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第十六話 弱い契約獣ルル

 ざわざわと人々が集まる、中には一番前の席を取り合い金で売り買いする者もいた。

 中庭にて、ルルとディスタードが対峙し、ディスタードはグリフォンを人型にし艶やかな赤い髪を撫でる。

 ルルも人型となった。


「ご主人任せてくださいっす! あんな単細胞、すぐにのしますんで!」

 見た目は可憐な美少女なのに、口は割とずばずばと思った言葉を言う素直すぎる子だった。ツインテールを揺らし、美少女はルルと向き直る。


「契約獣アッサム」

「契約獣ルル――いざ尋常に決闘を申し込む!」

「契約主ディスタード・アンヘルは代理で受けられた、よってあたしが相手よ!」


 ルルは大きな戦斧を召喚し、アッサムはよくアニメとかで出そうな可愛らしいステッキを取り出した。

 アッサムがルルと対峙すると、完全に魔法少女と悪役である。


「火炎弾――!」

 アッサムが火の玉をいくつか放って、ルルへステッキからの指示にて投球させるが、ルルは軽い身のこなしで避けていく。

 ルルは戦斧をアッサムと距離をつめていきながら、振りかぶれば、ルルはステッキの先から炎を直接吐き出すような仕草でルルめがけて炎で攻撃する!


「あっぶね! この炎馬鹿女!」

「何よ、脳筋男! 見た目詐欺じゃない!」

 アッサムのツッコミに一同は確かにと頷いている。

 周囲の賛同に気を取られたルルが油断し、アッサムの火の玉に当たりそうになったので、避ける道中で転んだ。やっぱりあの魔道師みたいな服は動きづらいようだ。


「さぁ負けを認めなさい!」

 アッサムは、急いで起き上がったルルの鼻先へステッキをずいと押しつける。

 悔しがる顔をしていたアッサムだったが、ルルはくそっと舌打ちし、負けを認めた。


 時間にしては一瞬であったが、時間にしては結構な時間闘っていた。

 しかしそれを感じさせないほど皆を夢中にさせ、勝ったアッサムや主人のディスタードは囲まれちやほやともてはやされる。

 シルビアがそっと決闘が終わる頃合いを見計らって戻ってくる。


「ルル」

「し、シルビア様……ッ」

「貴方、弱かったのね?」

「あ、そ、その、頑張って鍛えますので!!」

「……――三回までは負けを許しますわ、でも、その先は判るわね?」

 ふふ、と無邪気にシルビアは青ざめるルルへ笑いかけた後に、オレに視線をやる。


「……時間が必要みたいですわね、貴方を説得する時間も、貴方が考える時間も。おまけで、うちのルルが強くなるための時間も。……早めに考えが改められる日をお待ちしております、貴方はきっと私と仲良くした方が宜しいのよ」


 ここまでくるとヤンデレじゃないっすか、こわぁ。

 無邪気な笑みでそんな怖い宣告してくるから怖い怖い、とたじろいでいると、ばっとキャロライン姫が現れる。


「シルビア様、どうして決闘なんて申し込むのですか、契約獣が可哀想じゃないですか!闘った契約獣を労ってあげてください!」

「あら、聞こえのいい言葉を有難う。けれど本気でそう思うなら、どうして戦いを止めなかったのかしら、キャロライン姫? ――曖昧な態度は、人を傷つけましてよ。そうね、私も、少し貴方が誰を想うのか興味は御座います。それではね、皆様、お昼ご飯を早く食べた方が宜しくてよ、次の授業までお時間が御座いませんもの」


 シルビアの言葉に観客もディスタードもはっとして、慌てて食堂へ皆でレース状態で駆けだした。

 シルビアはルルを連れて、個人で選択した授業の部屋へ向かう様子だった。

 もうオレのことを歯牙にもかけてない。キャロラインは俺へちらちらと視線をやって、何か言いたそうにしては言葉を押し殺している姿だ。


「どうしたんですか、キャロライン様」

「うん、あの、ね。あの――……本当は秘密にしなきゃいけない人のことを、君は知っているってその人から聞いてね……少しそのことで話したいの」

「秘密にしなきゃいけない人……」

「君は、ヴァスティからの使いなのでしょう?」




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