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第十五話 事情半分説明

 結界が張られるなり、ディスタードはぴんときたって顔をした。

「ああ、君はやっぱり。黒き御方かね?」

「言わずとも判るのであろう、先ほど、シルビア姫の契約獣にもばれておったわ。存外ばれるものなのだな」

「ああ、そうだね、君は――香水の香りがしないから。実に、獣臭いんだ。少し気になるのであれば、香水を買って貰うといいよ。お勧めはマリン系かな! リーチェ君なら作れそうだけどな!」

「忠告痛み入る。しかしてどういうつもりだ、代わりに決闘を買うだなんて。リーチェお前からも何とか言ってやれ」

「そうだよ、肝心要の君が説明してくれないかな、シルビア姫は普段あんなにけんか腰に男性を慕う方ではないし、誘う方でもないんだ。何か込み入った事情がありそうだね?」


 そうは言われても、俺に心当たりというものは、ライバルシステムくらいしかない。

 だけども、あそこでキャロライン姫が眺めてるだけというのも意外だった。

 あの子をちらりと見やったとき、狼狽えて困惑してるだけであった。ということは、そこまで好感度は高くないのか。

 ヴァスティに気付かれないように、ヴァスティからの想いを気付かせるにはどうすればいいのやら。


「全部は説明できないけど、半分は説明を乞う権利は貴方にあると思う。助けてくれるのなら、今後も」

「ああ、どーんと任せたまえ」

「決闘だけじゃない、他の出来事にも巻き込んでしまうかもしれないぞ?」

「何だと」

 ディスタードは目を糸のように細めた後に、ぱぁっと丸くし、輝かせた。

「そんなに! 刺激的な日々が待っているなんて羨ましいなぁ!」

「百パーセント手伝ってくれるんだな?」

「ふむ、私生活を含めるのなら百とまではいかないな」

 ディスタードは口元に人差し指をあて、くにっと悪戯っけに笑った。

「五千パーセント手伝うよ!」

「そうか、……有難うな、アンタ、いい人なんだな」

「さてさて時間もないことだし、手短に説明を頼むよ諸君」




「キャロライン姫のことを世界中で誰よりも好きな男がいる、だがそいつはシルビア姫の兄とくっつけたくて、俺をこの学園に寄越した。俺は、その世界中でキャロラインを一番愛してるやつとキャロライン姫をくっつけたい」

 そいつっていうのが、ヴァスティなんだけど。

 存在は世界中で秘密のようだから、内密にしないと。

「なぁるほど、恋のキューピッドってやつか!」

「で、キャロライン姫は現在、ちょっと俺のことを気にしてるようなんだ」

「ふむ、問題はシルビア姫だな、キャロライン姫をよくは思ってはなさそうだが、そこの理由が明確でないため、ボクにはシルビア姫が読めん」

「そうだな、で、問題は……これから先、決闘のときにイミテを使えないから。人間であることにしたから、困っているんだ」

「口先三寸で生きてきたボクの意見を言うならば、イミテという人間の召使いにすら負けるのであれば、ボクのアッサムとは相手にならないという口上はどうだね。黒き御方を見くびらせるような事態にはなってしまうが」


 だが名案だ、確かにイミテを通してから契約獣と決闘という流れになるのなら、ディスタード様の手を患わしずらいかもしれない。

「ディスタード様、それで頼みがあるんだが、この話はイミテがこの術を使ったときだけしか話さないでほしいんだ」

「誰かに監視でもされてるのかな?」

「!? 何で判ったんだ」

「先ほどの君の話からすれば、誰かが監視していてもおかしくはない内容だ。君へ完全に任せる阿呆だとしたら、そいつは君が裏切る可能性をいつだって考えていてもおかしくはないだろ」

「まぁそういうことだ、ディスタード、これからも宜しく頼む」

「ああ、いいともいいとも、何やら複雑そうな話であり、君に恩を売っても見返りはでかそうだ。何より、ボクのッ情熱がッ君を見限るなと言っているッ」


 そうは言いながら先ほどの銀貨を強請る手をさっと寄越されたので、その掌に銀貨を載せれば満足した様子だったので、結界を解除し授業へ戻る。

 剣術の授業はオレには今一つこなせなくて、先生から心配されるレベルであった。


 授業が終われば――じっと忠犬のように待っていた、ルルとの決闘だ。





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