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第六十七話 アッシュの悲しかった父への思い出

「アッシュ、キャラヴェル様お帰りになられたぞ」

「ああ、アルベルから聞いた。ご苦労だ」

「その割には浮かない顔してるな」

「……君は確か、第三王子だったな。小国とはいえ。どんな風に育った?」

「毎日毒入りスープの料理三昧だったなぁ、あ、俺が食べる側な。しかも、爺さんの血が濃く出たから、ほかの兄弟より魔力高まりやすくなる上にたまりやすくなる体質なもんで。兄貴たちが心配してた。まぁ一人は心配しながら、毎日出てる毒入りスープよりもっと毒素の強い肉や魚を食べさせてきたけどな」

「……きらわれていたのか?」

「いや、一番目の兄さんの趣味である料理が、死人をマジで出すレベルなだけ。毒を出されていたことじたいは、俺の一族に由来があるから、しょうがねぇかなって」

「そうか、各王家に様々な事情はあるんだな、……ディスタードを見ていると、王家ばかりでもない気はしてきたが」

「アッシュはどんな家族だったの?」

「……シルビアとは異母兄弟だ。シルビアだけが正当な王家の血筋を引いている。俺は第二王妃の子供だ。第二王妃は庶民出というだけで、察しはつくだろう?」


 そうだな、いじめられたり陰口言われたりしてたんだろうなってのは想像はつく。

 それでも立派に育ったじゃないか、と言おうとしたが、アッシュは同情を求めているわけではなかったので、言葉は控えた。


「ある日、暗殺者がきた、暗殺者は夜中にこっそり、シルビアと俺を連れて、王の前に。暗殺者は愉快な声で尋ねた『どちらの犠牲を選ぶ?』と」

「暗殺者?」

「顔も見目も覚えていないから、勝手にそう呼んでいる。王はすかさず、俺を指さした。幼かった俺は、傷ついたが正当な血筋を残すのが当然だとも思った」

「うっそだぁあ、思ってたら今こうして俺なんかにまで言わねぇって。心のどこかで不当な扱いだって思ったんだろ」

「……馬鹿にしているのか?」

「いや? 至極まっとうな、むしろアッシュの初めての本音みたいな気がするよ。ようするにあれだろ、妹選ぶ父ちゃんなんか嫌いだ!!ってやつの重い版だろ」

「……切ってやろうか、リーチェ」

「いやまて武器はしまえ。これはね、心の要素にも関係ある療養としてのプログラムだから、言っているんだ。ピュアクリスタルとられて、闇に傾きかけているお前は」

「つまり何が言いたい?」


「幼いころ、父ちゃんが何を思ってそれを言ってたか、覗きたくないか?」

「……見れる、のか」

「本当は俺の用事に使おうとしていたが、特別に半分はくれてやる。だから一緒に見に行こうぜ、親父さんとお前の過去を、夢の中でさ」


 俺はシルビアからもらった飴を思い出し、提案してみる。

 これなら少しでもヴァスティの心労を減らせるかもしれないしな。

 実際荒療治もいいところだ、傷を塩塗って治せと言われてるように感じるかもしれない。


 だが意外なことにアッシュはあっさりと引き受けた。


「男と一緒の夢など吐き気がするが、治療というなら已むをえまい。キャロライン姫の役に立てなくなるからな」


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