表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/82

第六十二話 一難去ってまた一難

 会場はもう人はおらず、しぃんとしたただの博物館とかしている。

 展示物も皆が落としていったから、何もないし。

 伽藍堂だ。

 俺はぼんやりと今日のことを思い返していた――そこにイミテが現れ、イミテはきっちりとドレスから制服に戻っていて、俺の隣へ座った。


「どうした、お前様、間抜け面しているぞ」

「俺達――俺達とシルビア達は、本当に敵対していていいのかな、って思って」

「確かにのう、話を聞いていると、敵味方などないように聞こえる」

「……シルビアがどうしてそこまで、俺と手を組むのを諦めているのか、判らないんだ。動機が判ったけど、ピュアクリスタルは狙い続ける理由も」

「一つ判ったのは、これは私の見解だが、皆お前様に期待しておるのだよ。お前様次第できっと。きっと何か変わるし、何か嬉しい未来が待っているのでは、と。無駄ではない、お前様の働きは!」

「……さんきゅ、はぁ、今回も色んなコト起きたな-。とりあえず、誰にも奪われないうちに、これ食べるか」


 俺は有難く、人魚の涙を口にし、即座にレベルアップをはかった。

 一気に薬学のレベルは高まり、復活薬の作り方が判るまであと少しな予感もした。


「あとは、アッシュが目覚めるのを待つばかりであるな」

「それとシルビアから貰った飴を食べるタイミングもみないとなぁ……」


 疲労回復効果のあるグミを取り出して食べながら、俺はふとイミテの唇を見やる。

 イミテは視線に気付くなり、舌をべーっとつきだし笑った。


「ようやく意識したか、馬鹿者め」

「き、キスするこたあないじゃないの、イミテつぁん!」

「良き働きであっただろう? 悪女らしく。……リーチェ、龍はな健気な生き物であるのだよ、それで、その」

「どうした顔が赤い」

「……リーチェ、お前様はシルビアが好きなのかえ?」


 唐突な言葉に、俺はウーンと小首傾げ、考え込む。


「この感情はうまく、言えないや」

「……そう。さて、リーチェ、学園に戻るか! 皆が、待つあの学園に!」

「ああ、やっと少しは、休め、そう――」


 あれ、ぐらりと視界が揺れる……ああ、忘れていた。

 俺、ずっと体調悪いままだったのだ、あのテスト近くの日から。


 俺は意識を失い、イミテの悲鳴が聞こえた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ