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第五十八話 悪女の演技

 ヴァスティは一旦帰ることになり、馬車で帰る姿を見届ける。

 あまり長居すると身体によくないらしい。キャロラインへの告白や話は、また今度となった。

 いっぺんに今夜は色んなコトが起きた、アッシュの部屋に戻り、看病を続けながらやがては眠りについていた。


 アッシュの契約獣である火の鳥が、あたりをうろうろしていたが、俺は笑って「大丈夫だよ」と撫でてやる。あまり熱い炎ではなかった。

 火の鳥は、くるると鳴くと、心配げにアッシュの側に。


 もう朝焼けが見える時間帯で、俺は眠るイミテをその場に置いて、窓辺に姿を寄せる。

 窓辺に紙が置いてあり、日本語で手紙が置いてあった、俺宛てに。


『ヴァスティルート確約おめでとう、前みたいに死にたくなければ早めに復活薬を作っておくことね』


 ……シルビア――チリコからか。ヴァスティも復活薬が必要だという未来が見えていたと言っていたし、早めに習得するしかない。

 オークションの日まで日数もないし、他の五生宝の確認もしておこう。

 時期は絶対被らないはずだが、今回みたいにピュアクリスタル同時狙いだと面倒だなぁ。


 幾日か看病してもアッシュは目覚めず、ついにオークションの日がやってきた。

 ディスタードに看病を任せ、オレとアレク先生、それからキャロラインとイミテで向かうこととなった。


 キャロラインとイミテは今度は、ピンクと水色のバッスルドレスを着ていた。

 女性陣は華やかだけれど、支度が大変そうだ。

 イミテは動きづらそうで、今にも転びそうなので支えてやる。


「イミテ、しっかり歩きなさいよ」

「そうはいってもなお前様、おなごの服はどうしても難しいものである」

「アレク先生、キャロラインのエスコートお願いします、俺はイミテを」

「え……リーチェ、エスコートしてくれないの?」


 キャロラインはぱちぱちと瞬いた後に判った、と頷きしょんぼりしていた。

 既に年老い薬は飲んでるので、大人の哀愁みたいな空気と色気がすごかったが、負けない!

 イミテの腰に手を滑らせ、キャロラインをエスコートしたときと差異を作る。

 差異を見せることで、イミテは特別だと見せつける。

 イミテは名女優なのか、ちらりとキャロラインへ意味ありげに視線を送ってから、俺へ耳打ちする。


「こんなかんじでいいのであろう、悪女というものは」

「大変助かります、イミテつぁん」


 道中の馬車でいちゃつくようにべたべたべたべたしながら、やがて会場につくと、気を引き締めアレク先生に資金を持って貰う。

 会場は白い昔の博物館みたいな場所で、オークションに出すものを事前に展示されているものもあった。

 皆がドレスアップしており、会場につくなり、アレク先生の招待状を確認すれば席へと案内される。飲み物を問われ、皆はコーヒーか紅茶を頼んだ。

 持っていた資金もアレク先生は受付時に、受付の人に預かって貰い、そこからオークションに参加するとき自動的に清算で引かれるみたいだ。

 全部で金貨五百枚はある、結構余裕だと思うんだよなぁってとあるものを見るまでは、思っていた。





 王妃様の肖像画が、それもかなりイイ画家さんが書いた肖像画が飾られていた。




 アレク先生はまだ気付いていない、やばいなこれ。

 あの先生が暴走しませんように。




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