大丈夫か?滝」
みんなそれぞれ一息ついていたのだが、滝だけ1人呆然と立ち尽くしていた
傍にいた智嬉さんが滝の肩を慌てて叩く
「滝、しっかりしろ!」
「あ、ああ、ごめん智嬉 カルテー二との戦いが終わってホッとしただけだよ、悪い、ちょっと道場行ってくる」
<挿絵>
笑顔で答えると、足早に滝は道場へ向かった
「どうしたんだ?戦いが終わったんなら、ゆっくりすればいいだろ」
隣にいたしぐれは不安そうな顔をする
「心配だ、俺がついていく」
俺は小走りで滝の後をついていった
「腹減った、俺食堂行くわ」
智嬉さんはずっと滝を守るために敵を尾行したりして、なにも食べていなかった
「あたしたちも行こっか しぐれ」
「おう」
純さんだけ、ロビーで考え事をしていた
(滝…なにがあった…戦闘の時はずっと戦ってたよな…)
「純くん、気になるのかね」
一緒に戦った親父が純さんのことを不思議に思っていた
「あ、ああ純一さん… はい、滝のやつ、異変があるんでしょうか」
「貴明がずっと能力を与えている最中はずっとあの子は戦えていたらしいが、今は貴明はいない もしかしたら、能力がなくなっているのかもしれないな」
「そんな…」
純さんは絶句していた
一方、道場では
「"地よ、砕け…天よ、我に力を……"」
やはり、想像していた通り、滝は自分の能力がないかどうか確認していた
「"天華乱舞"!!」
叫んでも、竜巻は現れない
「そんな…そんな馬鹿な…俺は…もう戦えない…」
ゴトン……
光棍棒の細長い透明な部分が青く光っていなかった
武器を落とした音が、虚しく響く
俺は手を床につけた滝の傍に近寄る
「滝…」
「陽仁か…もう、戦えなくなったよ… 」
「なんで、気づいたの?」
「カルテー二の技を食らった時からさ 能力解放を、2回も食らって、全部、カルテー二に吸い取られた 」
滝は顔面蒼白だった
「滝…カルテー二はもう、倒したんだよ?まだ戦いたいの?」
俺は優しい声色で滝に寄り添う
「陽仁…俺は…役目を終えたのかな…」
「滝…」
滝は座りながら俺を抱きしめた
「もう、戦えない、余計敵に狙われる、沢山敵を殴ってきたから……!!陽仁もきっとまた殺意が目覚めるんだろ…? 俺のこと、憎んでたよな…」
「滝?」
そういうと、滝は俺の腰のポケットから三節棍を取り出し、構えた
「俺を殺して 敵に殺されるより、陽仁に殺されたほうがマシだ」
「滝、落ち着いて!! 俺はもう憎んでないよ!!」
「殺して……!!!」
能力が消えてなくなり、感情のコントロールも難しくなっていたようだ
俺は慌てて逃げ惑う
「…っ純さん!!智嬉さん!!誰かっ…誰か!!」
相変わらず俺の三節棍を振り回しながら追いかけてくる滝
滝のほうが三節棍の扱いがうまい
「なんだ?陽仁」
「親父!!まだ帰って無かったのか!」
ロビーに戻ってきてしまった
「ごめん親父、隠れさせて!!」
「なに!?」
親父は俺より背が高いから隠れやすかった
「うおおおおぉーー!!!」
暴走した滝にすぐ気づいて、三節棍で親父に殴ろうとすると、親父は三節棍の棒を素早く受け止めた
「!!!」
「やめるんだ滝くん!! 一体なにがどうしたというのかね!!」
親父の声に反応したのか、滝はドサッと急にロビーの床に倒れた
「滝…!?」
「カルテー二の技にかかると、一瞬だが錯乱してしまうんだよ 慣れない人間がかかるとな 」
「滝…」
俺は滝の肩をゆさゆさ揺すったが、反応がない
「親父、滝を助けてくれ!!」
「とりあえず、司令官室へ運ぶか」




