第一話 バッドステータス無効!
ピチュチュ、チュチュ、と鳥のさえずりが聞こえる森で目が覚める。
何で森に俺おるん?
ア、牡蠣の腹痛なくなってる、やったァアアアア!
って、よくよく見たら、俺、この森に泊まってたみたいな景色なんだけど。
泊まってたどころか、なんか滅茶苦茶周囲に蛇だのコウモリだの捌いた後があるんだけど。
何このグロテスクまみれ。
匂いきっつー! そこらへんにあったパンを腹が減ったので食べてみる、お、うめぇうめぇけどさ……このパン何で紫色なんだ?
もそもそ食べてると、ぴろぴろ音がうるさく聞こえてくる。
何だよもう、と思いつつ白い煙が見えたのでそれを追い払おうと手を振りかざすと、何かに触れたようで、ピっと音が鳴る。
それは所謂ステータス画面というやつで。
空中にステータスが映し出される。
『名:リーチェ
職業:毒医者 状態:無
永久スキル:バッドステータス無効
システム:毒入りパンを食べた!毒は効きません!
システム:毒入りパンを食べた!毒は効きません!
システム:毒入りパンを食べた!毒は効きません!
システム:毒入りパンを食べた!毒は効きません!』
「なんっじゃ、こりゃ……」
頬をぼりぼりと掻きながら、ステータス画面を見つめ、頭を抱える。
これ、ほれ、よく見る……あれじゃん、RPGっぽいじゃん。
でもRPG画面とちょっと違うのが、ステータス画面を囲う枠がすげぇ乙女チックなのね。
リボンであしらえたレースとかの。普通のRPGってそんなんじゃねーじゃん、とか、何でいきなりRPGの世界?!とかツッコミどころが多いけど。
それは置いといて。
どうやら、俺はゲームの世界にいて、リーチェという人物らしい。
これは――所謂、転生というやつか。
カバンにある鏡を取り出して、鏡を見つめれば、おお、煤けてるけどなかなかのイケメンじゃーん?
くそだっさい白衣は置いといて、中二病くさいサングラスもおいといて、割とかっこいい見目をしている。
黄緑色の髪型ってのがまたトリッキーだなぁ!
全体的に俺は中二病くさいキャラだ、毒医者ってのも何だか胡散臭い。
キャラステータスのほかに、キャラ説明ってのがあったもんで、見てみる。
『リーチェ・ベルナルド。毒泉国の第三王子。誰もが恐れおののく毒医者で、嫌われ者。初めは心閉ざしていたリーチェだったが、徐々に心を開き、貴方専用の病み医者に!』
ぶっはははははははははは!!!
何この説明、これじゃ乙女ゲー……ハッ!!!
ようやく気付いた。
俺は、どうやら、RPG要素もある乙女ゲーの世界に、攻略され対象として存在しているらしいと。
しかもヤンデレかよ!!!