表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/82

第四十三話 同じ転生者の微笑みと姫様の焼き餅

「リーチェ、御機嫌よう。やっぱり貴方は追いかけてくるのね」

「何の話だよ、そもそもどうしてメビウスのとこに……」

「〝属性〟の変わった貴方になら、察せられると思うわ、私の未来も、この世界も」

「何を……」

「貴方はヤンデレ、じゃなかったかしら? ねぇ、私の愛しいリーチェ」


 ぎくりとしシルビアをまじまじと見つめると、ころころと鈴がなるような笑い方をし、シルビアは年頃の少女らしい微笑みを見せた。


「やっぱりね、貴方は記憶が戻らないのね。それが悲しいけれど嬉しい。あの終わり方は、切ないから」

「一人で納得してないでどういうことか教えてくれよ」

「判りやすく言うと、貴方の目指すキャロライン様がヴァスティを選ぶルートだと間違いなく貴方は、魔力を大漁に失い死んでしまいます。私はね、ヴァスティルートがどういうものか知ってるの」

「なん、だって?!!」


 シルビアは――シルビアはもしかすると。


「貴方は転生者なのでしょう? 一回目の世界で聞いたわ。今の状態の貴方に言えるヒントは、キャロラインではなく、ヴァスティがあの姫様を選ばなければ貴方の目的は完遂しないで貴方はただ死ぬだけよ。皆、皆不幸になる……」

「アンタは誰だ? シルビアじゃないんだろう? 明確に知ってるってことはもしかして、アンタは」

「――二回名乗ると思わなかったわ、イグサチリコ、それが私の前世の名前。二人だけの秘密よ、私も貴方の秘密を持ってるのアラタ」

「待って、待って待って待って頭がパニックになっていく! どういうことだ、アンタも転生者か!」

「そうよ、悪役令嬢に転生したから焦っていたわ。それを助けてくれたのが前回の貴方。一回はね、ヴァスティルートに向けて二人で頑張ったのよ。私、だってヴァスティのファンだったもの。だけどね、ヴァスティは最後にキャロラインのために力尽きて病で死んだ。ヴァスティがあまりに自分を大事にしない状態で、キャロラインも予言を信じすぎてしまった。処刑されてから思い出したのよね、ヴァスティルートは一回は必ずヴァスティは死んでバッドエンドになるって。それで、今は何故か判らないけれど、メビウスの気紛れととある加護で私だけ記憶を取り戻してまた同じルートにいこうとしてる、貴方は」


 月下美人みたいな花を摘みながら、シルビアは花を俺に渡す。


「どうしてもあの二人をくっつけたいならもう止めない、いいこと? ヴァスティが焦れて焼き餅をし始めるまでは、キャロラインに手を出しなさい。ライバルと認められなさい、ヴァスティに。それが出来たら、また話してあげる、成功するヴァスティルートのこと」


 花はキャロラインに渡すことを示されている、俺はなぜだか心臓の奥が拒否をして、シルビアへ渡す。

 シルビアは驚いた表情をしてから、首を振る。


「貴方は貴方の役割を。私は私の役割を。あの二人が落ち着いてから、……私が処刑されなければお茶でもしましょうね。勿論お菓子は貴方の手作りで温かい物を。さよなら、リーチェ、愛していたわ」

「まって、待って欲しいシルビア、シルビア!!!」

「駄目よ、お姫様が見てる」


 はっとして後ろを振り返れば、俺が転がってきたところにキャロラインがいた。

 キャロラインは俺とシルビアの姿を見ると、きゅっと唇結んでその場を動かなかった。


 シルビアの去る足音が聞こえる、聞きたいことはまだある、山ほど聞きたいし前回の世界というものも聞きたい。


 けども。それでも、シルビア――いや、チリコの話を信じるのであれば、今はキャロラインを優先すべきだ。

 俺は転がるとき挫いてしまった足を引きずって、キャロラインの元へ。


「どうした、キャロライン」

「リーチェが帰ってこないってイミテさんが……それで探していたの、心配、したの」

 キャロラインは目を潤ませ、俯き暫し黙り込む。

 意を決したように、キャロラインは俺の手を掴み、身体をきらきらと発光させる。


「ディア・ルーブル・モートルダム」

 短い詠唱は光魔法っぽく、俺を回復しようとしていた、俺の足を気に掛けたらしい。

 俺は気まずさのままに何と言ったらいいか判らず、頭を撫でてやると、きっと睨み付けられた。

 おっとー? どうしたー? さては俺が顔だけイケメンなことに気付いた?


「私を子供扱いしないで。お姫様扱い嫌だったけど、リーチェからは女性として見られたいの」

「へ?」

「シルビア様がどうしてリーチェにあんなに親しげなのか判らない、だって私の方が仲良しだって思いたいもの!」


 流石にさぁ、女の子が顔真っ赤にして焼き餅を打ち明けるって、結構心にくるし、罪悪感だよ!?

 顔を真っ赤にして睨んでいた瞳が一気に我を取り戻したのか、はっとして口元を抑えて、ハムスターみたいにぷるぷるしてる。

 可愛いよ、流石に!! 可愛い、可愛いンだ。だけど、な。

 ごめんな、キャロライン俺はきっと君に嘘をつき続けるだろう。



「キャロラインの口から素敵な言葉が聞けた。嬉しいよ」


 顔を真っ赤にして顔をあげて、抱きついてきたキャロライン見てると、俺詐欺師の才能あるんじゃねーのって思い始めたわ……結婚詐欺師レベルでは? この才能。

 だって誤魔化しつつ、相手の心捕らえているんだもん。


 心の中では、シルビアに何か惹かれてる部分がほんのりあるのにな。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ