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第七十六話 真相

「それで何を作るつもりだ」

「ヴァステルデを復活させた時に必要なものである。何、光魔法の神である事実を変えるのだよ」

「お前は……何者だ?」

 俺からの質問に、メビウスは珍しく真剣な眼差しで見つめ返し、ふんと鼻を鳴らした。

「……今ならば話してもいいか、五生宝を半分は持ってきた褒美だ。俺様は、ヴァステルデが幼き頃祈り作った、ヴァステルデの“理想像”である。俺様はただあいつに神をやめ、人となり我が乙女と結ばれて欲しい、それだけだ。そのためにはあいつに、一度死んで貰い封印を無効化して貰わねばならない」

「なんでそれなら真っ向からそう言わない!? 世界征服しようとするていでするなんて」

「真っ向からいけば、ヴァステルデがまた幽閉されキャロラインと会えなくなる、それだけだ。ならば、俺様の闇属性を利用し、悪として行動した方が動きやすい。邪魔な信仰もない、俺様とてあいつの分身だ。病はあるのだよ、信仰されれば進む病が。あいつが人の姿である限り、俺様の病まで進む。あいつが今の形でなくなれば全て解決することだ」


 メビウスはティアラとピュアクリスタルを俺に押しつける。

「そもそも神を囲うこの国が傲慢であるのだよ」

 ティアラはキャロラインがつけていたのと似ていて、あのとき、アイテムをひらめいたときに浮かんだアイテムだと俺は気づく。

 俺ならこのアイテムを作れる――!


「……聖なる乙女の願いをかなえるティアラ」

「物語のラストとしては相応しいアイテムだろう? 作りたまえ、悔しいが我が手製では駄目だ、貴様が作れ」

「シルビア……!」

 シルビアの方を見やると、シルビアは微苦笑していた。


「前回の駄目だったときに。処刑直前にね、メビウスが現れてね、助けてやるって言ったの。ただし、手伝えって。誰にも言えない秘密を共有するなら、助けてやるって。魔王になる覚悟を持つなら、貴方を助けるから……と」

「真復活剤を作る際必要な材料に貴様の血があってな、血さえ得られればあとは、勝手に乙女に有効活用されればいいと思っただけだ。女性が泣くのは好きではない」


 ふんぞり返るメビウスにこの野郎、と悔しいながらも、敵ながらあっぱれとしか言い様がなかった。

 復活剤は、俺が作ってたやつはどうやらシルビアが俺に飲ませたらしくなくなっていて、俺は死ぬほど魔力を取られたのだと知る。どうりで身体が重い。五生宝のうちの一つは、魔力の塊であるものだ。五生宝を使った薬を使えばヴァスティは完全に生き返って病もなくなり、ティアラをつければ普通の人になり健康体を手に入れるってことだな、そうだな?!


「悔しいもんだ、レールを敷かれてるのは。だけど、しっかりとしたレールなら走るのも気持ちよさそうだな」


 俺はアイテムを手にし、アイテム作りをする――聖乙女のティアラができた。

 これで、あとは城にいけば……!!


「ヴァスティは助かるんだな」

「そのための俺様だとも、馬鹿な確認をするのはよしたまえ。さてかくも愚かながら地道に努力を積み重ねた者共よ、時は来た。時間がない、参ろうではないか。五生宝も、月華蜜、豪炎茸、金色香草、賢者の朱石ときて、残り一つだ。賢者の朱石は、貴様から取った血を固めればいい。残り一つはどこにあると思う? 警戒が頑丈なあの城だ、だから我々は戻るのだ、戻って取りに行くのだよ。残りの一つ、星屑飴をな。星屑飴は何せ、神を閉じ込めるほどの魔力があるものだからな……ヴァステルデの身体になじみ深い」


 メビウスは目を眇めて、ニヤニヤとし始める。

 目つきはこれから勝負へと挑もうという好奇心が見える目つきであるにも関わらず、メビウスの指先は消えかかっている。



「厳重に警戒されている城でヴァステルデが生きてる合間だ、取りに行けるのは。やけに警戒心が高く片時も王は放さない。しかし貴様の側には一匹龍がいたな? 時を巻き戻せる龍が。あの龍に頼めば、お前を守るためとあれば何だってするだろうあの龍は」

「イミテに手伝って貰う、ってことか……」

「然様、実に簡単だと思わんかね? 貴様とその龍は主従だ、しかも。命じてしまえばいい」

「イミテと話をさせてくれ……」





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