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第二十六話 決闘と強気なイミテ

「手が滑った」

「……これはこれは、毒素のきつい匂いだ。よくこんな腐った物食べて平気だな、根が腐っているからかね?」

「どうとでも言え、俺、アンタのこと嫌いじゃなかった。けど、そんなことどうだっていい、少しでもアンタとキャロラインが結ばれてくれればって思っていた時期が恥ずかしいな!!」

 アルデバランルートクリアしたときは憎いところも面白く見えた面もあったし。

 だが全部敵意が向いたり、キャロラインを雑に扱われることに違和感を覚える。

 一体何がアッシュのプライドに触ったというんだ? キャロラインはただ、ヴァスティの言う通りに従った。それも、世界のためという重荷の為だ。

 本音っぽくないから気に入らないとかではなく、ただ単に自分を選ばれなかったことにふて腐れる子供のようだ。

 オニイサマそういうの許しませんことよ!!


「ディスタードのいない君が決闘をする意志があるのか?」

「キャロラインを物扱いされるよか、イミテと挑んで勝ち負けあったほうが、すっきりするからな! 宣誓してやるよ、決闘してくれアッシュ殿下。お互いの為にもな、キャロラインに八つ当たりするよりか、俺にぶつけてこいよ」

「――構わないが、その女性に怪我が負った場合誰が手当するんだ? 手当する時間さえあると?」

「超秘蔵の回復薬あるから、それ飲めば一発で怪我が消えるように治るし、怪我する前提で話すのも気に喰わん! イミテ、良いな?」

「キャロラインのことは置いといても、我が主人に舐めた態度は許せぬ。いいだろう。さぁ、決闘を受けられよ、アルデバラン殿下よ」

「――君の従者の態度が俺も気に入らない、いいだろう、決闘しようじゃあないか」


 周りにいた兵士の目が輝く、王国の王子同士の決闘だ、騒ぐなというほうが無理である。

 それも、――。


「キャロライン姫様をかけての戦いかな?」

「そうにきまってるだろう、二人の顔色を見ろ! 女を取り合う顔だ!」


 違うンです、俺はキャロラインの名誉のため。

 更に言うと、ヴァスティを貶された気がしたからなんです。

 でも、キャロラインのためにっていう気持ちもあるから、否定はできない。

 キャロラインが、雑草みたいに踏みつぶされるのは嫌だ。


 ヴァスティルート以外はクリアした思い入れのある人なんだからな!







 ぶわっさぶわっさと羽根が上下に揺れるのは、火の鳥。

 アッシュは触れても熱くないらしく、撫でてから、行け、と命じて目を眇め見守っている。

 イミテは、じ、と俺の瞳を見上げ、ふ、と笑いかける。


「不安そうな顔をしているぞ、先ほどまでの威勢はどうした?」

「いや、うーん、理由がどうであれ女の子に闘わせるのはな、罪悪感だ」

「侮るなと言ったはずだ、お前様。私は、誰にも守られる必要の無い、お前様の神である。お前様を祝福する力くらいは持っているぞ」

 イミテはそっと俺の両手に触れて、己の頬に触れさせる。

 両手でイミテを挟むみたいだ、何となく犬の仕草を思い出したので両手で頬を撫でておく。


「お前様はそう、そうやって頑張ってこいと言えば良き」

「ん、よっしゃ、俺間違ってた。超応援してる、何より負けられないしな。頑張ってこい、イミテ!」

「うむうむ、良き主人だ――さて、参ろうかの」


 イミテは黒髪を靡かせ、火の鳥を睨み付ける。

 火の鳥は、一瞬で人の姿に変わる――バッスルドレスを着た、赤い貴婦人に。

 髪の毛だけは炎のように揺れて、燃えている。


「ご無礼を働きますが宜しくお願いします」

「うむ、全力を果たすといい、お前も」



 兵士が審判の代わりをし、しゅっと旗をあげて試合開始の合図を今、打とうとする!


「契約獣アルベル」

「契約者イミテ――いざ尋常に決闘を申し込む!」


 イミテが獣のように、されど人故に美しく吼えた。

 イミテはインナーカラーを真っ赤に染め、手元に炎を作り上げる。




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