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第七十八話 努力した証を見たかった王妃

 星屑飴――文献では、高い魔力を宿した星屑が奇跡的に結晶化したものとしか分からない。

 ただ、どんな文献でも何か高すぎる魔力の代償に使える証明もされてきた。


「ゲームの中だとヴァステルデ様は、星屑飴に捕らわれているの。人の身体に閉じ込められた時の解放する代償魔力が、星屑飴。星屑飴さえ此方が手に入れれば、あとはどうとでも出来るわ」

「悪女な笑み、さっすが悪役令嬢って、殴らないで、痛いんだよ!」

「ふざけるからよ、ごめんあそばせ?」

「……シルビアがいると、主殿は生き生きとするのだな。まぁ死ぬよりかは良かろう、王の間はあそこだ」

 俺たちはイミテの案内で王の間まで行き、王様に直接ご面会することなく、星屑飴を手に入れようとする。

 今の時間帯は王様たちも卒業パーティーで忙しいはずだ。

 星屑飴がどこにあるか家捜ししようってわけだ、ただ王様がそう簡単に手放すわけもなく、無駄な時間となった。

 王の間にあったのは謎の魔方陣、これ関わりあるかな、とシルビアを呼んでみる。


「モートルダム神の召喚陣にアレンジがされてるわ、もしかしたら……」

「もしかしたら?」

「銀行のパスワードみたいに、何か適した言葉を言えば何かが起こるかもしれませんわ」

 王様の好きそうなパスワード……ここは基本にもとづいて、娘の名前か、ヴァスティの名前だろうか。

「王様が自ら触れて開けないと駄目ね」

「となると、正攻法しかないか」

「正攻法の場合は貴方はシリウス国家を敵に回すかもしれないけれど、宜しくて?」

「俺の好きな技知ってるか、直談判だよ!」


 ぎゃあぎゃあ騒いでいると、何者かが近寄ってきた――王妃様だ。

 王妃様は最初こわばった顔をしていたが、過去に治療した俺を見つけると、顔を少し綻ばせた。

「何用ですか」

「正直にお話しします、ヴァステルデを自由にしたくて、星屑飴を探してました。お願いします、ヴァステルデは十分国のために尽くしました、自由にしてやってください!」

「……礼も忘れて話すほどに切羽詰まってらっしゃるのですね。条件があります」

「何でもおっしゃってください!」

「限られた者しか作られないという、虹光薬。貴方はそのレシピをお持ちですね? そして作れますね? 虹光薬、百個分。これで見逃して、星屑飴を差し上げましょうか」

「王妃様ッ……」

「分かりました、調合室をお借りします!」

「ちょっと、リーチェ! 百個も作ったらそれこそ、貴方が……!」

「代償なしの対価のが国関連はよっぽど怖い、俺一人でことが済むならそれでいい」

 シルビアに説得すると、俺たちは王妃様と一緒に調合室へ行き、闇鳥のフラスコを使用する。

 材料は無限にここから出てくる、だからあとは魔力勝負なんだ。


「その薬は、百人治療しないと習得できないと聞きました」

「友達に手伝って貰いました」

「……では、やはり百回治療したというのは本当なのですね」

 王妃様は一瞬柔らかに微笑み、俺が時間をかけて調合する様を椅子に腰掛けて見守る。

 真剣な眼差しなもんで手が緊張で震える!

 でも失敗できねぇ、俺は集中して薬を百個作り終える頃にはぐったりし、イミテに支えて貰っていた。


「こ、れで……百個、です」

「なるほど、不思議な薬ですね。魔力をとても使うからか、素敵な色をしてらっしゃるわ、努力と知識の籠もった色ね。……陛下のこと悪く思わないでくださいね。あの人はこの国を守るのに必死だったのです、ただ、でも。娘の恋路を邪魔しては駄目ねぇ……」


 王妃様はネックレスに手をかけ、そこから一つはめ込んでいた宝石をぱちっと取り出し、俺たちに放り渡す。

 シルビアが慌てて受け取り、王妃様は興味ない顔で薬は兵士に任せ、去って行こうとする。


 思い出したかのように、王妃様は振り返る。


「魔王を捕らえよ、それとこれとは話は別よ」


 つ、掴めないなこの人……!

 俺たちは城中を逃げ回り、気づけばヴァスティが死んでる時間になっていた。




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