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第四十五話 二手に分かれて闘え!

「健気でしょう、修行して強くなってきたんですって」

「成長期すぎない?!! そいつは一粒で何メートルか伸びる奴でも食べたの?!」

「さぁ? ただルルは一人で修行してきて私の役に立ちたいと仰っていただけ。ルル、今がそのときよ。そいつらを倒してね」

『はい、シルビア様!』


 まじかよ、白い蛇がうねうねと近づいてきて俺とキャロラインを囲おうとしたので、咄嗟にいつもの豆粒火薬を使い、囲うのを邪魔しようとしてみる。

 一瞬怯んでは近づきを繰り返すから、これは仲間がくるまでの時間勝負だ、と俺はキャロラインに視線を向ける。


「キャロライン、祈りはまだ早いから祈るなよ! あのモートルダム神のやつ!」

「うん! あ、皆が来て皆は、シルビア達を足止めしてくれてるみたいだよ! 皆-!!」

 向かい側の方角から、ディスタードとアッシュがきて、メビウスたちと闘っている。

 むこうはむこうで回復いないからきついだろうなぁ。


「実に不利なバランスだねぇ!」

 ディスタードは炎を纏わせた大剣――焼けた兎肉刺さってるぞおい――で、メビウスに斬りかかり、アッシュとシルビアは複雑そうな表情で固まっている。

 兄妹だもんねー!!

 ん? 兎肉をちらちらルルは見ているな、これはもしかすると。


「回復魔法をタイミングあわせて私はする、その間にルルちゃんを任せていい?!」

「よし判った、つかイイコト思いついた。ディスタード! その兎肉こっちに投げて渡せ!」

「飛距離結構あるよ?! だがしかああし、このボクには無理という文字はないんだな! 任せろ、今投げるよ、心の友よ!」


 明後日の方角へ投げられた兎肉、食べ物を前にした獣の本能に逆らえないのか、

 ルルは一旦俺達を囲う姿勢から、兎肉のほうに向かって、兎肉をぺろりと食べ出した。


 その一瞬の隙にキャロラインを俵抱きして、慌ててディスタードたちの近くへ駆け寄る!

 こう見えても足に自信があったのは前世の話、今の俺は運動音痴なのかなってくらい大変だ。ぜいぜいいってる。

 あと少し、ってところで、また白蛇が戻ってくる。


「兎肉もうないのか!」

「昨日のスープなら君が持っていただろ?」

「液体投げるって無理がない?!!」


 さてどうするか、とキャロラインを俵抱きした状態で、ルルが俺達を締め付けようとした刹那。


火炎放射サディズバ・ゴンドル!!」

 この世界独自の、どこからその由来きたのねえねえと聞きたくなるような詠唱が聞こえる。

 詠唱したのは遅れてやってきたイミテだった。


 炎はぶわりと大きく大輪の薔薇のような形でじわじわとルルの右目頭に炎が纏わり付く。

 ルルはぴぎゃああああと声をあげ、ぐねんぐねんと唸り身を捩る!


「い、イミテつぁん! 信じてたよ、イミテ!」

「だから言ったであろう、お前様はか弱いのだと! お前様の神がきたぞ! 敵はどこだ、あの二人か!」

 イミテは視線でキャロラインを下ろすように俺へ促し、俺は慌てておろし謝罪する。

 キャロラインは首を振り、聖なるティアラを装備した。


「シルビア様、メビウス、覚悟を!」

「覚悟しろなんて優しいことを言ってから攻撃してくれるんだな、生易しい気配りだな……実に偽善ぽく心地よい想いだと想わないかね、キャロライン」

 メビウスは、ふ、と笑って手元に真っ黒い異空間を作り、そこから真っ黒い剣を取り出す。

 真っ黒い細身の剣は、レイピアというやつなのだろうか。

 そこまで重たくはなさそうだが、代わりに小回りがききそうな剣だ。

 小回りの優先度から、アッシュがメビウスと対峙する。


「キャロライン、オレの剣に祈りをかけ続けろ、力尽きることないように! 常に全力でいられるよう!」

「判りました!」

「やれやれ、それじゃあリーチェくんはボクとシルビア姫退治だね。何、気絶させて連れて帰ればいいのさ! 連れて帰るっていう一歩ができれば、説得する時間はあるだろう?」


 ディスタードとオレはシルビアを闘うことを選び、アッシュとキャロラインはメビウスと闘うことを選んだ。

 イミテは俺を補助したい様子だが、俺の命令次第で動きを変えてくれる素振りも見える。



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