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第二十五話 手が滑った

 まぁそれは、王子様らしくしなければとか考えていたからなぁ。

 一応身分のこともあったし、周囲の目もあったから。

 一緒に行動するとなると、言葉を伝えるには一番使い慣れた言葉を使う必要がある。

 だから乱暴な言葉使いになっていたが、そのほうが好かれるとは。


「キャロライン、あのさ」

「リーチェ様捕まって、私に、イミテさんもリーチェ様に捕まって! 早く乗って行こう!」

「キャロライン、――ッヴァスティを、どう思っている?」


 ドラゴンの背にイミテと二人で、キャロラインの後ろから乗りながら尋ねてみる。

 今なら素の感情を聴けそうで。


「――ヴァスティ、ですか? ……勝負事をしながらする話ではないので、この勝負が終わってから話しますよ!」

「本当か!? 本当のほんとか?!」

「はい、ですから集中してくださいね! 一緒に勝ちましょう!」


 負けられない理由ができると、人は強くなるとよく聴く。

 特に小説や物語の世界においての話だと思っていた、けど俺の目の前がリアルなんだから。

 ゲームがもとの世界とか関係なしに、勝ちたくなった。

 勝ってヴァスティに対して何を思っているのか、聞きたくなった!



「キャロライン、振り落とされるなよ!」

「手綱握ってるのは私ですって!」




 次はキウイだ、苺は一番手に行くことが出来たが、先にはアッシュ殿下が既にいた。

 アッシュ殿下が組んでいる女性に、金色のキウイが出るまで食べさせていた。

 結構ひどいことするな、と思いながら、案の定、俺は銀のキウイ指定だった。

「此方の食材は、代表者一人が食してください!」

「なぁなぁ、この食材って無駄にならないのか、大丈夫?」

「ご安心を。皆様のイベントが終わってから街の人々に振る舞われる、貴重な甘味のイベントですので」

 兵士の一人にこっそり問いかけるとそんな回答が返ってきたので、ほっとしていた。

「但し、銀の果物などなどは、廃棄確定ですね。リーチェ殿下がこない箇所は」

「ですよねえー!! うっし、キャロラインさがってろ、俺が喰う!」

「う、うん、判った。いつでも出発できるようにするね!」

「随分と――仲良くなったんだね、キャロライン姫、リーチェ殿下と」

 アッシュ殿下がキャロラインのほうへ近づき、キャロラインは瞬き驚いた顔をする。

「アッシュ様? どうしたんですか」

「君があまりに他の男と仲良くするから、妬けるんだ」

「……? 私は、殿方と仲良くなってはいけない決まりでもあるのでしょうか?」


 銀色のキウイを喰いながらついつい盗み聞きしてしまう。

 アッシュ殿下の主張もすげえが、キャロラインの言葉も天然物だ。

 アッシュ殿下がやれやれと首をふり、嘆息をついた。


「キャロライン――君はオレの運命の人だと思っていた」

 その割には正規ルート入れさせてくれなかったよな?

 じ、ともぐもぐ食べながら睨んでいたら、アッシュ殿下が笑いかけてくる。

 こちとらそのせいで、俺のルートからヴァスティっていう面倒なルート狙いになったんだからな?!


「リーチェ殿は君には似つかわしくない」

「何がどうして? 貴方が何を言いたいか判らないの私」

「キャロライン――たった一つだよ。伝えたいことは。どうして俺の物にならないんだ?」

「そうですね、体を張って自らこの場でも食べようともしないから? あそこの女の子、泣きそうになりながら食べてますよ」

「ああ、いいんだよ、後で吐けばいいんだし」

「あの子の気持ちは考えないの?」

「君以外はどうとでも――!?」


 持っていたキウイを思わず、アッシュ殿下に投げつけた。




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